トランス新時代を切り開いたASOT初期の Envioの名曲を振り返る Trance Classic Archives 03
第1回、第2回と90年代の夏の名曲をピックアップしましたので、今回は2000年代からの名曲をピックアップしました。
今やオランダを代表するダンスミュージックカンパニーと言っても過言ではないArmada Musicの主催であるArmin van Buurenのレーベル "A State Of Trance" (以下ASOT) 初期にリリースされた夏にピッタリなトランスを紹介させて頂きます。
トランスの新時代 A State Of Trance
ASOTは2021年現在でも高い人気を誇るArminの同名のラジオプログラム"A State Of Trance"から誕生したレーベルで、Armada Musicが運営するトランス専用レーベルとしてスタートしました。
ASOTは2021年に通算1000回を迎えたクラブシーンの人気プログラム
レーベルとしてのASOTの話を少しすると、2003年にスタートした最初期にはVincent De MoorやM.I.K.E.、Signum、Pulserといったヒットメーカー達の新曲が多かったのですが、世界中の若いアーティスト達からのデモがラジオショーでプレイされるようになると、これまで聞いたことのなかったアーティスト達の楽曲が次第と増えていくようになります。
当時台頭してきた若手トランスプロデューサー達の中ではAirbaseやEnMass(Randy Boyer), Passiva, Robert Nickson, Octagen(Re:Locate), Filo & Peri辺りのアーティスト達を多くピックアップしていたのがArminとASOTで、Mix CD "A State OF Trance"シリーズに先行して楽曲が収録されるようになるとトランスの新時代を象徴するような存在へと成長を遂げていきます。
2006年には日本人アーティストHiroyuki Odaの楽曲がリリースされたことも当時大きな話題となりましたね。
2021年現在でもほぼ毎週新曲をリリースし続けるクオリティーレーベルのASOTですが、そんなASOTのレーベル初期に高い人気を獲得していたのが今回紹介するのがEnvioの”Time to Say Goodbye”です。
Envio - Time to Say Goodbye
"Time To Say Goodbye"はスウェーデンのプロデューサーEnvioの2nd singleで、前作 "Touched By The Sun" (これもとても素晴らしい曲)の流れを引き継ぎ、2004年にASOTからリリースされました。
ラジオショーのASOT124で初プレイされ、その後2週に渡ってFuture Favoriteを獲得。当時はFuture Favoriteに選ばれると翌週もプレイされる方式だったので合計3週間に渡ってプレイされていますね。
全体に綺麗な曲ですが、その特徴は何といってもブレイクで特に際立つ泣きのギターと言えるでしょう。このフレーズ、夏の夕暮れにずっと聴いていたい。
また、PassivaによるRemixがMix CDの"A State OF Trance 2004"に収録されており、こちらの方が聴き覚えがあるという人も多いかもしれません。
オリジナル以上に壮大なブレイクとサビからのエモーショナルな展開は時代を感じます。Passivaも紹介したい名曲が多いですね。
Limited版のRemixesに収録されていたOzgur CanのRemix。Ozgurは同時期のProgressiveシーンで大ブレイクしていた印象がありますね。
2021年には待望のNew Remixが同じくArmadaグループのトランスレーベル "Who's Afraid Of 138 ?!"からリリース。
South Of The Starsによる今のダンスシーン向けにアップデートされたアップリフティングなRemixはRemixでこれからの季節のトランスパーティーやフェスティバルで聴きたいサウンド。
Envioの当時の評価やその他のリリースなど
Envio (Ashkan)のプロダクションは全体にバレアリックなサウンドを当時主流になりつつあったEuropean Tranceのスタイルに置き換えたものが多く、ChicaneやSolarstone辺りの音が好きだったファンに好まれていた印象が強かったですね。
リリース数こそ多くはなかったのですが、この曲以外にもASOTから数曲のシングルやSalt Lake名義の"Sunset Highway"やA.M.(AshkanとMike Shiverのコラボ)の"Arisen"など、いくつかの名作を残していますので興味を持った方はそちらも是非チェックしてみてください。
Envio (Ashkan)自体の新曲もまた聴けたら良いなと願いつつ、今回の記事を締めたいと思います。
筆者自体はDJを始めた2005年前後の曲が一番得意なのでこの時代の曲も遠くないうちにまた!
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