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東京難民 / 福澤徹三

Amazon の Kindle Unlimited にあったので「東京難民」を読んでみた。普通にのほほんと暮らしていた大学生が、両親の失踪から学費滞納を起こして除籍になってしまう。そこから、情弱な学生崩れを利用し吸い尽くす魑魅魍魎な大人たち。そうした関わり合いと世間知らずさから、まさに坂を転がり落ちるように転落していく主人公の人生。

一時期ハマって見入った「ミナミの帝王」シリーズの各話のエッセンスを凝縮したような内容と、主人公に次々と起こる状況と取り巻く人間模様の変化とで、一気に読み終わってしまった。

以下、ネタバレな余談。

主人公が最後に行き着くところが蒲田。
「100円で泊まれるネカフェ」「近くのコインロッカーに荷物を入れた」という辺り、明らかに「いちご」で思わずニヤリ。一方で、「改札を抜けてホームへの階段を上がる」とか「蒲田の高架沿いを歩くと多摩川の河原にたどり着いた」とか、明らかに現地を取材してないよねというところが残念。最終的に、その「高架沿い」からたどり着いた多摩川の河川敷でのホームレス生活になってしまう辺り、ほぼ毎日散歩している場所なだけにリアルに情景を描けてしまうところがまた面白かった。

更に余談。

長沼(ながぬま)
「鳴海建設」の寮の同室者。禿げ頭にいかつい顔をした還暦の男。通称:ナガさん。リストラされて女房子どもに逃げられた。
東京難民 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%9B%A3%E6%B0%91

というキャラクターが出てくるのだが、この人、名古屋弁のような方言で喋ってる。で、映画版のキャストが、岡村洋一さん。

岐阜にいた時毎週聞いていた「ヤングスタジオ 1431」土曜日のパーソナリティーだった人。当時から映画が好きで、映画について語る様子を聞きながら大人になった気分になっていた中学生時代。その後、森田健作主演の映画で初めて銀幕デビューするというのをとても嬉しそうに話をしていて、やがて番組をやめて東京へ移住したという話だった。あれから40年近く経ってこんなところで名前を聞くとはびっくり。そして原作の名古屋弁のような方言で喋っていたのだろうと思うと思わずニヤリ。今度は映画版を見てみたいところ。

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