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大阪ビル放火のニュースを受けて、お気持ち。

数日前、具体的に言うと12月17日のニュースを見てとても胸がざわつきました。
普段ならば、事故や事件のニュースを見てもあまり心が揺れるほうではありません。ただ、そのニュースはちょっと違った。そのニュースはリワークプログラムを扱っているメンタルクリニックの放火のニュースでした。
二年半くらい前に、私はメンタルに不調をきたして退職し、その後受診していたクリニックの主治医からリワークに来て職場復帰を目指しましょうと誘われました。
誘われたというのもなんだかおかしな話ですが、私の主治医はまあまああんまり患者の話を聞かないタイプの先生なので、とりあえず来てみたら、みたいな感じ。実際、主治医はあんまりリワークにはかかわらず、心理士のU先生とかTさんを中心に各プログラムの講師の方が熱心にレクをしてくれました。何か月か居て、とても楽しかったし、とても考えさせられた。人生の少しの間ですが自分だけを看る時間を戴いたな、と思っています。
そんな事情があるので、メンタルクリニック、しかもリワークプログラムの最中の時間が狙われたというのはとてもショックです。いや、狙われたのかはまだ何もわかりませんが、少なくとも人が多いからその時間、と伺われるような犯行状況だな、と思いました。正直な感想はすげー卑劣。でもまだ何もわかってないですのでそっとしまっておきます。
ニュースを見たときに、リワークの職員さんや一緒に時間を過ごした受信者さんの顔が浮かびました。〇さん、このニュースを見て大丈夫だったかなとか□さんめっちゃ怒ってそうだなとか。そんな風に胸に浮かぶ情景があります。それだけ、私のなかではリワークに通った時間は大切な時間です。だから、きっと小さなダメージが私のこころに突き刺さってる気がする。そして、私と同じような境遇の人とこの件について話したい、そんな気分です。
だから、ちょっとすこし、リワークの説明をしつつ、気持ちを整理しようともいます。

リワークって何をするところ?

日本うつ病リワーク協会の説明するところによると、

リワークとは、return to workの略語です。気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーション(リワーク)を実施する機関で行われているプログラムです。復職支援プログラムや職場復帰支援プログラムともいいます。

https://www.utsu-rework.org/rework/

つまりは、仕事を心身の不調で中断している人が職場復帰のために必要な能力の再獲得、回復を目指す場のことを言います。リワークプログラムとも言います。
プログラムはそのクリニックや施設によって様々ですが、基本的には仕事に行っているのと同様に施設へ通う「練習をする」。
そのほかに、作業をして集中力を高めるものもあれば、医師や精神保健福祉士、カウンセラーによるカウンセリングがあるところもあります。
私が通っていたところは、情操教育か?と思うようなプログラムが多くて、アートの時間やダンスの時間もありました。
中でも一番重きを置かれていたプログラムはグループミーティングの時間です。受信者たちは2,3分の決められた時間を与えられて「自分の話をする」ことを練習しました。これは、精神的な問題や自分の弱みを吐露することができるよう、抱え込みをしないようにする練習。
一人で問題を抱え込むこと、頑張ってしまうことは精神の健康的によくないことがわかっている(はずなのですが…ちょっとエビデンスが見つけられなかった。でもとりあえずいろんな心理士さんが良くないと発信されている)
ので、メンタルの不調が一番しんどいところになる前に自分で自分のメンタルをコントロールできるようにしようね、というものです。
私は自分の状況が追い込まれてくるとパニックになって、誰に相談していいのかもわからず問題をため込んで爆発して後から責められるというタイプだったので、この訓練は自分の状態を把握して次にどうしたいかを決める際の道しるべになりました。話してるうちに問題解決の糸口が見えたり、感情を爆発させることができたりして、話すことで勉強になりました。
ミーティングの時に、母親のことで一緒に泣いてくれた△さんには本当にありがたかったなと思っています。

リワークの人間関係

基本的には、踏み込まない。でも、コミュニケーションをとってみて、共感できるところがあればする、共感できなくてもそういう人がいるんだなと思うようにする。いやなことはいやという。ちょっと議論がヒートアップするけど、各々で自分の考えを整理しよう。人を傷つけるのはだめ、そんな空間でした。いうなれば、適度な距離感。仕事の人間関係がこういう姿であったならどれだけこころが楽だろうというような空間でした。ミーティングも基本この姿勢で、そういう人を思いやった人間関係を維持する練習の一つでした。
職場や社会復帰をする目的で通っているのだから、当然職場の人や関係する人と対立しない、でも自分にストレスのかからない距離感をとる練習をするのは当たり前です。その中で仲良くなる人もいれば、内心共感できないな~この人と思う人もいたりします。それは別に悪いことではないし、そのなかでどう関係を線引きするかを自分で決めるのがリワークです。
ただ、この人間関係の構築を学ぶ中で劣等感とか疎外感とか気に入らない相手がいてフラストレーションをためるのも事実で、そこの自己コントロールは難しいなと思っています。実際、私もプログラム開始当初は他の受診者さんとどう接すればいいのか迷ったこともあります。事件もこの辺の気持ち(受診者間、受診者‐医療者間を含む)が関係してたりするのかなと思ったりしています(これはニュースを見たうえでのただの邪推です)。

リワークへかようひとたちへ

今回の事件を受けて、とてもショックを受けていると思います。まだ、何も事件の理由はわからないけど、私たちに向けられているかもしれない見えない相手からの敵意に動揺している方もいるかと思います。私もそうです。別に私に向けられた敵意ではないけど、リワークに向けられた敵意ではないかもしれないけど、でも、もしかしたらリワークに通う人間、リワークでうまくいきかけている人間に対する敵意かもしれない。そう思うと、すこし心がざわざわします。具体的に表現することは難しいけれど、とても寒く悲しい感じです。
しかも、こんな形でリワークが有名になっちゃって、ちょっと嫌な感じです。もっと良いことで有名になって、利用者が増えて自分にちょっと自信が持てる人が増えたらよかったのにという、気持ちもあります。あんなに受診者が頑張って、スタッフさんが頑張っているのに!と。私たちがどれだけ努力して人生再出発してると思ってるんだ!と。ショックもあるけど、この怒りも大きい。他人の人生舐めないでほしいよね。
そんな二つのお気持ちでした。
リワークで私は世間的に言えば「立ち直って」社会復帰できました。でもリワークの中でうまくいかないこともあったし、本当はプログラム最後まで実施できてなくて実はリワークがしんどくなって中退みたいなものです。そんな尻切れトンボですが、でもリワークためになったよ。なんだかんだ再就職もできたし働けてます。
今、リワークで頑張っている人は、ニュースのことが気になる人もいるだろうけど、それは心の片隅に置いておいてリワークに集中して無事に社会復帰できるようになるといいなあと思います。自分のことを看るのはしんどいけど、その先に残るものはきっとあるので。

感情の赴くままに書いたら文章ぐっちゃ!

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