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【競泳】池江璃花子選手の快挙に思う「受け手への配慮」
きのうまで行われていた競泳の日本選手権。東京五輪の代表選考を兼ねたこの大会は、池江璃花子選手に大きな注目が集まりました。
100mバタフライと100m自由形で優勝し、リレー2種目での五輪内定を勝ち取ると、最終日には50mバタフライと50m自由形でも優勝。みごと4冠を達成したのです。
2019年2月に「急性リンパ性白血病」が判明してから、2年とちょっと。驚異的な復活劇です。
そんな池江選手の快挙を報じる中で、目にとまった記事がありました。
「池江璃花子“応援が池江さんの重荷になりませんか…”質問に笑顔で回答」
土曜の夜にNHKが池江選手の独占インタビューを放送。その中で和久田麻由子アナウンサーが、こんな質問をしたというんです。
「池江さんを全力で応援したいという気持ちと、メディアやみんなが期待することが、どこか池江さんの負担にならないかと、ふと気持ちが入り交じる時があるのですが、私たちはどのように応援すれば池江さんにとって心地良いでしょうか」
伝える側の仕事をしている僕にとって、この配慮はとても印象的でした。
僕らは自分たちの表現が受け手にどう伝わるか、どんなときも考え抜かなくてはならないと思うんです。
選手だって受け手のひとり。
周囲が「勇気をもらえました!」「東京五輪も期待しています!」と言うことが、必ずしも池江選手のためにはならないかもしれない……。
そこまで考えたからこそ、聞き手は「応援が重荷になりませんか?」という質問をしたわけです。ナイス配慮😊
池江選手は笑顔で答えてくれたようで。
「今ここまで戻ってきて、応援されることでのプレッシャーはないです。応援されていることが自分のパワーに全てなっていると考えてもらって大丈夫ですので、たくさん応援してもらえればもらえるほど、強くなっていくんじゃないかと思います」
あぁ、質問をしてくれてよかった。笑顔でよかった。
さあ、話はここで終わりではありません。
もしも、僕が池江選手を仕事で取り上げることがあるのなら……。ということを考えました。
今回のような場合だと、選手サイド以外にも配慮すべき受け手がいて、それは「重い病に悩む人々」だと思うんです。
時にメディアは、池江選手を称えたいからと「池江選手の頑張りが、勇気を与えてくれる!」「努力はやはり報われる!」みたいな演出をしがちですが、はたしてそれはどうなのか。
患者さんの中には「池江選手のようにはいかないよ」「簡単な言葉で済まさないで」なんて思う人もいるのではないか。
いや、確実にいるでしょうね。
僕だって、妻ががんで苦しんでいた当時にそんなことを言われたら、同じように感じたと思うので。
もちろん、池江選手本人が「勇気を与えたい」と頑張るのはいいと思うんです。問題は、病気のことをよく知りもしない第三者が定型句のように言ってしまうこと。
その機会が来たとしたらどんな表現をすべきか、とことん考え抜きたいと思います。
今回の記事を読んで、僕の仕事って何なの?と思ったあなたへ。自己紹介をぜひ読んでみてください(↓)。
いつもとテイストが違いますが、最後まで読んでいただきありがとうございました🙂
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