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頼まれたら「NO」とは言えない妻でした。

きのう、10月16日は亡くなった妻の誕生日でした。

生きていたら、53歳だね。1日遅れになってしまったけど、おめでとう! 見出し画像には、好きだった色のリボンをかけてみたよ。

さて、きょうは妻について書きたいと思います。

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妻は僕より8歳上の〝姉さん女房〟でした。

同じ会社の古株で、放送作家の大先輩。僕が中学生のころには、もう業界で働いていたそうです。数々の情報番組に関わってきたからか、とても物知りでした。

こう書くと、しっかり者のような印象を受けるでしょう?

ところが、どっこい。

妻にはある特徴がありまして。

頼まれたら「NO」と言えない。

新聞の勧誘を断れないから、ポストは毎朝ギュウギュウ。どこかお店に行くと、勧められるまま会員になるので、DMもたくさん来ました。

会社ではね、どちらかというとハッキリ物を申すタイプだったんです。その調子で「NO」と言えば済むのに、不思議と断らない。

象徴的なのは、彼女の家に飾られていた謎の絵です。

描かれていたのは女性。立派な額縁に収められていたので値段を聞くと、ン十万円もしたと言うではありませんか。

ン十万ですよ、ン十万!

僕には審美眼が備わっていないので、本当にそれだけの価値があるかどうかはわかりませんでした。しかし、一つだけ確実に言えることがあったんです。

あなた、天秤座でしょ?

それって、

乙女座の絵だぞ?

絵の中に見つけた〝♍〟というマーク。

『聖闘士星矢』で育った僕にはおなじみ、乙女座バルゴのシャカが守る処女宮のマークだったんですよ。

指摘したら、そんなことはわかっていると。

……わかっていたのに断れなかったと。

へへへと。

流石に「私、天秤座ですから!」って断ったら、相手も納得したと思うんです。どうして買っちゃったかなあ……。

まあ、そこがかわいらしいとも思うのですが。

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こんな性格だから、妻はいろいろな人に頼られていました。

難病があって、放送作家の仕事も続けていて、それなのに、少年野球の世話役とママさんバレーの部長もこなして。

亡くなったあとは、本当にたくさんの方がお別れを言いに訪ねてきてくれました。「お世話になったから」と僕と子どもたちに手を差し伸べてくれました。

妻が「NO」と言わなかったことで生まれた、つながり。

僕の妻は、誰からも愛されるひとでした。

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せき|放送作家|オリックス&ジャンプ好き
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