私が大好きなアルバム9枚
1. Marvin Gaye『What's Going On』(1971)
まずはこちらのアルバム。クラシックR&Bの名盤と言えばこの一枚、というようなまさしく定番のアルバムでしょう。世界遺産級の名作です。音楽という世界にMarvin Gaye(マーヴィン・ゲイ)が打ち立てた一つの金字塔とも呼ぶべきアルバムが、こちらの『What’s Going On』になります。
こちらのアルバム、Marvin Gayeが作る曲もコーラスワークも素晴らしいのですが、それに匹敵するベースの存在感に言及しないわけにはいきません。やはりJames Jamerson(ジェームス・ジェマーソン)のベース無くしてこのアルバムは成り立たない、そう思える程にベースが際立っています。タイトル曲であるM1「What’s Going On」はもちろんのこと、続くM2「What’s Happening Brother」の歌うようなベースがたまらなく好きですね~。初めて聴く人には、是非ともベースの音にも注目してもらいたいところ。
おすすめの曲:M1「What’s Going On」
2. Bruce Springsteen『Born to Run』(1975)
先ほどはクラシックR&Bの名盤でしたが、今度はクラシックロックの名盤を。”ボス”ことBruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)がロックの一つの到達点を提示してみせた、こちらも名作です。
オープニングとなるM1「Thunder Road」の冒頭、ハーモニカとピアノから始まってボスのボーカルが入り、少しずつ楽器が増えていく構成には心動かされます。曲ももちろん良い。しかし、何と言ってもやはりタイトル曲のM5「Born to Run」は惚れ惚れするほどの名曲です。この曲だけでも聴く価値があります。
また、こちらのアルバムでは随所にピアノが効果的に使われており、それが顕著に表れているのが先ほど挙げたM1「Thunder Road」になります。他にもM4「Backstreets」、アルバムのラストを飾る大作M8「Jungleland」でもピアノが良い仕事をしています。ピアノが好きな方ならきっとこのアルバムは楽しめることでしょう。
おすすめの曲:M1「Thunder Road」
3. The Who『Who's Next』(1971)
The Who(ザ・フー)の最高傑作に挙げられることの多いこちらのアルバム。The Whoというバンドは4人全員が凄腕のプレイヤーであり、ギタリストのPete Townshend(ピート・タウンゼント)がこちらも素晴らしいソングライターなのですが、『Who’s Next』は4人の演奏能力、そしてPete Townshendの作曲能力がともにピークに達していたことを裏付けるアルバムと言えます。
シンプルなフレーズが耳に残るM1「Baba O’Riley」、荒々しいギターが鳴るM2「Bargain」、コーラスが美しいM8「Behind Blue Eyes」といった名曲がずらりと並ぶ中、ラストを飾る大作M9「Won’t Get Fooled Again」はアルバムの最後の曲に相応しい、私がこれまで聴いたあらゆる曲の中で最も好きな曲の一つです。ボーカル、ギター、ベース、そしてドラムが激しくぶつかり合いながら渾然一体となって前進するこの1曲は、The Whoというバンドそのものを表している。まさにThe Whoと言えばこれ、な1曲です。
おすすめの曲:M9「Won’t Get Fooled Again」
4. 藤井風『HELP EVER HURT NEVER』(2020)
急に21世紀の日本、しかも1stアルバムです。しかしこちらも私が大好きなアルバムですから、紹介しないわけにはいきません。
こちらの『HELP EVER HURT NEVER』、タイトルを日本語訳すると「常に助け、決して傷つけない」となるのですが、それはともかく、このアルバムを一言で表せば「J-Pop×ブラックミュージック」となるでしょうか。まあ全曲良いです。オープニングのM1「何なんw」に、続くM2「もうええわ」に、ラストのM11「帰ろう」に、…と名曲しかありません。ですがここで私がピックアップしたいのがM5「罪の香り」です。
こちらの曲は、藤井風のディスコグラフィーから考えると良い意味で「らしくない」、誤解を恐れずに言うと「変態的な」曲になります。まずイントロから様子が違うことが分かりますが、曲調は椎名林檎に通ずるような耽美的な世界観です。名曲揃いの本作の中でも際立って「変態的な」名曲です。是非聴いてみてください。藤井風の多彩さに驚かれることでしょう。
おすすめの曲:M5「罪の香り」
5. George Michael『Listen Without Prejudice, Vol. 1』(1990)
ポップデュオWham!(ワム!)としてデビューしたGeorge Michael(ジョージ・マイケル)が、Wham!解散後にリリースした2ndアルバムになります。Wham!と言えばクリスマスソングの定番である「Last Christmas」が有名ですが、ソロとしても活動していたことはあまり知られていないのではないでしょうか。
Wham!解散後にソロとして初めてリリースした1stアルバム『Faith』ももちろん素晴らしいのですが、私は2ndアルバムであるこちらの『Listen Without Prejudice, Vol. 1』の方が好きですね。というのもアルバムとしての完成度を比べると、やはり後者に軍配が上がるのです。何よりも、大好きなM2「Freedom! ‘90」が収められていますし。他にもM4「Something to Save」やM6「Waiting for That Day」、M8「Heal the Pain」にM9「Soul Free」と、端正なソングライティングに根差した名曲が並びます。M8「Heal the Pain」は優しい曲調に癒されること必至です。
