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ハウスプロデューサーが生み出したProgressive Tranceの傑作。Rivaの名曲Stringerを振り返る Trance Classic Archives 07

Progressive Tranceというカテゴリーのダンスミュージック。言葉としては一つなのですが、Progressive Houseから派生したもの、Psychedelic Tranceから派生したもの、更にEuro TranceシーンからProgressive側への歩み寄りで盛り上がったものなど。

異なったルーツをもついくつかの音楽が同じ名称で呼ばれ、それぞれ独立したシーンを築いてきた歴史があります。

時期でいえば1990年代後半から2000年代中期にかけて特に大きな盛り上がりをみせており、音的にもダークでディープなものから明るく幻想的な音まで多種多様。

フォーマットは変化や進化していますが、現在でも多くのDJ/アーティストやダンスミュージックレーベルがProgressive Tranceシーンを盛り上げています。

今回紹介させて頂くRivaの名曲"Stringer"はその中ではEuro Tranceにルーツを持つProgressive Trance全盛期の2001年に生まれた傑作のひとつ。


Rivaというアーティスト

アーティスト名と制作する曲の雰囲気からミステリアスな雰囲気が漂うRivaですが、プロジェクトを手がけてきたのはDJ Zki and DobreやThe Good Men, Chocolate Pumaなど様々な名義でオランダのハウスシーンを30年に渡って牽引してきた先駆者Gaston SteenkistとRené ter Horstの2人。

DJ Mag Japanにインタビューがあるので気になる方はこちらを是非!

近年でもSpinnin' Recordsの象徴的な存在としてTiestoのMusical FreedomやHardwellのRevealed Recordings、AxellのAxtone Records、Oliver HeldenのHeldeepといったトップレーベルに楽曲を提供し続けるなど、今なおヒットメーカーとして活躍し続けているレジェンドです。

"Stringer"を制作したRivaという名義はトランスを制作するためのプロジェクトとして1999年にスタートしています。初期作の多くはワープハウスやハードハウス系のDJ達が牽引していたUKサウンドのパーティーやコンピレーションで多くフォローされていますね。

また、Rivaと並行してよりキャッチ目のトランスを作成していた彼らのプロジェクトDJ Manta名義でも"Holding On"という曲がヒットしています。

Unitedグループが運営していたオランダのトランスレーベルAllien Recordingsからリリースされた本作はLangeやArmin Van BuurenのRemixも人気を獲得したこともあって各国でライセンス盤がリリースされていますね。

この曲も多くのMix CDやコンピレーションにも収録されていたので、曲の存在を覚えていなくても「聴いたことあるかも!」という人は案外多いかもしれません。


満を持してリリースされた"Stringer"

Rivaプロジェクトのスタートから2年後の2001年。いくつかのリリースを経て、彼らはついに"Stringer"を世に送り出すことになります。

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オリジナル盤は"Holding On"と同じくオランダのAlien Recordingsからのリリース。カップリングに収録の"Mistral"もそうなのですが、どちらも曲調はダークで疾走感のあるトランスとなっています。

特徴的なメロディー。ワンフレーズをループさせながら徐々にビルドアップしていく構成。音数も少なくシンプルさを追求し、テクノのミニマリズムを持ち合わせた新しい音のトランス "Stringer"は当時飽和状態で新しい音を模索していたトランスシーンにおいては衝撃的な作品でした。

収録されたCDやDJ Mix

DJ TiestoのMix CDシリーズMagikの"Magik Seven: Live In Los Angeles"やArmin Van BuurenがUnitedからリリースした4枚のMix CDシリーズの002 "Basic Instinct"、GatecrasherやMinistry Of Soundのコンピレーションなど。多くのDJ達のMix CDにこの曲は収録されています。

日本であればFerry Corstenが監修した "Trancedome 01"というMix CDに収録されていましたし、Above & Beyond初の日本公演となった東京デビューのDJの際にもプレイしていたようで、当時の再現セットでもピークタイムに使われていますね。


商業的な成功とその余波

"Stringer"の大ヒットの前後、2001年から2003年頃にかけてはメジャー系を含む多くのレーベルからRivaのRemixが制作されました。

代表作いえば Markus Moserと歌姫Nadia AliのプロジェクトIioの"Rapture"のRemixがやはり最も大きな成功を収めたRemixと言えるでしょう。

"Rapture"のTrance Remixといえばこれ!

