202404環境デッキの詳細
今期もお疲れ様でした。
1.緒言
●全文無料ではあるが60000文字くらいある。
長いので一気に読むのはおすすめしない。
●記事単体での内容完結のため、
多くの箇所が前記事と重複するため注意。
(前記事:202401環境デッキの詳細|d-j )
●デッキを使う上での最低限の内容であり、
参考資料の方が詳細な情報の記載がある。
有料部分等は本記事では割愛しているため、
興味のあるデッキは是非、是非、是非!
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2.総評
2.1.デッキの推移
2024年の4月は多くの前環境のデッキが規制を受けたものの壊滅することはなく、各々が様子見しながら分布し序盤は規制の軽い【粛声】【R-ACE】が高い入賞率を誇った。その後《一滴》《羽根帚》への耐性や《ウルカニクス》採用による影響で【炎王スネークアイ】、メタが固まる程強力な【天盃龍】も続々とシェアを伸ばした。
4月末にはINFOで《幻禄》により強化された【天盃龍】が爆発的なシェアを獲得。同じくINFOで登場・強化した【デモンスミス】【メメント】【ギミックパペット】【白き森】も5月は環境に現れる。特に【デモンスミス】は優秀な性能で【スネークアイ】【ユベル】等のデッキに混合して使用された。5月中~下旬は【デモンスミス】や【白き森】等、全国的に複数のギミックを混ぜる研究が広く進められ、デッキパワーによる優位についての知見が広まる期間となる。
5月末に発売したDP29の影響で【銀河眼】等のデッキも環境に名乗りを挙げたが、6月は【デモンスミス】が高い利便性で環境を牽引するに至り、他デッキの分布は伸び悩んだ。【インフェルノイド】【神碑】【メメント】等のデッキも善戦したが、【デモンスミス】を混合したデッキ群の研究が進んだことで、圧倒的なシェアを維持したままシーズンは幕を閉じた。
筆者主観の各デッキの立ち位置について。
まず随一のパワーを誇る【スネークアイ】が全国的に使われ、【炎王スネークアイ】と共にどの大会にも一定数存在する高いシェアとなった。大抵の手札誘発を貫通する【スネークアイ】だが、《G》については非常に重く受けてしまう。そのため《G》への受けがある程度可能な【粛声】【ユベル】【R-ACE】が【スネークアイ】と比べるとシェアは少ないものの高い入賞率となった印象である。
そして【天盃龍】は【スネークアイ】のギミックに勝るとも劣らないシェアを誇る。《G》への受けだけでなく《燦幻荘》の存在による各種手札誘発への非常に高い耐性と、後攻デッキ故のじゃんけんの踏み倒し、再現性の高い高速のキルプランは多くのプレイヤーに「1度使ってみよう」と思わせるだけの魅力がある。
しかし存在が広く知られて対策される様になると分布は減少し、上述の様にシェアの立ち位置を【デモンスミス】を採用する各種デッキに譲る流れとなった。
その他に分布したデッキとしては【キマイラ】【メメント】【神碑】【幻奏】【破械】【烙印】【ギミックパペット】【インフェルノイド】【白き森】【センチュリオン】【銀河眼】【転生炎獣】【@イグニスター】【魔弾】【ラビュリンス】等、数多挙げられる。これらのデッキも強力ではあるが、環境上位のデッキと比べると「ゲームの再現率が劣ること」「パワー不足」「採用できる手札誘発の少なさ」「《G》の受けの悪さ」等の理由から環境における中堅の立ち位置となった印象である。
2.2.流行したメインカード
本シーズンにメインから広く使用されたカードを記載する。
2.2.1.『無効系誘発』
ここでは《ヴェーラー》《泡影》を指す。
前シーズンに引き続き手札誘発が非常に重要視された。昨今の後攻のゲームは一度相手の先攻展開を許すと逆転が難しく、《結界波》《一滴》《拮抗》等の捲り札だけでは妨害は剥がせてもリソースを剥がしきれないため、大会環境では手札誘発を使って相手の先攻展開を弱化することが必須となった。そのため《ヴェーラー》《泡影》の様な汎用性の高い手札誘発がメインインされることが非常に多く、これらを採用出来るだけの自由が多いデッキが主に環境を形成した。
2.2.2.《デモンスミス》
