ソードワールド2.5 シナリオ 「グラスランナーの後始末」
はじめに
本記事は「ソードワールド2.5」を遊ぶためのシナリオです。
本記事は「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の二次創作です。
(C)GroupSNE
(C)KADOKAWA
レギュレーション
必要なルールブック
ソードワールド2.5『Ⅰ』
PC人数:2~4人
プレイ時間:2~3時間(ボイスセッション)
レギュレーション
追加経験点:+3000点(累計6000点)
成長回数:2回
所持金:3800G
名誉点:50点
レベルキャップ4
シナリオ概要
依頼のために遺跡に赴いた冒険者達。しかし、ギルドの手違いによりそこはグラスランナーのパーティに攻略された後だった。酒盛りしている彼らだが、いつのまにか戦利品が無くなっており、貴方たちにその捜索を依頼する。
!!!!!!!!以下からネタバレを含みます!!!!!!!!
シナリオの真相
このシナリオは、蛮族に奪われたアビスコアを奪還する物語です。
PCたちは、ギルドの手違い(マジ)で既に攻略された遺跡を探索しに来ました。先に探索したグラスランナー達は宴会で泥酔しています。そこに気づいたレッサーオーガは盗賊に金銀財宝を盗ませて、自身はアビスコアを盗みに行きます。このレッサーオーガは過去にグラスランナーを摂取しており、錯乱することが用意でした。
また、このアビスコアは〈奈落教〉から蛮族が盗み出す予定だったものです。遺跡が攻略され、カルトが消えたためレッサーオーガは計画を変更しました。このアビスコアを自身の仕えるドレイクに届けることが、彼の使命です。
1.導入
君たちはパーティーを組んでいる冒険者だ。未知の神殿の調査の依頼を受け、現在その神殿前にいる。問題は、その遺跡は既に攻略された様であり、グラスランナー達が宴をしていることだ。
PCたちは依頼を受けて遺跡に来ています。パーティや依頼は受けているということにして下さい。しかし、冒険者ギルドの取り違えにより、既にグラスランナーのパーティが遺跡を攻略しています。導入を描写した後、グラスランナー(GM)から話しかけましょう。
グラスランナーから得られる情報は以下の通り
・彼らは泥酔状態であり、判定行為に常に-4の補正を受ける
・2日前、ギルドから依頼を受けてきた。
・神殿内には人間の「奈落教徒」が潜んでいた。既に討伐しており、宝物も殆どない。
・彼らはかなり態度が悪く、酒場のごろつきのような口調で喋りかけてくる
会話で以上のことを伝えた後、描写①を発生させて下さい。
描写①
グラスランナーパーティの戦利品が何処かに消えてしまった!!彼らは泥酔しており、何が起こったのか分からない。しかし、PCたちが取り戻してくれれば3割の宝物を渡すという。
*1人1500G程度です。交渉などで多少+-しても良いでしょう。
PCたちが依頼を引き受けたら、探索パートに移行してください。
2.探索パート
グラスランナーの荷物は雑多なもので溢れていた。テント、鍋、宝箱...。問題の金銀財宝は全く姿がない。そして、地面には幾つかの金品が転がっている。
地面を注意深く見れば、グラスランナーとは違う、人の大きさの足跡がある。追跡はそう難しくなさそうだ。
ここでPC達は足跡を追跡するのか、それても現場を注意深く探索するか選択できます。追跡を選んだ場合はそのまま描写➁へ
探索判定を行わせましょう。
目標値は12です。達成した場合、以下の情報が得られます。
・もう一つ、グラスランナーに似た足跡がある
・北部の森へ足跡は続いている
北部の森へ行く場合は描写③へ移行して下さい。
追跡を選んだ場合は描写➁へ移行して下さい。
描写②
