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2020820

ここは外国。

そんなに親しくはないが良心的な隣人で大柄の男性がかなり良いセレクションの本を貸してくれた。

私は上階の自室に戻る。

日の当たる部屋で白いテーブルと観葉植物が映える。

音楽も料理も作れる友人Aと、その友人Aとは面識のないはずのBが一緒に我が家を訪ねてくれた。
彼らが用意してくれたパスタやサラダ、マリネ、肉料理は絶品だ。

ランチにしては豪勢で凄く贅沢な気分。

Aが自撮りで3人の顔と、彩り美しいランチが写り込むように写メを撮る。

私は、こんなに自然なカタチで友人と自撮り写真を撮るのは久々かもしれないと思う。


気がつけば、イタリアの駅。ミラノやローマくらい主要都市の大きな駅だ。

私とロシア系の品のある友人カップルはバックパックを背負い電車を待つ。

駅の職員にチケットを見せて、電車が到着するホームを確認したところ、フランスまで行く友人カップルの電車は本日到着。

イタリア国内のどこかへ行く私の電車は昨日のものだという。

痛恨のうっかりミスである。

しかし、そこまで慌てない私。

何故なら、長年続けているバックパッカーひとり旅では、何度か既に経験済みのハプニングなのだ。

そして、そんなハプニングも結果オーライになることを知っているし、少し面倒だが、より旅は刺激的になり、いつもワクワクが増してくるのだ。


私は友人カップルと別れ、自分の重たいバックパックを駅のベンチに置く。

貴重品だけ身につけ、駅職員の元へ行く。


本来のイタリアの電車の駅構内であれば、そんな行為は盗んでくださいといっているようなものなのだが、その駅のホームのベンチが保健室のベットだったので安心したのだ。


私が駅職員に電車の発車日時を間違えたことを伝えると、その職員はカタコトの日本語を話した。

「ワタシはニホンジンデス。」

そう言って、3つ重なったベッコウ飴をくれた。

「アンシンしてクダサイ。明日のデンシャに振替デキマス。乗ってください。」

私は、かなり親切なこの職員の態度に安心した。


そして思い出した。

そう言えば、大柄の男性が貸してくれたかなり良いセレクションの本を返していなかった。

このまま長期間借り続け、借りパクのようになってしまうよりも、とりあえず、一旦、返却して、また借りたい時に借りた方がモヤモヤしないだろうと。

何故なら、その大柄の男性とは、そこまで親しくない間柄だからだ。

かと言って、犬猿の仲でもないのだが。やはり遠慮がある。


ほら、やはり。

電車の発車日時をウッカリ間違えても、結果的には、自分にも周りにも良い方向に向かったではないか。


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