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浦和ハナコの話をしよう サマーバケーション【ブルーアーカイブ】
お久しぶりです。
ブルアカの夏、浦和ハナコの夏。
思うところが多すぎて書き上げるのに大分時間がかかってしまいました。
ブルーアーカイブで先日開催された夏イベント、「隠されし遺産を求めて~トリニティの課外活動~」において、過剰なまでに供給された浦和ハナコについて。またお話をさせてください。
ある程度以前の記事を下地にして進む話があるかと思うので、まだお読みになっていない方はよろしければこちらからご覧になっていただければ幸いです。
相変わらず言いたいことは山程あって、その全てに踏み込もうとすると無茶苦茶な乱文になってしまいそうなので、今回は夏イベで浦和ハナコが見せた姿になるべく焦点を絞って話ができればと思います。
なお、イベントストーリーだけでなく「ハナコ(水着)」「ウイ(水着)」「ヒナタ(水着)」「コハル(水着)」の絆ストーリーのネタバレも含みます。ご注意ください。
浦和ハナコのエゴイズム
早速前回の記事の話になってしまうのですが、こんな話をしたことがありました。
“ハナコは、自身の洞察力をこうして悪用できることについてある程度自覚的なのだと思います。勿論積極的には使っていませんが、怒った時や大義名分があればそれを使ってしまう自分がいる、ということも。”
前回は、エデン条約編3章・ポストモーテム(3)におけるミカへの嫌がらせで、自身の洞察力を悪用した……というお話をしていました。
今回のイベント冒頭のハナコは、まさに能力の悪用を極めているといえます。
サクラコが頼みを聞いて欲しいと言っているのに対して、警戒と反発でまるで会話にならないウイ。
そこにハナコが割り込んで仲裁するわけですが、よく見ると二人の関係を改善する気がまるでないことが分かります。
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ウイの罪を指摘し、
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シスターフッドの体質を糾弾して、双方にブレーキをかけておきつつ……
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なんと、二人のすれ違いをそのまま放置して話を進めています。
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更に、サクラコが自身の当初の意図と違う方向に話が流れていることを意見しようとすれば、「遺跡」という情報のインパクトを叩きつけて話を逸らすその手腕はまさしく言いくるめのプロ。いよっトリニティの鑑!
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そもそも、サクラコはウイに償いを求めようとはしていません。
ウイにしても、秘密主義集団から危害を加えられないならそれでいいはず。
真に「仲裁」であれば、間に入って双方の意思を紐解けばそれで終わっているはずなのです。
ハナコは、当然双方の望みを理解した上でそうはしませんでした。
理由は皆さんご存知の通り、みんなで海に行きたかったから。
そのために話に割り込んで、サクラコを言いくるめてもうやりたい放題。
しかし今回も、ハナコは善性の建前と言い訳を用意していました。
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逆から考えると、イベントの冒頭シーンはこう言えるかもしれません。
浦和ハナコが海に行きたいという欲望を押し通すために必要な、大義名分があの場に揃ってしまった、と。
そう、大義名分さえあるなら。そしてその本心を悟られずに済むなら。
浦和ハナコは、意地悪く周囲を巻き込んで欲望を通す女になったのです。
……積極的になりましたね。もはや善意ある災害ですが……
臆病で本心を見せない姿と、勇気のこくはく
今回のこくはくの内容については、多くを語るまでもないでしょう。
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ようやく言葉にできたね、と。
そんな充足感で満たされる瞬間でした。
彼女がこうして自分の気持ちを言葉にできるようになったのは本当に素晴らしい成長であり、これからに期待が持てるところではあるのですが――
しかしだからこそ、未だ根強い臆病さが浮き彫りになるシーンでもあったと思います。
ハナコは遂にその気持ちを先生に伝えてくれましたが、そこに至るまでには散々迷った挙げ句、先生に促されてようやくこの言葉にたどり着きました。
そして更には、この表情。
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こくはくの前に、何重にも予防線を貼って。
こくはくの後に、先生の反応に怯えて。
「本音」の自分が傷つくことを、こんなにも怖がっている。
彼女がどうして、ここまで自分の気持ちを伝えることに臆病になってしまったのかは分かりません。
しかし同時に、そこに「大した理由は要らない」ということも私は知っています。
自分の気持ちを隠し続けていればボロが出るのが人間というもの。
でもハナコは――ちょっと要領がよくて、ちょっと嘘が上手かったから。
そのボロがほとんど出ないままに、こんなところまで来てしまった。
私はそんな風に考えています。……かなり主観的なお話ですみません。
絆ストーリー3話においても、この側面は現れました。
心からの「ありがとう」を言うのに、アレだけ勇気を振り絞って遠回りをする姿は、なんとも不器用で可愛らしく。
日頃どれだけ「本心を本心として」伝える経験をしていないかが、よく分かります。
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そしてそれが重荷になっていると――なんとまあ、「普通」の人間らしい。
彼女の精神性がいかに人並みかが伝わってくるシーンでしたね。
関連して、絆ストーリーの1話ではこんなことも彼女は言っていました。
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これは当然、「トリニティではこういった細々としたことを気にしている」ことの裏返しですね。
この言葉で「普段の水着徘徊もある程度計算の内である」ことが改めて明確になった形です。
他人にどう思われるのか、自分に何を求められているのか。
それを気にする彼女が、どうして学内で普段あんな行動を取るのか。
ここまで言われればもう難しくありません。
異常な行動を取る人間に対し、他人が思うことはまずこれです。
「何を考えているか分からない」。
そう、つまり浦和ハナコにとっての水着徘徊は、
「趣味」であり、
「本心を分かりにくくするためのノイズ」であり、
「人からの求めにそう簡単には応じない意思表示」と、
一石三鳥の行動だったわけです。
実は徘徊が趣味ではない可能性、ですか?