足跡を辿って道へ出る。見晴らしは良く、奇襲の心配もないだろう。そうして轍や泥の跡に続く痕跡を追う......。
適当なロールプレイを挟んだり、時間経過を示した後に聞き耳判定を行わせて下さい。目標値は9です。達成した場合、北部の森で蛮族に襲われている商人を見つけることが出来ます。
助けに入る場合は戦闘を行います。
*もしセッション時間の都合上、戦闘が難しい場合はPC1人に「2d6」を振らせて下さい。その値だけパーティ全員にダメージを与えて戦闘に勝利したことにして下さい。
蛮族データ
敵前衛
ダガーフッド(『Ⅰ』 438頁)×PC人数
見捨てて足跡を追う場合は、山麓の町にたどり着きます。「4.山麓の町」を参照して下さい。
戦闘に勝利した後、商人から以下のことを聞けます。
・一刻も早く荷物を届けないといけないためショートカットをしようとした
・森に入った際、小柄な人影を見たかと思うと、蛮族たちに襲われた
・森のさらに北部に影は消えていった
以上を描写し終えた後、商人から買物が出来ます。
また北部の影を追うなら、描写③へ移行して下さい。
描写③
森の中を進んでいると誰かの視線を感じる......。
見られている。冒険者達はそう直感した。
PCたちに危険感知判定を行わせて下さい。
成功した場合、飛んでくる弓矢を回避できます。
失敗した場合、ランダムなPC2人に「2d+1」のダメージを与えて下さい。
その後、周辺から蛮族が現れて有無を言わさず攻撃してきます。
戦闘開始です。
蛮族データ
敵前衛
ゴブリン(『Ⅰ』 439頁)×2体
敵後衛
アローフッド(『Ⅰ』 437頁)×2体
PCが2~3人の場合はゴブリンを1体減らして下さい。
戦闘に勝利すると、蛮族の死体から指令書を奪取できます。
文書には汎用蛮族語で「レッサーオーガを護衛。グラスランナー、化けれる、アビスコア回収」と書かれてあります。
また蛮族達の痕跡や足跡から、さらに北から蛮族がやってきたことがわかります。その方向は、正体不明の足跡と同じです。
3.クライマックス
森の中を進むと急に開けた場所に出る。廃墟……砦か遺跡か何かのようだ。虫や小動物がさざめく中、貴方たちの正面、ちょうど廃墟の2階窓部分から1人のグラスランナーが顔を覗かせている。
「君たちは誰だい?」静かな空間に、声が響いた。
このグラスランナーはレッサーオーガが化けた姿です。PC達が攻撃してきた場合は即座に擬態を解き、戦闘へ移行します。
グラスランナーは以下のことを主張します
・僕は盗まれたものを取り返しただけだ、放っておいてくれ。
・もし金で雇われているようなら、倍額を払うから見逃してくれ。
・君たちも彼らの態度をみただろう?難癖をつけて、僕の大切なものを奪ったんだ。もし、君たちが邪魔をするなら容赦はしない
PC達が疑うのであれば真偽判定を行って下さい。
難易度は12です。成功すると嘘をついていることが分かります。
(盗賊の足跡、道中の蛮族)
グラスランナーの言葉を振り切ったり、その正体を指摘すると、声が段々と低くなり元の姿に戻ります。それと同時に廃墟の影から蛮族が現れて襲い掛かってきます。クライマックス戦闘に突入して下さい。
*レッサーオーガの言葉を真に受け、退散もしくは金品を受け取るとその時点でシナリオ終了となります。お疲れ様でした。
蛮族データ
敵前衛
ボルグ×2(『Ⅰ』 441頁)、シールドフッド×1((『Ⅰ』 440頁)
敵後衛
レッサーオーガ×1(『Ⅰ』 442頁)
レッサーオーガには「剣の欠片+PC人数」が投入されています。
PCが2~3人の場合、ボルグを1体に減らして下さい。
無事に戦闘に勝利すると、戦利品に加えてアビスコアを取得出来ます。
冒険者はそれがアビスコアであること、極めて危険な物だと即座に分かります。グラスランナーの元に戻った場合、「何かわからないが、手間を取らせたな。」といって報酬を渡してくれます。
