M-1 2020 感想書き殴り

「マヂカルラブリ―が天下を獲った2020年」

これ2017年より前の私に言ったらひっくり返って死ぬんじゃなかろうか。

しかも野田ミュージカルそのままで天下を獲ったのだ。3年で日本を納得させたのだ。転げまわる野田と「やめて!」と叫ぶ村上。ベースは何も変わらない。いつものマヂラブ。それでもM-1獲っちゃったのだ。面白い事実以外の何物でもない。

2019年のM-1は史上最高峰と言われていた。まぁ最高点出たし、無名のコンビが世間に出て爆笑をかっさらって優勝したストーリーは凄まじく世間に響いた。M-1はストーリーありき。そんなことも最早懐かしい。今年も絶対最高峰なんだ。

さて2020年決勝の総評です。

笑神籤の加護は毎年変な人に微笑む。今年の一番手はまさかの敗者復活組。インディアンス。たぶんここが一番の大番狂わせだったと思う。2010年より前の決勝は毎年敗者復活のコンビが大トリだった。大井競馬場から移動の問題もあったし毎年恒例な感じもあったのでなんとなく敗者復活組は後ろの番というのが恒例になっていた感じがあるがここで敗者復活組が出た。せっかく本戦決勝に出れたのに誰か一組は絶対に決勝ラウンドには残れそうもない1組目になるのが毎年不満だったので、順位からいうと至極妥当であると思うんだけどスタッフ含めのてんやわんやぶりはなんだかかわいそうだったな。何年も前から何回も見たネタ「キムがヤンキーだった」だが見た中であの日が一番ノッていたと思う。敗者復活戦のときからオチだけ変えてた。野外から走ってきて即漫才というハンデもあり審査員の点数は割と甘め。合計625点。

2組目、東京ホテイソン。ネタは準決勝と同じ「謎解き」。準決勝は「い~や、アンミカドラゴン新大久保に出現!」で大爆発が起きた印象があったが決勝は準決勝には一歩及ばずって感じだった。そのせいで巨人師匠はなんかよくわからん事言ってたけど完成度としてはホテイソン最高の出来だった。かわいそうだったのは一番手が敗者復活組で本戦ストレート出場者がここで一番手になってしまい例年のトップバッター並みの点数になってしまったこと。ここはもうフラットにしても良かったんじゃないかなと思うんだけど…合計617点。

3組目ニューヨーク。リハでは笑神籤で一番手を引いたらしい。割と出順としては早め。嶋佐の一番あかんとこが良く出たネタ「軽犯罪」。屋敷の「世間なめんな!」や「逃走中でリタイアして炎上」はさすが。テレビ向けに用意してきたんだろうな。もうすっかり炎上してたこと忘れてたけど。屋敷の表情問題も解決されたと思ったら「怖い」って言われちゃった。来年はあのクソ怖い無表情でいくのかな。合計642点。

4組目、見取り図。ネタは「マネージャー」。昔は伏線回収が遅いとかわかりにくいとかなんとか言われてたけど今回は高評価。丁寧にひとつだけ大きく振ってツッコんで最後に回収したからわかりやすくて印象良かったのかな。合計648点。東京ホテイソン敗退。

5組目、おいでやすこが。初戦から「カラオケ」のネタ一本で決勝まで上がった、まぁまぁ有名なピン芸人同士のユニットコンビという二重にすごいことを成し遂げた退路を断たれた2人。こがけんの歌唱力がどったんばったんやかましいおじさんにかき消される面白さに現場がうねってハマっていく姿は感動的でした。平場でキレまくるおいでやす小田は会見の時は人がいないし大変なことになってたけど、観客がいたことで笑いに変換されていった。合計658点。インディアンス敗退。決勝ラウンドが決まった時の小田の「誰を一位にしとんねん!!!」は心の叫びだったような気がします。

6組目、マヂカルラブリー。ネタは予選で一回もしなかった「高級フレンチ」。衝撃的勝負勘。後々語られていたが出番直前まで二本目のネタと迷って順番決めてなかったらしい。野田クリがデモンを召喚するくだりはたぶん普通なら省かれて当然だとおもうんだけど、敗者復活のときから最高のまま決勝でかましたマヂラブはとんでもない人達だぞ…合計649点。ニューヨーク敗退。