なお、こちらのアルバムについては前回のnoteでも取り上げているので、合わせて読んでいただけると嬉しいです。
おすすめの曲:M8「Heal the Pain」
6. Elton John『Goodbye Yellow Brick Road』(1973)
1970年代を代表するシンガーソングライターにしてピアニストのElton John(エルトン・ジョン)。その彼が絶頂期を迎えていた様子を見事に捉えたアルバムがこちらの『Goodbye Yellow Brick Road』になります。
こちらも例によって名曲が途絶えません。そしてレコード2枚組、1時間16分とボリューミーにして、その内容は実にバラエティーに富んでいると言えます。中でも私のお気に入りはM1「Funeral for a Friend / Love Lies Bleeding」になります。こちらの曲は10分を超えていて、前半はインストルメンタルの「Funeral for a Friend」、そしてシームレスに繋がる後半はギターリフが特徴的な「Love Lies Bleeding」となっており、実に聴き応えのある1曲なのですが、こういった攻めた曲がアルバムのオープニング曲であることには毎度驚かされます。こちらの曲のみならず、全編を通してピアノが良いです。さすがはElton John。
おすすめの曲:M1「Funeral for a Friend / Love Lies Bleeding」
7. Steely Dan『Aja』(1977)
こちらは言うなれば、完璧主義の権化のようなアルバムです。Donald Fagen(ドナルド・フェイゲン)とWalter Becker(ウォルター・ベッカー)の2人による完璧なソングライティングに、一流のセッションミュージシャンによる完璧な演奏が合わさった、まさに鉄壁の布陣から繰り出された完璧なアルバムがこちらの『Aja』になります。その意味で『Aja』はあらゆる点で非の打ち所がありません。全く欠点がないことが欠点、と言うべきですかね。むしろこれで名作にならない方が珍しいでしょう。
タイトル曲のM2「Aja」の間奏で披露されるSteve Gadd(スティーブ・ガッド)による狂気的なドラミングは言うまでもなく名演ですが、他にもM4「Peg」の間奏、Jay Graydon(ジェイ・グレイドン)によるギターソロも素晴らしいですよね。アルバム全体としてはスムーズで落ち着いた空気感です。聴き始めた頃はメロディーやコード進行が不思議で取っつきにくい印象がありましたが、何度か聴いて慣れてくるとこれがやみつきになります。おしゃれなジャケットも良い。
おすすめの曲:M4「Peg」
8. TOTO『TOTO IV』(1982)
真っ赤なジャケットが有名な『TOTO IV』は、ある意味『Aja』と似たようなアルバムなのかも知れません。『Aja』と異なるのは、一流のセッションミュージシャンらが「自ら」優れた曲を書き、優れた演奏もするという点です。その点において、こちらも名作になることが約束されたアルバムだと言えます。
アルバムのオープニングでは、かの有名なハーフタイムシャッフル(ドラムのリズムパターンの一つ)が聞こえてきます。そう、M1「Rosanna」です。「Rosanna」と言えばハーフタイムシャッフル。ハーフタイムシャッフルと言えば「Rosanna」。こちらの「Rosanna」で披露されるJeff Porcaro(ジェフ・ポーカロ)による華麗なドラム捌きは名演中の名演です。いつか私もこの曲をコピーしたいものですが、果たして一生かけても出来るかどうか怪しいものです。それはさておき、こちらの『TOTO IV』は確かな演奏能力に裏付けられた名曲揃いのアルバムになります。いわゆる「洋楽」に興味はあるけれども何から聴けば良いのか分からない、という方にもおすすめです。
おすすめの曲:M1「Rosanna」
9. ヨルシカ『盗作』(2020)
こちらの『盗作』は私の音楽体験において最も重要なアルバムの一つと言えるでしょう。それは『盗作』こそが、私にアルバムで音楽を聴くきっかけを与えてくれたからに他なりません。
ヨルシカのアルバムは、アルバムを通して一つのストーリーを紡ぐことが多々あり、『盗作』もその例外ではありません。そしてこちらのアルバムが、私にアルバムで音楽を聴く楽しさを教えてくれたのです。まさに、私の音楽体験の根っこにあるのがこちらの『盗作』になります。もちろんどの曲も素晴らしい出来です。だからこそ今でも聴き返します。音楽体験の根っこになってくれたこちらのアルバム、そしてそれを生み出してくれたヨルシカには感謝してもしきれません。ありがとう、『盗作』。ありがとう、ヨルシカ。
おすすめの曲:M9「盗作」
おわりに
以上、私が大好きなアルバム9枚の紹介になります。なお、アルバムの順番はあまり関係ありません。どれも思い入れのあるアルバムですが、適当に並べているだけですので、あしからず。
また、こちらは2024年11月現在の選出ですので、時間が経てばまた変わるかもしれません。ですが、現在の私が好きなものを記録しておく意義は十分にあると思い、このような記事を書きました。結果的にかなり長くなってしまいました(約4,800字になってしまいました…)が、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
それでは、またどこかでお会いしましょう。皆さんのお好きなアルバムも是非教えてくださいね。