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②佐藤和夫のたいせつな1曲

インタビュー①の話から続きます)紆余曲折あっても、岩手に帰るっていう選択はしなかったんだね。
そうだね。“帰って来いよ”って何回か言われたこともあったけど、何も成し遂げずに帰るのはちょっと…それこそ、カッコ良くないんじゃないかなって思って。それで、TEXAS STYLEっていうバンドは一旦、ひと区切りをつけて。勝負のバンドをやろうってことで、SaToMansionを組んだ。自分たちがやりたい音楽を吐き出すバンドではなくて、求められるバンドになろう、って。
兄弟4人が集まって皆で色々考えて、色んなオーディションを受けて負け試合をさらけ出して。カッコ悪い部分もあったけどさ、さらけ出すことによって応援してくれる人もかなり増えたし、YouTube登録1万人を目指す時は武井壮さんとかにも協力してもらえたり。

何かを目標に立てて、達成しなかった時にダサいじゃん。だから頑張ってやってるぞっていう姿を見せるのは恥ずかしかった、それがすごく怖くてビビってた。でもSaToMansionは“やるとなったら全部見せる”っていう気持ちで始まった、それが27~28歳の頃だね。
SaToMansionも今年11月で9周年。岩手県にまつわるお仕事や楽曲制作もたくさん頂いて、岩手の人たちにたくさん応援してもらって。今、ですかね。

【佐藤和夫(Vo&G)/SaToMansion
岩手県二戸市出身・実の四兄弟バンド
SaToMansion(サトウマンション)は
四兄弟それぞれの個性を生かしたパフォーマンスに
ロックンロールと昭和歌謡を融合させた
次世代型ロックバンド(オフィシャルHPより

<L→R>長男.佐藤幸城(B) 次男.佐藤英樹(Dr)
三男.佐藤和夫 四男.佐藤伸之(G)

こうして話を聞いてみると知らないことがいっぱいあるね。では2つ目の質問は“あなたのそばにある大事な1曲”を挙げるとすれば?
これは、すごい難しいよね…(笑)。
インタビューに登場したほとんどの皆さんが、答えに時間がかかってます(笑)。
電車の中でもあれこれずーっと考えてたんですけど、やっぱりNirvanaの「Love Buzz」(1988)かな。ファーストアルバムの『Bleach』にも入ってる曲で、高1の時かな、VHSのライブビデオを兄貴から借りて見てたの。それで初めてNirvanaっていうバンドを知って、かなり衝撃を受けて。
Nirvanaはかなりアグレッシブなバンドスタイルで、(ライブビデオは)何かのツアーで周ってる時なんだけど、この曲でカート・コヴァーンがギターを抱えたまま客席に飛び込むわけですよ。小さい箱でぐちゃぐちゃしてるんだけどセキュリティがいて、セキュリティが演者をステージに戻してくれたわけ。でもそれが気に入らなかったのか、セキュリティと喧嘩になったの。それでカートが、ギターで思いっきり殴ってしまって。
そのシーンもビデオで発売されていた…?
そう、そういう時代だから(笑)。超屈強なセキュリティなんだけど顔が血だらけのまま、今度はひょろひょろのカートのことを吹っ飛ばすわけよ。
アーティストにやり返すセキュリティ(笑)!
すごいっしょ!?そしたらドラムのデイヴ・クロールが出てきて、横からクリス(・ノヴォセリック/Ba)が出てきてカートを守るわけ。曲も中断してハウリングで音がピーピー鳴ってて、当たり前だけど客はカート・コヴァーンのファンなわけだから大ブーイングになっちゃう。最初に殴ったカートが悪いんだけど、セキュリティがもう怒って、帰っちゃうわけ。呆然と立ち尽くすカート・コヴァーンが(映像では)フェードアウトしていって、今度は大きい会場で「Love Buzz」の曲の続きを演ってる、カートの映像になって。飄々と、でっかい会場で、大歓声で賞賛を浴びてるカートの姿が映るの。その作りに、俺はすごい衝撃を受けて。
俺も体格がいい方じゃないしちょっとコンプレックスだったりするわけ、男子たるもの、喧嘩が強いヤツがやっぱりカッコいいから。暴力は良くないよ、でも、ひょろひょろのカート・コヴァーンでも、ギター1本あれば立ち向かえるっていうあのヒーロー感。“俺もこうなれば良いんだ”って思ったの。不純な動機かもしれないけど(笑)、俺もヒーローになれる道があるとしたらこれだな!って。勉強もスポーツも大して出来ない、でもヒーローになりたかった。やったことはアグレッシブではあったけど、俺の中ではカート・コヴァーンはすごいヒーローだったの。

