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DJ SHARPNELマシンライブin日本科学未来館SESSIONS x draw();の解説

マシンライブ1年生のDJ SHARPNELです。
今回は2024年11月16日・17日に日本科学未来館で開催された「SESSIONS x draw();」でのDJ SHARPNELマシンライブの解説です。
この記事はSESSIONS Advent Calender 2024 6日目の記事として公開しています。

では行ってみましょう。スイッチ押すぞポチっとな。

SESSIONS x draw(); in 日本科学未来館

SESSIONS x draw();

今回マシンライブ出演の機会をいただいたSESSIONS x draw();は、FLONTL1NEが主催する技術・創作系アートテックイベントSESSIONS 2024内のAudio/Visualエキシビジョンとしてお台場の日本科学未来館で開催されました。
2日間にわたって開催されたSESSIONS 2024では、全世界から投稿されたシェーダー作品やDemo作品、音楽作品などのコンポ(競技会)や、アーティストによるプレゼンテーションなど様々なテクニカルセッションが行われており、その中でのイベントとなります。イベントはYouTubeでも配信され、現在はセッションごとにアーカイブが公開されています。

SESSIONS x draw();パートでは、ダンスフロアになったカンファレンス会場の大音響と大画面でVJによるコードジェネラティブなビジュアルとDJプレイのシンクロが展開、ライブパートではDay1にmoistpeaceさんによるコーディングライブ、Day2にDJ SHARPNELによるマシンライブが行われました。
DJ SHARPNELとVJのW0NYVさんのパートでは、マシンライブシステムをフロア側に向けて配置した、いわゆるBoilerRoomスタイルでのステージとなりました。
オーディエンスを背にしてW0NYVさんの作り出す極上のビジュアルを見ながら爆音でライブできてめちゃくちゃ高まりましたね。

ライブの模様全編はSESSIONSのYouTubeで視聴できますので是非ご覧ください。

DJ SHARPNELとマシンライブ

近年のモジュラーシンセブームもあって、昨年ごろから家で眠っていたシンセを繋いでみたり、少しずつ機材を集めながら素振りを開始。2024年1月にメタバースプラットフォームClusterにてマシンライブイベント「clusterマシンライ部」を開催し、校舎内での深夜のマシンライブ部活動というコンセプトで、早川あおせさん、嶽本サライさん、Yebisu303さんにも出演いただき、DJ SHARPNELとしてのマシンライブを初披露しました。


clusterマシンライブ2024第一回

マシンライブでは、リアルタイムで機材をコントロールしながらアレンジやシーケンスを構築していくスリルと偶発性がめちゃくちゃ楽しく、これまで行ってきたDAWを使用したトラックの制作やDJスタイルでのライブパフォーマンスとはぜんぜん違う刺激に病みつきになりました。
マシンライブで演奏される、その場限りのフレーズやサウンドは、ミニマルなテクノトラックであっても有機的で肉体的なプレイヤーの気分やノリがダイレクトに反映されて非常にスリリングで、マシンライブでしか得られない栄養が多く含まれています。
その後もあらたな栄養素を求めて美味しそうな機材をつぎ足しながら時々ショート動画などで投稿していたところ、SESSIONS x draw(); オーガナイザーのsainaさんより出演のお誘いをいただきました。

DJ SHARPNELマシンライブ at SESSIONS x draw(); のセットアップ

今回SESSIONS x draw();でマシンライブ出演するにあたって、以下のようなコンセプトを考えました。
・デモシーンともなじみ深いMODをハード化したトラッカーデバイスPolyend Trackerで全体を制御したい
・コーディングやエンジニアリングにちなんだアシッドテクノトラックを中心にプレイしたい
・生のアナログアシッドサウンドを響かせたい(爆音で)
このコンセプトを元に、以下のような機材でライブシステムを構築しました。
・Polyend Tracker
・Cyclone Analogic TT-303
・Roland SH-4d
・Roland TB-03
・ProCo RAT2
・Moog DFAM
・Mackie ProFX10v3
・dbx 1066
まあまあの機材ボリュームになりました。