こんな繊細な女が、好きでもないことを延々続けてたらすぐ壊れるに決まってるじゃないですか。
そんなに強い女じゃないです。きっと。
盛大な自己矛盾と、古関ウイへの敗北
そんな浦和ハナコが、今回ずいぶんと執心していたのが古関ウイです。
個人的な見方としては、「友達になろうとしていた」というよりは、「勝手に懐いて絡みに行った」という感じに見えていますが……。
実際、懐く理由としては十分なものが揃っています。
トリニティの嘘や欺瞞まみれの人間関係に傷つき、嫌っている
本心を偽る
シスターフッドの秘密主義を嫌う
本好き
知恵の方面で、秀でた力を持つ
古書館イベントや水着ウイの絆ストーリーを読むとより分かりやすいところですが、これだけの共通項があるなら、ハナコがウイに対して勝手に同族意識を持つのも自然な話と言えるでしょう。
特に上の2つが大きな共通項なわけですが、この2つというのはよく見ると矛盾したお話でもあります。
「嘘や欺瞞を嫌うのに、自分も嘘だらけじゃん」、と。
別にこれが悪いと言っているわけではありません。
この二人の場合、悪意ある嘘というよりは「身を守るための嘘」という側面が強いですから、やむを得ない面も多くあります。
ただそれはそれとしてこれは大きな自己矛盾であり、ハナコは特にこの自己矛盾について、ウイを仲間のように思っていたのではないかな――と思っています。
ここで重要になってくるのは、ハナコはこの自己矛盾について自覚していて、かつ嫌悪している節があるということです。
その根拠について明確に示すのは少し難しいのですが…
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ハナコのこういった発言がどんな心境から出てくるのかを考えると、そういう傾向なのではないかな、というのが私の主観です。
いずれも、ハナコの自己認識への手がかりであっても明確にその自己矛盾に言及しているものではないですが……
何よりまあ、これもありますから。
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内向的なハナコが、この意味を自身に一切向けていないなんてことは考えづらいでしょう。
こんな皮肉めいた名付けをしておいて自覚がないなんてことは、ね。
さて、一旦話は変わります。
今回のイベントでは、「隠すこと」と「暴くこと」、そしてその善悪について大きく焦点が当たっています。
自分の心を隠すのも人の心を暴くのも得意(?)なハナコに、解き明かすことが得意なウイ。二人にとってもぴったりなテーマでした。
この物語の結末で、ウイは「ユスティナ聖徒会の思い出」――自身が解き明かした答えを、隠し、しまっておくという選択をしました。
それをハナコは疑問に思います。
「自分の心は隠す、他人の心は暴く。あなたもそうではないのですか?」と。
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それに対し、ウイは答えました。
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「私はあなたとは違う(ハナコからの同一視の否定)」。
「あなたは悪くない、隠すことは罪ではない(ハナコの矛盾の肯定)」。
勿論、ウイ本人にそういった意図はありませんが。
ハナコにとって、ウイの答えは紛れもなくそれを意味します。
ハナコは自身への否定と肯定を、同時に受け取ることになりました。
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その表情の裏にどれだけの気持ちが渦巻いていたのか。
想像するしかないところですが、あの浦和ハナコが何も言えずに沈黙するしかないのですから。その感情の大きさは疑うべくもないでしょう。
ですから、浦和ハナコを軸にこの物語を考えると……
自身の欲求のついでに、同族を助けてあげようという傲慢な立ち振舞いをした挙げ句、助けた相手からは「お前は同族じゃないよ」と手痛い言葉を突きつけられる――
そんな、わがままのしっぺ返しを食らうお話でもあったわけです。
調子に乗った人間は痛い目を見る、という構造をきっちり話の中に落とし込んでいるのが美しいですね。
そして、もう一人。
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ヒナタもまた、「嘘」についてきちんとした理念を持っていました。
ウイもヒナタも、自身にはない理念や哲学をきちんと持っている。
そのことにハナコは気付いたはずです。
気付いたからといって、すぐにどうにかできるものではないでしょう。
ですが課題は明確に示されました。
臆病の殻を破り、更に踏み出す勇気。
自身を肯定するための理念。
彼女が大人になるためにこれから手に入れるべきは、この2つであると。
今回、言うまでもなくハナコは以前より成長していました。
今までより積極的な行動。手間取りはしつつも、不器用な気持ちの吐露。