TEXAS STYLE

ミスチル(Mr.Children)の「I’LL BE」って曲に“生きてる証を 時代に打ち付けろ”っていう歌詞があってすごく好きなんだけど、自分が生きてるということを時代に叩きつけるのはどんな表現だって良いんだ、って青二才の高校生ながらすごく感じて。塞ぎ込む必要はない、自信を持って大手を振ってステージに立てば良いんだ、って。元々ミスチルとかイエモン(THE YELLOW MONKEY)とかが好きだったの、すごく華々しくてボーカリストがキラキラしてる。好きだけど、でも桜井(和寿)さんとか吉井(和哉)さんにはなれないって思った。
だから俺はまずボーカルじゃなくてギタリストだったの。そこにカート・コヴァーンだったり、チバユウスケという存在もそうだけど、そういう人たちを見て“俺でも歌っても良いんだ”って教えてもらった。今でもちょっと弱気になった時にカートの映像を見て“これで良い、間違ってない!”って思える。輝いてる人とか、今の時代だと数字とかキラキラしてるところを見てしまいがちなんだけど、隣を見るんじゃない、そうじゃなくて良いんだって。
もしかするとギタリストのまま今に至っていた可能性もあるわけだから、音楽との出会いって面白いものだよね。
うん、ひと1人の人生を変えたわけだからさ、音楽ってすごいなって思う。カート・コヴァーンを見たって全然、何の刺激も受けない人もいれば、俺みたいにこの1曲で人生変わっちゃった人もいるし。
でもこの「Love Buzz」ってさ、ショッキング・ブルー(オランダのロックバンド)のカヴァーなのよ。カヴァーっていうのも衝撃でさ。全然、違う楽曲のアレンジで演ってて自由だし、カヴァーをこんなにカッコ良く演奏できるんだ!とも思ってね。ザ・クラッシュの「I Fought the Low」だってさ、原曲は違うバンドだし(補足:オリジナルはザ・クリケッツ)。
洋楽に触れたのは兄弟の影響なのかな?情報源がどこだったんだろうって思ったり?
兄の影響もあるけど、二戸に1軒だけ、アイックスっていうデカいレコード屋が駅前にあったのよ。今は無くなったんだけど逆に田舎だからこその取り揃えで(笑)、今思い出しても結構コアなものが置いてあったなーって。レンタルも出来たし新譜も買えたし、そこでかなり育てられたのもあるね。ザ・ストロークスやマンドゥ・ディアオなんかが出てきた時代かな。あと音楽雑誌ね、まだYouTubeもない時代だから“新しい〇〇が出る”っていう情報は雑誌から。アイックスには本も置いてあったし、立ち読みして全部頭にインプットして(笑)。
分かる!頭をフル稼働して情報を覚えてたよね(一同笑)!街にそういうお店があるかないか、っていうのもすごく重要だよね。
そう、絶対に違うね!今はYouTubeとかで勉強できるけどさ、前は自分の足を動かすしかなかったもん(笑)。

TEXAS STYLE

あえて“今”のテキサスも、すごく良いよね。去年、クラブチェンジのアニバーサリーで見たテキサスのライブがすごく良かったし!
あれは良かったと思う、自分でも。昔よりも今、バンドというものがやり易いと言うか…歳をとってきたのもあるし、レーベルとかに所属しなくてもシステム作りも自分で出来る時代じゃないですか。バンドの運営も出来るし、配信とかも出来るし、YouTubeのアップも出来る。やりたい放題やるべき時代なんじゃないかなぁ、って。CDが売れないとかもあるけど、それがデメリットだとしたらメリットはたくさんあるので。メリットの方をやりたい放題やらせてもらいますよ、って感じですよね(笑)。
わたしも自分でこんなインタビューをやろうとか思ってもなかったもの(笑)。
自分でやった方が良いし、自分でやった方が絶対に楽しいよ。誰かに言われてやるよりもさ(笑)!

今度の三連休は盛岡でこんなイベントが🎶
わたしも行きたい!!!行くべし!!!
そしてこちらもぜひ!
目標金額にかなり近づきつつある
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【「③「佐藤和夫がたいせつにしている言葉」に続く/9月20日更新予定】

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