商業的な歌物のRemixを請け負う事が多かったこともあり、短期間に大量のRemixを制作しているRivaですが、基本的なプロジェクトのフォーマットは流用しているので彼らのサウンドに原曲やボーカルがフィットしたかどうかで評価が分かれている印象は強いですね。

"Precious Heart", "Into The Sun", "On The Move", "Tremble" "Say That You're Here"辺りは当時多くMix CDなどに収録されており、好Remixと言えるのではないでしょうか?

オリジナル作品では"Stringer"を引き継いだフォローアップシングルともいえる"Time Is Healer"という曲も発売され、こちらも"Holding On"と同様にArmin Van BuurenによるRemixの人気が高かったですね。

Rivaとしてはその後もいくつかの作品をUnitedグループの系列レーベルから発表していましたが、グループのクローズと時期を同じくして活動は休業しています。新たなハウスブームやEDMブームが訪れた事でChocolate Pumaでの活動が主流となっていったことが影響していたのでしょう。いつかまた新曲を聴いてみたいものですね!


様々なバージョン

RemixからBootleg、カバーやLive用のアレンジなど。ここからは"Stringer"の様々なバージョンを聴いていきましょう。

Riva ft. Dannii Minogue - Who Do You Love Now [United / FFRR]

"Stringer"の各国ライセンス盤を制作する際にDannii Minogueをボーカルに起用した歌入りのバージョン。

 "Who Do You Love Now? (Stringer)"としてリリースされており、ヨーロッパ圏を中心に6か国以上でライセンスリリースされるなど商業的にも大きな成功を収めていますね。こちらはPVも制作されています。

また、リリースの際にボーカルの有り無しでいくつかのRemixが作られており、Riva自身によるBola Bola MixやTall Paul Remixなどの人気が高かったですね。


Riva - Stringer (Bart Claessen 08 tek bootleg) 

リリースから7年後の2008年に制作されたRemixでBarthezzとしても人気の高かったBart ClaessenによるTech Tranceバージョン。かなりアッパーでバキバキのRemixなのですが、プレイしているDJは多かったです。

クレジットにBootlegとあるように先行して発売されたレコードではレーベル明記なしのホワイト盤のみの扱いだったのですが、後にデジタルで正規リリースがされました。

Dannii Minogueのボーカルが入っている"Who Do You Love Now?"バージョンとDubで歌無しの"Stringer"バージョンとどちらもあるのもユニークですね。

Jon O'Bir - Stringer (Original Mix) [Reset]

Jon O'Birによるカバーバージョン。当初はRemixとしてクレジットされていたのですが、後にカバーとしてSpinnin'系のトランスレーベルResetから2010年にリリースされています。

原曲を忠実に音をアップデートしたようなProgressive Tranceで、Bart Claessen Remixのような強烈なインパクトはないのですが、当時のトランスシーンがミドルテンポのProgressive Trance主体になっていたこともあって需要が高かったサウンドと言えます。

また、非常に丁寧な作りですね。


Riva vs. Nirvana - Smells Like Teen Stringer (Re:Locate vs. Robert Nickson LIVE Mix)

Re:LocateとRobert Nicksonがトランスフェスティバル"Luminosity"用の秘密兵器として作成してきたのが"Stringer"とNirvanaの名曲 "Smells Like Teen Spirits"を組み合わせた超大ネタ。

どちらの曲も知っている人であればもう想像通りとしか言いようがないほど完璧な内容なのですが、単純にマッシュアップではなくStringerの部分はほぼリメイクともいう位再構築されたアップリフティングトランスバージョンとなっており、構成もNirvanaにあうようにされていたりと割と細かく作りこまれているのが好印象ですね。

Robert  Nicksonが来日することがあれば聴けるのかもしれませんが、これは盛り上がるしパーティーで聴いてみたい!

最後に

今回の特集はいかがでしたでしょうか?ご紹介させて頂いた"Stringer"は私個人的にも思い入れがあって、当時のヨーロッパのトランスは洗練されていてかっこいいな!と強烈な印象を残してくれた1曲でもあります。

あの頃から20年が経ってもトランスの新曲を追い続けている私ですが、Mix CDで初めて聴いた時の感動や福岡のレコードショップでこの曲のレコードを見つけた時の嬉しさは今でも忘れられません。ずっと聴き続けていられるほど最高にかっこいい音楽だと信じてやまないので、そんな感動を与えてくれる曲が今後も増え続けてくれることを本当に願っています。

それと音質がバリバリしていたので今回取りあげなかったのですが、当時のレコードショップではこの曲の無茶なMashupやbootlegを何度か見かけた覚えがありますね。それだけ人気があったということなのかな・・・


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