【連載】日本のストリートボール史 vol.8

- 新たな仲間とライバル達の登場編 -
※個人の記憶を奔放に綴った内容ですので、事実と異なる点もきっとありますがご容赦下さい。

ようやくチームとしての体裁が整ってきたFAR EAST BALLERS(当時はFAR EAST BALLS)。そこでメンバーのお披露目イベントとして、渋谷のクラブ「THE GAME」にて夕方イベントを開催。マツヒデのパフォーマンスから始まり、CHRISのライブ、AJによる代表挨拶やメンバー紹介など、あくまで関係者や僅かながら既にいたファン向けのコンパクトな内容でしたね。

画素が粗すぎて誰なのか全員は判別できませんが、FEB最初の集合写真がこの日のイベント後に撮影されました。

この頃になると、AJやATSUSHIとLAで交流し、その後帰国していたJIROさんによる六本木のクラブイベントに出演させてもらったり、町田の広場で行われてた「籠球縁故」に出場したり、横浜赤レンガ倉庫での3on3大会にCHRIS、U-LAW、助っ人ビッグマンであるBIG WEST(大西君)で挑戦したりと、活動の場も増え、徐々にFEBの存在が世間に広まっていく感覚がありました。

そして、4月からテレビ東京でスタートしていたアニメ「DEAR BOYS」。そのエンディングテーマがCHRISのデビュー曲「Ballerの章号」。青学の教室で聴いたあの曲です。そのエンドロールの背景にはドリブルをするシルエットでCHRIS本人が登場し、”あの影は誰?”とネット上で少し話題になっていましたね。

この曲を含むデビューミニアルバム「Love me or not」の発売は7月30日。その前にもう1つのリード曲である「Chosen One」のPV撮影が、6月のある平日、都内のハウススタジオで行われました。

Hip Hop好きの小僧達にとっては憧れのPV撮影だったわけで、相当な気合いと目一杯のおめかしをして集合。我々以外には、DJ MASTERKEYさんはもちろん、DJ KAORIさんや、同レーベルのDJ陣の皆さま、そして有名ダンサーの方々など豪華な顔ぶれ。途中にCHRIS、AJ、COHEYによるボールパフォーマンスのシーンも挟み込まれるなど、FEBにとっても理想的な内容で、本当に貴重な経験となりました。

しかしこのすぐ後に、U-LAWが福岡へ帰郷。これまでの期間でU-LAWが大好きになっていた自分やスタッフ陣は、AJに引き留められないか聞きましたが、”あいつが決めたことだから”と、早くも仲間との悲しみの別れが訪れました。

チームとの微妙な方向性の違いを感じ、東京での学びも得て、”やっぱり福岡”を選んだU-LAWは、その後「侍BALLERS」を結成。この文章を書いている2022年も常に変化と進化を繰り返し、恐ろしいことにいまだ全盛期。当時はSNSもYouTubeもない時代だったので、福岡の実家に帰ったTANAが街で最新の侍情報を入手し、”またU-LAWさんヤバいっすよ”から毎回始まるその話を皆で興味深く聞いていましたね。

激動の6月。この時期にNIKE JAPANから初めてお仕事を頂くことにもなりました。当時TV CMがばんばん流れていた「IS THIS YOU?」キャンペーンのプロモーション協力です。

“パスワーク”をテーマにした、いま見ても余りに鮮やかで流麗なCM。それとは異なり、粗い画質の中、アジア系と思われる選手が凄いプレーをする音楽もないぶつ切り映像で、最後に出る文字が「IS THIS YOU?」。この謎に包まれた映像が収められたVHSテープを、首都圏のストリートコートでピックアップゲームをしまくって、その場にいる人々に配布せよ、その指令を受けたのでした。世の中がVHSからDVDへ本格的に移行し始めたちょうど端境期です。

駒沢公園、小金井公園、海浜幕張にあったストリートコート、S.H.UがHOOPを建てた代々木公園のケヤキ並木に、AJ、COHEY、KUNIO、MATSU、HIDEで登場し、ひたすらピックアップ。TV CM内のプレーを意識したパッシング・ゲームを行いつつ、どこのコートのピックアップでも全勝を達成。そして相手のプレイヤー、集まった観客に謎のテープを配りまくりましたね。

このプロモーションの行き着く先は、8月にパシフィコ横浜で行われる「NIKE BATTLE GROUND ASIA 東京」。同月にはPLAYERSの憲吾さん主催の「夏!バスケ祭り in 渋谷AX」、そしてFEBによる沖縄ツアーも予定されていました。

そんな怒涛の8月を目前に、7月の後半に行なわれたとある3on3大会にて、横浜TEAM-Sとはまた別の、FEBにとって厄介なチームと遭遇するのでした。

つづく

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