泥沼化するLil Durk vs NBA YoungBoy
前回の記事で、次はシカゴDrillのビーフについてまとめると宣言したんですが、つい先日(てか昨日)、渦中のLil DurkとNBA YoungBoyがお互いにディスソングをリリースした事を受け、急遽両者のビーフについてまとめる事にしました。タイムリーなニュースなのでこの記事をアップした後に追加情報や訂正記事が上がるかもしれませんが、取り敢えず現時点で分かっている情報についてのみ言及させてもらいます。
※2022.03.29 加筆修正しました
1. King Von殺害事件
いつから2人の関係はこじれていったのか?このビーフを紐解いていくと、発端はKing VonとYoungBoyのいざこざからきている事が分かりました。
2018年にYoungboyがリリースした「Play with us」と言う曲を聞いたKing Vonが、インスタライブで同曲について言及。
YBが曲中でラップしているストリートの経験と、自身が歩んできたストリートの経験があまりに違う為、「YBのリリックはフェイクだ」と嘲笑。このインスタライブの内容はネット上で拡散され物議を醸しましたが、当時VonもYBも保護観察中だったようで、しばらく2人の間に音沙汰はありませんでした。
事態が動き始めたのは2020年の夏頃。Vonが、YBのベイビーママであるJania Meshellとの交際が噂されるようになってから。
King Vonのガールフレンドと言えばAsian Dollが有名ですが、この頃には2人の関係は解消していたらしく、またJania MeshellもYBとは破局していました。
YoungBoyは2人の関係を良く思っていなく、特にレーベルメイトのQuando RondoがVonに対して怒りを露わにしていました。一連の問題に対してVonは、「ネットが煽ってるだけで、YBとはビーフも無いしJaniaとは一緒に曲を作っているだけ」と釈明。
しかし2020年11月6日、Vonはアトランタのナイトクラブの外でQuando Rondo一行と口論になり、取り巻きの1人であるLul Timに銃弾を浴びせられ死亡しました。
ここからNBA / 4KTと、OTF / O'Blockの関係が悪化していきます。
2. NBA vs OTF
まず、この事件のあった一ヶ月後に、Vonの事件現場に居合わせていたQuando Rondoの仲間の1人であるMariが、何者かに殺されます。
翌年の6月6日、今度はLil Durkの実の兄弟であるD'Thangが、シカゴのClub Oの外で射殺されました。
更に2021年の12月、NBA所属のNBA Ben 10とその従兄弟がドライブバイシューティングを受けました。幸いBen 10は一命を取り留めますが、従兄弟はそのまま帰らぬ人に。
3. Bring The Hook / YoungBoy
犯人が誰なのか、NBAとOTFの報復合戦なのか、ネットでは様々な憶測が飛び交うも真相は闇の中。そんな中、今年1月、YoungBoyが "Bring The Hook" という曲をリリースしました。
この曲の、 "Ni**a, this that Squid Game, O'Block pack get rolled up
Murder what they told us, Atlanta boy get fold up" 「これはイカゲームみたいなもんだ。O’Blockの連中は奴等に集められて殺された。アトランタボーイは潰してやった」というラインが、O'Block並びにKing Vonの死(Vonは生前アトランタに住んでいました)に対しての侮辱だとして、YBファンとLil Durkファンの間でネット論争が巻き起こりました。
4. 札束文字の応酬
これを受けてDurkioはInstaにて、「Don’t claim it if you ain’t do it you still a bi**h(実際にやれねーなら余計な事は言うな。お前はどこまでもビ*チだ)」のキャプションを付けて投稿。
Vonの隣で札束を積み上げ、セルフボーストの意味も込めたDurkio。それを受けてYBも札束で応戦。
札束を使って「you n-ggas gone die(お前死ぬぜ)」の文を作りました。それを受けて今度はDurkioが、同じく札束文字で「じゃあ早く来いよビ*チ」とアンサー。
この札束文字は、多くのラッパーがこぞって真似てミーム化しました。
https://www.instagram.com/p/CZGVlB2tno1/?utm_source=ig_web_copy_link
5. Lil Durkアンサー
注目を集める両者のビーフですが、遂にLil Durkが曲で応戦します。
1バース目に登場するDurkioは、Vonを殺害したLul Timが撃たれたのも、NBA Ben 10とその従兄弟が撃たれたのも自分とその仲間の仕業だと暗に示しており、「いつでもお前等を狙えるぞ」と宣言しています。
更につい先日リリースされた "AHHH HA" では、YBとNBA / 4KTを徹底的にディス。
リリック全てを和訳する能力は無いので、Geniusの注釈部分をかいつまんで説明すると、
・YB達の一連の挑発行為は曲中だけのフェイクで、実行する気は無い臆病者
・自分達はYBのシマを自由にすり抜けたが、それにYB達は気付いていない。自分達はいつでも "動ける"
・YBのベイビーママ(Jania Meshell)とVonの件に言及し、「OnlyFans(アダルト系のSNS)に投稿してるようなビ*チは放っておけって言ったんだよ」と挑発
・実の兄弟であるD'Thangを殺した犯人を知っていて、"処理" は終わっている
・Vonの事件の一ヶ月後に殺されたMariは、自分(達)の犯行
6. YoungBoyアンサー
これに対してYBはすぐさま "I Hate YoungBoy" をリリースし応戦。
「Chop(AK-47)でO'Blockを "掃除" する」と宣言。更にDurkioのガールフレンドや父親の事までディス。しかし、何故か21 Savage、Lil Baby、Boosie Badazz、更にはYoutuberのAdin Rossまで口撃。今回の件に関係の無い面子にまで絡む事で、このアンサーは周囲から冷ややかな目で見られています。
Lil Durk曰く、YBは精神状態が不安定で薬も服用しているんだとか。今回の件で精神的に参って薬のオーバードーズを引き起こし、所構わず噛み付いているのか?と推測しています。
激化する両者のビーフ。これ以上の犠牲者が出ない事を願うばかりです。
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