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アブドゥ奮闘記【12.13】
ジブチにきてから2度目の週末がやってきた。
今日は13日の金曜日。イスラム教の国の多くは、金曜日がお休みになる。
昨日無事に引っ越しが完了したものの、自炊ができない、というのが直近の課題だった。私の能力の問題ではなく、ガスが使えないからである。前の住人が残してくれたコンロとガスボンベがあるのだが、どこをどう捻っても火がつかないのだ。
日陰のダンボールを定位置にしているアパートのガードマン、アブドゥさんに相談したら、家まで来てくれることになった。
ライター持参で現れた彼は、ああでもないこうでもないとあれこれ試してくれる。
試行錯誤の末、火がついた。コンロではなく、ガスボンべに。気持ちよく吹き出す炎に、あたふたするアブドゥさんと私。動転し手近にあったパスタを袋ごと投げつけるアブドゥさん。消えるはずない。1kgのパスタが床に散らばり、焦げはじめる。もたもたと水をためる私の横でアブドゥさんが雑巾を発見した。それをたたきつけて消化にあたってくれる。結果火は消し止められ、事なきを得た。
一動作も消化に貢献できなかったが、引っ越し2日目にして家を燃やすという最悪の事態は回避された。
ジブチにきてから1番力のはいったメルシーで、アブドゥさんを見送る。1人になってしまうと、なんだか夢の中の出来事のようだ。ゴミ箱に捨てられた1kgのパスタと、壁にうっすらできた焦げ跡だけが、事件を物語る。
*写真は捨てられた1kgのパスタ。ところどころ焦げている。
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自分のきもちの備忘録とジブチのことについて、ゆるゆると発信するnoteです。