今気付いたんですけどもうここで最終決戦の3組が出そろってますね。今回はだいぶ出順と結果が伴わず狂ってます。

7組目、オズワルド。ネタは「改名」。お決まりっぽいくだりから急転直下で本題に入るこのテンポが好きです。ヒチニキかヒティニキか論争は畠中本人のツイートで決着いたしました。「雑魚寿司」のパワーワード加減は見てて楽しい。「お前ずっと口開いてんナァ!!!!!」の爆発があと少し足りなかったかな、もっと拍手笑い起きてもおかしくなかったろうよ…合計642点。ニューヨークと同点。絶対にスーツ着るんじゃないぞ。

8組目、アキナ。正直ちゃんと審査してくれとるんやなオブザイヤーでした。正直あの出来で決勝行ったのも不思議だった、アキナは嫌いじゃないけど、決勝?なんで?という感想しか出てこなかったんですよねぇ。ネタは「地元の女の子」。準決勝もそんなハネてなかったと思うんだけどなぁ。合計622点。東京ホテイソンより5点上はウソやろ。ほぼ同点だと思ってます。「恥っず!!」はおもしろかったなぁ。いつかカッコつけのやつABCかどこかでお披露目してほしい。絶対おもろい。優勝予想でアキナに入れてた人は何だったんだろう。

9組目、錦鯉。今大会で一番スターになるんやろなと準決勝のネタと雰囲気を見て思っていたコンビ。こんなご時世に白い変なスーツのハゲの愉快なおじさんがスターになったら日本が変わるんじゃないかと思っていました。準決勝は当たり前だけどまさのりの人となりを理解している人たちばかりだしあんな面白いネタあるもんかと笑い転げました。結果は世間がなんやこのハゲ、から始まったから初速が伴わず若干スピードが噛み合わなくて高評価に結びつかなかった印象。レーズンパンは来ると分かっていても笑ってしまうパワーがあるのはTL見てて思ったのでまた来年に期待したいな。まさのりは56歳までM-1に出れるってそれだけで面白いんですよ。合計643点。決勝点にあと6点。一歩届かず。でも売れるんじゃないかなという予感がした良いネタでした。

10組目、ウエストランド。岡山が生んでしまった歪な嫉みモンスター。井口は妬みというより嫉みです。「自覚より自我が勝つから!自覚自我自覚自我!」の去年のキラーワードを殺さず本戦に持ち込んできてくれただけで感無量です。集大成感がありましたね。井口はこれからもあんな感じで生きていってほしいです。合計622点。アキナと同点。

おいでやすこががまさかの本戦1位通過、次いでマヂカルラブリー、見取り図で決勝ラウンド。マヂラブは準決勝のネタ、「つり革」持ってくるのが分かっていたのでわくわくしかしませんでした。史上最高クラスで野田が暴れるネタ。場の空気は野田が暴れるとウケていたのでこれはチャンスがあるのではないか、と。同じく小田も平場の絡みでドッカンドッカンウケていたし、地味に長髪とデザインパーマもおもろかったので優勝予想なんかできないような混戦を極めていました。

見取り図は「生まれ故郷」、マヂカルラブリーは「つり革」、おいでやすこがは「誕生日」で結構どの組もずば抜けてウケた、って感じではなく平等にバカウケてたかな、という感じ。もうここは審査員の好みというか結果は審査員のみぞ知る、感がありましたね。

結果は巨人師匠、塙、が見取り図。富沢、志らく、礼二がマヂカルラブリー、松本、上沼がおいでやすこがに投票。あんなに色がいっぱいある決勝のやつは初めて見ました。

M-1が終わって、上位陣は仕事がみんな増えてた印象があるのでやっぱり賞レースっていいなと実感しました。みんな漫才に打ち込んで勝負掛けられるその姿勢に憧れて毎年飽きることなく観戦してしまいます。

漫才っておもしれー。

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