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新ジャンルDeep Tranceはその後どうなったのか?!軌跡と新たなスターを追う2024年の現在。
2023年にProgressive Trance / Psychedelic TranceシーンにおけるビッグネームであるJohn 00 Flemingが発起人となり、ダンスミュージック最大手のショップBeatportが新たにTRANCE (RAW / DEEP / HYPNOTIC)を一つのカテゴリーとして発足させたという記事を書きました。
Deep Tranceと名付けられたこれらのカテゴリーの記事ですが、おかげさまで結構な反響があり、多くの方に読んで頂けた事を本当に嬉しく思います。(シーン設立の経由や何故そう呼ばれるようになったかは是非ご一読下さい)
私自身、現在DJの際にメインサウンドとしている音がMelodic ~ Progressive系Houseを主軸としているのですが、ピークタイムにはこのDeep Trance系の曲を混ぜながらプレイしているのでパーティーにおける確かな手応えやフロアでの熱もリアルタイムで感じています。
また、この度シーンを代表するDJ / アーティストの1人でもあるUV (FSOE UV)の主催Paul Thomasが日本へと来日してくれる事になり、今このサウンドがどう評価されているのか?という事も紹介させて頂きました。
Deep Tranceの現在
シーンとして1年半という期間を経て、1段階の成熟を迎えたDeep Trance。様々なレーベルやDJ、アーティスト達のアプローチがあったり、独自色を増しつつあるシーンの現状。そして代表的な楽曲やアーティストを紹介しながら、現在どうなっているのか、どこへ向かおうとしていっているのか?を解説させて頂きます。
シーンの傾向
https://t.co/dqd07cZLty
— DJ NECO (@dj_neco) May 12, 2023
ついに実現したDeep Tranceカテゴリー。アンダーグラウンドなProgressive Trance, TranceとTechnoのコンバートがメインとなるそうです。
発起人のJOOFは勿論、Pure TranceやFSOE系の一部レーベルUV、Lost Language、AirwaveやGai Baroneのような音がメインになるみたい。
こちらは1年半前の発足当時のSNSでの私の投稿です。2024年12月で1年半とちょっとが経過しましたね。
Deep Trance全体の傾向で言うとアンダーグラウンドなサウンドのトランスやテクノ系トランスという主軸は変わらず。今年は特にAcidサウンド、Trance Classics系のリフがダンスシーン全体で流行ったこともあり、Melodic TechnoやMelodic HouseのDJ達もこの辺りの音は結構プレイに組み込んでいましたね。
レーベルでは設立からでいえばJOOFを筆頭にIbogaやLost Language、Pure Trance, UV、Forescape DigitalなどかつてのProgressive Trance系のレーベルは引き続きこのジャンルからリリースを続けました。
特筆すべき新しい点としては先に紹介したAcidベースのTrance寄りなTechnoや90'sなTrance Classicsサウンドの渋めの新曲とProgressive Trance以外の曲が少しずつこのジャンルの曲としてシフトしてきたような印象がありますね。
Charlotte de WitteのレーベルKNTXTやJohn AskewのDeep In Thoughtによるトランスに近いテクノはこのジャンルからリリースを展開していましたし、その筆頭はKI/KIが運営するレーベルSLASHでしょう。
リリースこそ少ないものの、SLASHは現在の同ジャンルにおける確実アントップセラーとしてその地位を確かなものにしました。KI/KI自体がトランスのメインストリームにおいても今年トップの存在感をみせるほどシーンを牽引していましたね。KI/KIについてはアーティスト項目でも触れていますので後ほどに!!
また、シーンにおけるビッグニュースで言えばArmada MusicがDeep Trance市場へと参入してきたことでしょう。
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こちらはProgressive寄りのサウンドとしてのアプローチですね。Armadaから同ジャンルの大型リリースが出た事は面白い傾向。
Tranceシーン以外ではSashaの今春のリリース"Fleuron Drift"にDeep TranceのRemixが収録されていたり、TechnoのトップレーベルFilth On Acidや日本でも人気の高いテクノDJ Nina Kravizが自身の最新アルバムのRemixesにDeep Tranceのバージョンを収録するなどの動きがありました。
サウンドの性質もあって、メインストリームのダンスミュージックのように巨大な市場やオンリーのビッグパーティーはまだ無いのですが、アンダーグラウンドなムーブメントの一つとして少なからずシーンに影響を与えていることは間違いないようです。
シーンを牽引する新興のレーベルやDJ / アーティスト達
Settlement / BAGRUHM
Deep TranceメインのレーベルではFuenkaが主催のSettlementやアンダーグラウンドシーンの雄Basil O'GlueのレーベルBAGRUHMなどが挙げられます。
ダークなMelodic TechnoやDeep Progressive系の音をDeep Tranceと位置付けてリリースを続けるSettlementはYU-1やDominant SpaceのYuji Ono & Masayaといった日本人アーティストのリリースも続きましたね。
YU-1
Afterlife Mexico2024🇲🇽
— YU-1 Music (@yu_1music) June 4, 2024
Kevinありがとう!
