私がオフィス業界から立ち退いた理由
こんにちは。Hierro (イエロ)のyuiです。
私は大学の頃より、アメリカの設計事務所の東京支社でインターンをしながら、働く環境と組織経営について研究をし、就職してからは「ワークプレイスストラテジスト」という職名で、国内外の企業に対して、オフィス構築のコンサルティングを行なっていました。
2019年11月には独立し、一級建築士の同僚と共に、株式会社Tokyo Creators' Project (TCP)という会社を立ち上げ、オフィス構築に関わる様々な分野で、沢山のプロジェクトに参画させていただきました。
2022年には、ビジョニングに関わらせていただいたクライアントが日経ニューオフィス賞を受賞したり、デザインをさせていただいたクライアントが商店建築に特集で掲載されたりと、とっても光栄で素敵な出来事もありました。
しかし、2022年10月31日に、約3年間パートナーと共に奮闘してきたTCPも閉じることに。11月1日からは合同会社Hierro(イエロ)として、新たな活動を始めることにしました。
TCPの解散は私の中で「オフィスビル事業からの撤退」を意味します。
少子高齢化、生産年齢の減少、リモートワーク推進による首都圏の人口減少は見込めるものでした。にも関わらず、2022年〜2024年の3年間に幾つのオフィスビルが首都圏に建つかご存じでしょうか?
なんと、延床面積約300万㎡、オフィスの席数に換算すると100万〜150万席分のオフィスビルが建設予定にあります。
この高層ビルは果たして本当に必要なものでしょうか。
高層ビルの乱立による弊害は、枚挙に暇がありません。
産業廃棄物の20%は建設業が占めます。
コンクリートジャングルである都市部は熱帯化が進んでいます。
もちろん、2022年~2024年の3年間で100万人のホワイトカラーが増えるわけではないので、新しく建てる分、空室は増え、無駄な不動産が発生します。
そしてもちろん建てる側は、賃料の高い新しいビルに入って欲しいわけで、企業をそちらに動かすので不動産価格は上がります。
さらには、建てたビルをリートにかけることで、マネーゲームが始まり、
暮らす人々が住みやすい街づくりではなく、投資家がゲームに勝つための街づくりへと変わります。
SDGsバッジを胸に掲げても、ESGなどの社会課題に対する取り組みを謳っても、売上・利益・経済的成長を天秤に乗せると、いとも容易く、その理想は無視されているのではないでしょうか。
私はこういった現代の矛盾を受け止めきれず、オフィスビルに携わる事業から離れることを決意しました。
私が離れたところで世の中の動きは全く変わらないですが、疑問のある仕事を世の中に推奨していくことは、私の仕事観とは違ったのです。
なので、これからやりたいことを平た〜く言うと、既存建物の利活用がベースになるかなと思います。
しかし、ここまでお世話になった業界への恩もありますし、総務やファシリティマネジャーの皆様、オフィスデザイン・コンサル業界の皆様からも様々とお声をいただきます。
高層ビルに関わらず、オフィスという働く環境は会社につきものなので、組織のあり方や働く環境の構築がクリエイティブかつコンセプチュアルにできる人材はまだまだ必要だと思います。
wit(ワークプレイス可視化レポート)の開発動機もそうでしたが、既存権益、市場の相場、世の中の潮流だけに流されることなく、客観的かつ主観的に意思決定のできる情報を揃えることが、情報の洪水と消費の推奨がなされる現代において大切なことだと思っています。
そういった活動につながる事業は、ワークプレイス業界の中で、まだまだ続けていこうかなと思案しています。
また、新しい挑戦として、新しい都市・街の在り方を考えてみたいと思っています。コンクリートジャングルでも、スマートシティでもない、何か。
正直、都市がスマートでなくても、全くもって生きていけると思っているし、それよりも、星が綺麗とか、山川がすぐそこにあるとか、老若男女で仲がいいとか、自然や動物が豊かだとか、美味しくて安心できるご飯が食べられるとか、産業革命以来の工場や事務所に詰められた"労働"ではない仕事の在り方とか、損得勘定だけでない人間関係を築けるとか、そういう暮らしを、自分一人でするのではなく、みんなができるような仕組みや環境を30代では考えてみたいですね。
一人で出来ることは限られているし、まだまだ未熟者なので、今は熊野の地でたくさんのことを勉強させてもらいながら、そして、この暮らしを支えてくださっている多くの方々に毎日感謝しながら、日々精進とさせていただいています。
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