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③One Controlの生みの親・川村朋和さんが大切にしている言葉

3つ目の質問で、川村さんの座右の銘や大切にしている言葉を教えてください。
(しばらく考えてから)若い頃にしょっちゅう使っていたのは、“proof”という言葉です。“証明”とかそういう意味ですけど、例えばインタビュー②で話した中国での工場建設の話もそうですし、エフェクターを作るとか、私の考えていることはかなり…皆にも馬鹿にされるような感じで、止められてるんですよ。止められる、というより“無理じゃない?”みたいな感じで。でもアメリカとかの友達に話すと、“それは結果で見返すしかない”って言ってくれて。それでよく使っていた言葉が“proof”。自分が思い描いている想像の世界が、正しかったか正しくなかったか。証明するのは結果でしかないので、それで頑張れてきた記憶がありますし、その言葉を今も結構、大事にしてますね。
中国に工場を作る時にはある程度、川村さんの見通しもありましたよね。
夢物語でしたけど、ありました。
それは今、どこまで達成できているのか、もしくは達成には遠いのかとお尋ねすると?
その時に思い描いていた、こうなりたいとかやりたいという目標は…もう全部、達成してますね。そして新しい目標が出来ている感じで、そこに関してはまだまだ、やらなければならないことがいっぱいありますけども。
達成した夢物語、1つ教えてください。
日本だけではなく、世界中に認められるエフェクターブランドになる。国内だけでない、海外でも認知されるものを作りたい。今、日本とアメリカでの売り上げはほぼ同じで、海外の方も認知してくださっていますし、当時の思いとしては達成できてやれているんじゃないかなと思いますね。エフェクター好きのゴリゴリ深いところにいましたので(一同笑)、イギリスとかヨーロッパにも、世界中にアンダーグラウンドで繋がってましたからね。
アメリカは自前で倉庫を借りて自分たちで管理をして、ほぼ日本と同じように全米の楽器屋さんどこにでも送れるようなシステムでやっていますし、ドイツのワーウィックっていう会社が代理店をやってくださっています。

LEP INTERNATIONALの
オフィシャルYouTube
にも多数登場している
世界で活躍するギタリスト・トモ藤田さんと
(トモ藤田:アジア人初のバークリー音楽大学講師
あのジョン・メイヤーも若き頃に生徒だったそう!)

ワーウィック…!今回は気軽にインタビューしてすみません(汗)!
(笑)、ワーウィック社がウチの商品を気に入ってくれまして、ドイツの周辺各国は全てやってくれてますね。そういう会社がイギリスにもありますし、中国に関しては自分の工場でやってますしね。あとは…
もう十分にワールドワイドさが伝わりましたので大丈夫です(一同笑)。ではここでいよいよ、生形さんのエフェクターのことを可能な限りで教えていただきます!
マットのエフェクター(Wren and Cuff製/インタビュー②参照)を輸入した最初の時から、生形さんはマットのブランドのファンで購入をしてくださって、それからずーっと自分のボードに入れて弾いてくださってて、“すごく有難いことだ”ってマットも言っていて。
マットが一度、アメリカのミュージシャンとコラボする企画が上手く行ったんですよ。それはダイナソーJr.のJ(・マスシス)だったんですけども。
ビッグネーム!!
それが世界的な成功を収めて、“日本でもコラボレーションとかをしたいけど、生形さんはどうだろう?”っていう話をされたので生形さんに尋ねてみたんです。そしたら“レナンド(=Wren and Cuff)とだったら、是非やりたい”ということで。私が間に入る形で三者でやり取りが始まりました。それが2022年4月でした。

コロナ禍にスタートして、2年にも渡るプロジェクトでしたか。コンセプト的なところとしては?
“どんなものを作りたいですか?”と生形さんに聞いたんです。そしたら、生形さんがレコーディングで使っているヴィンテージのエフェクターがあって、それを作りたいと。それはもう潰れてしまっている会社のもので1960年代(製)みたいで、さすがにもう手に入らないですしメンテナンスも大変で。ツアーとかにも持って行けないけどその音が欲しい、ということでこのプロジェクトが始まって。
スタートしてどれぐらいかな…マットも結構、大変だったみたいで1年半ぐらいかけて音が出来て。正直、だいぶ長くかかりましたけど、本当に素晴らしいものが出来たと思ってます。
実際に希望する音に近づける作業はどうやって行ったのでしょう?それこそ今の時代だとZOOMで繋いで音を出しながら、とか…?
最初は生形さんの実機をマットに送って、解析をしてます。昔の機材だと特に実物を触らないと、というところがあるので、実際に触って音を作っていった感じです。それから生形さんが実際に弾いている音を(録音して)いただいて、それをマットに聴かせて。
60年代のエフェクターであれば手作りの可能性も高いでしょうしね。
そうです、そうです。なので1個1個(個体差で)音が違う、でも生形さんは(自分が使い続けている)まさにその音が欲しい、ということで。結構変わった音だったんですよ。
結論から言うと、完成した音というのは川村さんが聴いてみてどうでしたか?
プロトタイプは全く、もう全く、同じ音でしたね。びっくりしました。生形さんにも聴かせたら、“これは全く同じだね”って。生形さんは気に入って、そのプロトタイプを今も持ってるんじゃないかな。(生形さんの)実物は電池しか使えないものでしたけど、商品化にあたってはお客さんが普通に使い易いように、ちょっと改造してアダプターが使えるようにしましたね。そのちょっとした改造で音が変わっちゃったりするんですけど、生形さんも“音が素晴らしいのは間違いないし、(製品としては)アダプターがある方が良いだろう”って。それで販売を始めましたね。

(インタビューした9月時点で)生産した分は全部売り切れてしまったんですけど、また入っては来ますし、欲しい人にちゃんと届くように届けたいなと思ってます(最新状況はこちらから)。限定モデルではないですけど、中のパーツで古いものを色々と使っているので、もしかするといつかは作れなくなるかも…ですけどもね。今は大丈夫です。
海外のエフェクター仲間が、日本のミュージシャンと共に作り上げたエフェクターを、川村さんが日本で販売する。本当に良い話ですね。この件に刺激されて、川村さんが次に新しく作ってみたいものも出てきているのでは…?
ありますね(笑)。これは本当に今は言えないんですけども、アーティストさんとも色んなお話をしてますので、それが出来る時には今回と同じか…それ以上の驚きがあるんじゃないでしょうかね。楽しみにしていてもらえたらなと思います。えーっと…(天井の方を見ながら)これ、実はもう3年ぐらいかかってるんですよ(笑)。とにかくお忙しいアーティストですので、あと2年ぐらい・2026年には出したいな、と思ってますけどね。大変ですけど、頑張ります!

【川村朋和/LEP INTERNATINAL代表】  
岩手県生まれ 岩手県在住
One ControlEffects BakeryAnimals Pedalといった
オリジナルのエフェクターブランドを主宰する

趣味はブラジリアン柔術  
好きな食べ物はプリン

【「④川村朋和さんのこれから〜中国でのお話!?〜」(終)に続く/11月1日更新】

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