またグラスランナーを無視し、ギルドに戻って報告した場合「危険な状況をよく阻止してくれた!」と言われ、グラスランナーから提示された報酬と同じ額を受け取ることが出来ます。
これにてシナリオ終了です。お疲れ様でした。
4.山麓の町
山麓の町に着くと、衛兵に身元を改められます。
先ほど身元不明、全身黒ずくめの怪しい男が大量の金品を持って町に入ろうとしていたため、警戒中とのことです。
犯人は「遺跡で寝ていたグラスランナーから盗んだ」と供述します。
望めば金品はそのまま返却され、グラスランナー達は報酬を支払います。
またその翌日、街とPCはドレイクとその軍団に攻撃された後〈奈落の魔域〉に飲み込まれます。
これにてシナリオ終了です。お疲れ様でした。
*もしPCたちを真実に辿り着かせたい場合はシナリオを改変してください。
*この身元不明の人物はレッサーオーガに雇われた盗賊です
シナリオクリア報酬
報酬:1500G+戦利品
経験点:1000+魔物レベル合計+ピンゾロ分
成長回数:1回
名誉点:剣の欠片個数×1d6
参考文献
ハルーラガイド ゲームマスターズアーカイブ
参考コラム「テンポ良くセッションを進めるためのハウスルール」「シティシナリオを書いてみよう」「選ばせるテクニック」「戦闘をデザインする」「意図を組み込んだ戦闘」「判定の置き方」
ソードワールド2.5におけるシナリオ作成の手引き
ソードワールド2.5 初心者向けシナリオ「機械仕掛けの回廊」
ソードワールド2.5 水辺の神殿遺跡
SW2.5シナリオメイカー
https://shindanmaker.com/1123981
導 入:川原近くの遺跡を調査しに行く
展開1:冒険者のグラスランナーの男たちに会う
展開2:山近くの町で買い物をする
結 末:蛮族と戦う
あとがき
このシナリオは「ハルーラガイドとSW2.5シナリオメイカーを使って、どの程度いつも書くシナリオと変化するのか、また負担は軽減されるのか」を検証するために執筆しました。ハルーラガイドが届いて読んで3ヶ日以内に間に合うか不安でしたが、存外に読みやすく間に合いました。
結論からいうと、そんなに変わらん、です。シナリオを考えて、物語を構築する総労力は変化していません。ただいつもとは違ったシナリオになりましたし、シナリオを書き始める切っ掛けにはなりました。
ただ、やや執筆量が減った気がします(導入とか)。ハリィさんのコラムに感謝。
シナリオを書き始める切っ掛け、公開する切っ掛けとしては最上級です。
詳細としては
1.「SW2.5シナリオメイカー」はシナリオフックとして使え、負担は軽減される。しかし、表示された全てを取り込もうと考えるとその分の負担が大きくなるため+-は0。「SW2.5シナリオメイカー」から2つだけ要素を取り出してシナリオを作成すると程よいと考えられる。
2.「ハルーラガイド」は例として使えるし小手先の技術を取り込むことができるが、最終的にシナリオを纏めて文章にしないといけないのは代わらない。また読んで取り込む苦労もあるのでこれまた+-0である。
ただ先に述べたとおり、いつもと違うシナリオ、は書けた。私の中ではその感触だけで1500円の価値はある。
ただ、これは私が普段からシナリオを執筆しているが故の感想かもしれない。今度、初心者さんを2人ほど捕獲して比較考慮の上、人体実験を行う。結果が変わった際は報告する。
こんなところです。
余談ですが、note社怪人の方を真似てシナリオをnoteで投稿しました。あとがきとか考察を好き勝手書けるのはnoteの方が気兼ねないですね。2023年に同人誌を出すときは、note告知をするかもしれません。
作者:DKP
更新履歴:2023年1月5日 4.山麓の町 を一部変更
以上