Cassianも盛り上げてくれてる🙏
これは僕にとって特別な瞬間です。
つづくpt.4#afterlife #melodictechno #mexico #dj pic.twitter.com/7Uf78Yj85l
YU-1さんはMiss MoniqueのレーベルSionaやProgressiveの人気レーベルTimeless Momentからも楽曲をリリースしており、日本のみならず世界から注目を集めつつある逸材と言えるでしょう。
Chloé Caillet
DJのシーンにおけるライジングスター的な存在でいえばパーティー / レーベルを連動させたコミュニティーSmileの主催で今世代のダンスミュージックアイコンの1人でもあるChloé Cailletはこのジャンルの発掘に熱心ですね。
https://www.instagram.com/chloecaillet/
BBC Radio 1 Essential Mixに提供したMixでも後半のピークタイムにヒプノティックなTranceを用いているChloéはBalearicスタイルを現在の感性で展開する最も情熱的なDJの1人といえるでしょう。
KI/KI
また、先ほども紹介しましたが次世代のトランス系最注目プロデューサーのKI/KIも出るべくして出てきたDJ / アーティストですね。
Boiler Roomで直球のTrance Classicサウンド ~ Deep Tranceを展開するKI/KI。今年はVENTにも来日していましたね。
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Deep Trance市場における代表的なヒット作
2023年からの一年半の間にリリースされたDeep Tranceの中で特に大ヒットした注目のリリースをまとめてみました。
Estiva - Via Infinita (Marsh Remix) [Colorize]
2023 - 2024年のDeep Tranceカテゴリーで最も大きなセールスを記録したEstiva - Via Infinita (Marsh Remix)。筆者も来日時にサポートさせて頂いた際に話していてTranceへの愛が止まなかったMarshがRemixを手がけた本作は同ジャンルのみならず、人気レーベルColarize、そしてMarshの年間セールスにおいても長きに渡って1位を獲得し続けた大ヒット作。
Protoculture - States Of Flux [Enhanced Progressive]
ビッグネームのアーティストで言えば長年に渡ってPsy ~ Progressive Tranceシーンを牽引してきたProtocultureがこのカテゴリーからのリリースを増やしてきましたね。
Protocultureが2023年末にリリースした"States Of Flux"は2024年も好セールを記録し続け、Protoculture自身とEnhanced Progressiveレーベルの両方で2024年の地震におけるナンバー1ヒットを獲得しました。
Dosem & My Friend - Melange [Houstrike]
DosemとMy Friendのコラボ新曲 "Melange"、Harthouseや90年代Platipusのような初期トランスサウンドを今風のMelodic Technoに再構築したようなトラックでかっこよすぎる。
— DJ NECO (@dj_neco) May 15, 2024
凄いな、これhttps://t.co/R4p5eLAz5b
Orkidea - Dance Of Life [Pure Trance]
Orkideaの2024年最新曲の1つでPure Tranceの年間ベストセールストップ10内にもランクインした本作。メロウなProgressive Tranceで、この辺りのサウンドも以前はTranceのメインの方でリリースされていたのですが時代の流れを感じます。
Orkidea、フィンランドの国営放送のサウンドディレクター兼DJという偉い人だったのですが、現在は育児休暇でお休み中とのこと。2018年にDJとして上の娘さんを連れて来日していましたが、めちゃくちゃ良いパパでした。
Deep Tranceのその後の特集記事はいかがでしたでしょうか?
もっと聴いてみたい、その後もまた伝えてという方は是非いいねボタンやパーティーで私に伝えて頂けるとモチベーションとなりますので是非宜しくお願いします。