そうした成長を示した上で、新たな課題を提示する。
彼女の今後の成長がより楽しみになるような描かれ方で、私はそれが本当に本当に本当に本当に嬉しくて…嬉しくて…
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その嬉しさをペロロジラにぶつけていたから、この記事を書き始めるのがすっごく遅れてしまって……(ペロロジラから何週間経ったと思ってるんだ)
浦和ハナコと、みんなの対比
このまま締めくくりに入ってもいいのですが、どうしてもこの話は付け加えたくて。もうちょっとお付き合いください。
このイベントでは、色んなところで対比的な構造が使われています。
そもそも「浦和ハナコと古関ウイ」の似ているところと違うところ、というのに何度もフォーカスを当てたお話ではありましたが、そういった対比を探そうとするとそれはもう山のように出てきます。
その中から、少し楽しくなる(私が楽しい)シーンを幾つか紹介です。
まず、水着ハナコと水着ウイの絆ストーリーは徹底的に対応しています。
1話目。
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先生を呼んだハナコと、呼んでないことで探し回られるウイ。
ちなみに2話は逆にウイが呼んでハナコは呼んでいなかったり。
2話。
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「お気に入りの場所」を、
ハナコはありのままの自然な地形に見出し、
ウイは自ら作り上げた。
3話。
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夕と夜。
ハナコは先生に仕返しされ、
ウイは先生に仕返しをする。
更に、水着ウイの3話ではこんな話が出てきます。
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「自分に自信が持てず、他人の目が気になって仕方がない小心者」。
浦和ハナコを連想させるこのフレーズは、意図的(ライターの)だと私は思っています。
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そしてここが、浦和ハナコと古関ウイの違い。
「私は、小心者というより、気難しい」。
「別に卑下しているわけではない」。
もう徹頭徹尾ハナコとウイを対照的に描いていて、楽しくなってきます。
ちなみにヒナタとコハルの絆ストーリーについても、お互いに分かりやすい対比が幾つもあるのですが……それはさておき。
そして、ここからは若干こじつけかもしれませんが。
ヒナタとハナコ、コハルとハナコについても対比があったように思います。
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ハナコが聞けず仕舞いだった「普段は見せない思い」をヒナタはバッチリ聞くことに成功していて、
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メチャクチャ先生に警戒されているハナコと、一方で手を繋いでもらったり背負ってもらったり圧倒的接触率のコハル。
ヒナタは精神面、コハルは肉体面で、「ハナコが望んでいたけど叶わなかったこと」に成功している……という。
これが全て今回のイベントと絆ストーリーの中で収まっているのを見ると、この対比はやはり意図的なんじゃないかなぁと思ってしまいます。
ハナコが上手くできないことは、どうすればできるのか?
その答えが、今回のお話の中で全て提示されているのです。
うーん、ライターからハナコへの歪んだ愛を感じる。
……嬉しい!
この対比の中にもしかしたらもっと深い意味があるのかもしれませんが、そこは私の未熟さ故に何も読み解けません。その先は誰かお願いします。
終わりに
エデン条約編4章でハナコとウイのやり取りを見たときから、「この二人絶対相性良いからもっと絡んでくれないかな」と思っていた自分としては、このイベントはもう本当に望外の供給でした。
二人の成長や変化、この先の展望を存分に書いてもらえてこれ以上ない幸せです。ハナコ3着目まだ?
何故かハナコの本音は正確にキャッチできるコハルについてだとか、結局コハルのことかなり放置してたハナコはもう少し反省した方がいいぞとか、ハナコはあれだけ配慮してくれてるサクラコ様にもうちょい優しくしろよとか、ウイとハナコのバイタリティーの差についてとか、本当にまだまだ言いたいことはたくさんあるんですけど、多分このへんは一生まとめきれないので別の機会に。
前回の記事に比べると大分不真面目で散らかった内容になってしまったような気はしますが…まだギリギリ夏だからということで。すみません。
そういえば、拙いながら水着ハナコへの思いの丈をぶつけたSSも一本書いているので、こちらもお読みいただけると嬉しいです。
ハナコのこれからに、また多くの成長と幸福があることを願いつつ。
お読みいただき、ありがとうございました。