SESSIONS x draw(); ライブシステム配線概略図
(dbx1066は出力最終段に設置)
ステージに向かう形で機材を配置しフロアから演奏

Polyend Tracker

システムの中心となるPolyend Trackerは、Scream Trackerベースのインターフェースをもったハードウェアシーケンサーで、内蔵のサンプラーやシンセサイザーだけでなく外部のMIDIデバイスもコントロールできます。
最近のバージョンアップでサンプル8ch、MIDI4chに拡張されました。
キック、ハイハット、スネア、クラップ、各種パーカス、ブレイクビーツなどのリズム隊とボイスサンプルはPolyendTrackerのサンプラーで再生しました。
パターンループでシーケンスを再生しながら「SHIFT+→」で次のパターンをキューイングして切り替え。パフォーマンスモードでトラックをリアルタイムにエディットしたりしています。

TT-303 + ProCoRAT2

UKのアシッドクリエイターChris Liberatorのサイン入りTT-303。
MIDIで内蔵シーケンサをトリガーして、303オリジナルモードで打ち込みされた生のアシッドフレーズを再生しています。
Polyend TrackerからMIDIメッセージを受信し、テンポのシンクロと共に、ノート番号に応じてパターンが再生できるので楽曲展開に応じてシーケンスを合わせられます。
ディストーションにはアシッドテクノの大御所HARDFLOORも愛用のProCoRAT2。LM308M搭載の90年代モデルで例の音に。

Roland SH-4d

4パート+リズムパートのオールインワンマルチティンバーシンセ。ローランド往年のシンセのオシレーターが再現されておりテクノとの相性抜群。
シーケンサ内蔵ですがPolyendTrackerからのMIDIメッセージでプログラムチェンジとノートを制御してます。

Roland TB-03

Roland boutiqueシリーズで発売されたRoland公式TB-303レプリカであるTB-03。矩形波のオシレーターで全体のベースフレーズを担当。カットオフを上げた時の力強いブリブリ感がたまらなかったです。
こちらもオリジナル303由来のシーケンサ内蔵ですがPolyendTrackerからノートを送ってます。

Moog DFAM

Moogのセミモジュールアナログシンセ。こちらはアナログシーケンサ内蔵。Doepfer MSY2でMIDIからシンク信号に変換して同期。変態的なミニマルドラムとして使われることの多いDFAMですが、今回は聞こえないぐらいの超低音域のサブベースでリズミカルなシーケンスを再生して体に感じるグルーヴに変化を与えています。

Mackie ProFX10v3

安定のMackie。

ライブトラックについて

SESSIONS x draw();のためのトラックパターンを用意

SESSIONSがShaderやDemoなどの表現に関連した技術イベントなので、音楽のモチーフもエンジニアリングやジェネラティブアートに関する内容で構成しました。
全体で一曲となっていて楽曲ごとにトラックは分かれていませんが、一部のパートをSESSIONS公式YouTubeチャンネルの動画の分数にあわせて解説します。

0:00~ SESSIONS x draw();

オープニングとなるパートで「SESSIONS」「draw();」のボイスサンプルをフィーチャーしたミニマルなアシッドテクノ。
W0NYVさんが出してくれたビジュアルのSESSION x draw();ロゴのモーションとぴったりあってテンション上がりました。

11:00~ Lines of code

コードによるアート創作をモチーフにしたポエトリーリーディングをフィーチャーしたアシッドテクノ。書かれたコードがきらめきのパーティクルになって世界を輝かせる的な内容。

15:00~ Our manifesto

アジャイルソフトウェア開発宣言(英語版)をフィーチャーしたアシッドテクノ。
アジャイルなソフトウェア開発プロセスを賛美するベースラインとシンセサイザー。
Taken from manifesto for Agile Software Development

19:10~ coding.disco(acid,techno);

ディスコサンプルをフィーチャーしたアシッドテクノ。

29:40- code test debug repeat

開発エンジニアの日常にコミットしたアシッドテクノ。

他にも40ほどのパターンを作成して随時展開を切り替えながら全体のストーリーを構築していきました。
全体で約40分のライブセットでは、普段のDJでのパフォーマンスと違って自分のコントロールですべての音や展開が変わってしまうため、かなりスリリングな演奏体験でした。DJと比べて音楽をコントロールできる変数が大量に用意されているため、常にどこかを変化させながら一番おいしい所を探っていくようなプレイになりました。
ビデオ収録やレコーディングと違って、やり直しができない生の緊張感をオーディエンスと共有できるのもライブならではの面白さでした。

今後もマシンライブセットやシステムを継続してアップデートしていければと思います。

みんなもマシンライブやろうぜ!(一仕事を終えて安堵の表情をうかべるDJ SHARPNEL氏)

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