《デモンスミス》は1枚から《ディエスイレ》《シーザー》《アポロウーサ》といった妨害になる他、《ベアトリーチェ》でデッキのメインギミックに触れる動きが強力で、初動・誘発貫通の性能が非常に高く評価された。また《サロスナンナ》を経由すればどんなカードも【デモンスミス】のギミックにアクセス出来るため、リンク数を伸ばせるギミック全般に初動としての仕事が期待出来る様になった。一部の公式大会ではETが1ターンのみのルールが適応されたため《ラクリモーサ》によるバーンでゲームを逃げきる場面も散見され、総じてシーズン後半はデッキの枠を多少圧迫してでも【デモンスミス】のギミックが多くのデッキに採用された。その強力さ故に《フォーマッドスキッパー》等のカードを使ったデッキも今シーズンはちらほらと見られた。
2.2.3.《ドロバ》
上述した【デモンスミス】による動きに有効であるため、汎用性は低いものの環境に有効なメタカードとしてシーズン後半に高く評価された。サイドデッキの採用も散見されたが、多くのデッキが単体での《ドロバ》のケア展開を難なく行えることから『無効系誘発』等との併用を前提としたメイン採用が前シーズンと比べると多かった。実戦では【粛声】の《強金》や【スネークアイ】の《篝火》に対しても意表を突くことが可能で、良好な立ち位置を貰えたと言える。
2.2.4.『指名者』
ここでは《墓穴》《抹殺》を指す。
《G》を無効に出来る数少ない手段である『指名者』は長らく多くのデッキでメイン採用されている。《G》に元々耐性のあったデッキも【デモンスミス】が流行してからはこれらを採用してデッキパワーを上げる択をとる場面もあった。それ以外にも《墓穴》は《咎姫》《ガルドニクス》《ロー》《バイデント》を除外する妨害魔法罠として機能し、《抹殺》は《墓穴》でカバー出来ない《ニビル》《泡影》を無効に出来る他、妨害魔法罠として《篝火》《トラクトゥス》等を無効に出来る有用さがあった。
2.2.5.《三戦》
強力なパワーながら発動条件の重さや【神碑】の分布により前シーズンはサイドに落とされる機会が多かった《三戦》も、採用される手札誘発の幅が増えると共にシーズン前~中期に再評価され、中期以降は【デモンスミス】の影響もで《ドロバ》《ニビル》が増えたこともあり、腐る場面が少なくなったことでメインインの機会が増えた。今シーズンに限った話ではないが、環境に単体初動のカードが増えたことで選択される効果は先攻では2ドロー効果よりもハンデス効果が優先され、後攻ではコントロール奪取によるライフカットと《リトルナイト》等に繋げてのリソース駆除が評価を上げた。
2.3.流行したサイドカード
このシーズンで広く使用されたサイドカードを記載する。「紹介するから使ってみて」ではなく「これらをサイドからインされる想定でゲームしようね」という意味での記載だと思って欲しい。
2.3.1.《うさぎ》
上述した『無効系誘発』は汎用性を買われての採用であるものの、ケアした展開の共有や【天盃龍】の分布の広がりのためそれらに対し有効な《うさぎ》がシーズン前半はサイドに多く見られた。前シーズンは《ヴェーラー》等と入れ換える形で使われることもあったが、先攻展開の強化に拍車がかかった今シーズンでは《ヴェーラー》等との両刀で使われる場面が非常に多かった。【天盃龍】の減少に伴い減少傾向にあるが、今後《ディエスイレ》に対して有効ではある点が注目される可能性もある。
2.3.2.《ニビル》
《ニビル》は環境に存在するデッキのパワー上昇に伴い単体性能にそこまで期待できず、【粛声】【天盃龍】に対しては発動すら難しい。そのため大量展開を行う対面に《ヴェーラー》《泡影》との併用による盤面の壊滅を狙う意味で、サイドに採用される場面が多い。シーズン後半になると【デモンスミス】の流行に伴い上述の『無効系誘発』との併用が改めて評価され、メインからの採用や先攻でのサイドインも散見された。
2.3.3.《わらし》
《うさぎ》同様、前シーズンでは『無効系誘発』との入れ替え枠として採用されていたが、今シーズンはそれらと併用される形で【粛声】等の対面にサイドインされたカード。【天盃龍】の分布が多いシーズン前半は《うさぎ》が優先されたが、シーズン後半になると《うさぎ》よりも【デモンスミス】に即打ち可能な《わらし》が増加傾向にある。
2.3.4.《クロウ》
《クロウ》はバリューはそこまで高くないものの【天盃龍】に対して有効な数少ない手札誘発である点や、《わらし》同様【デモンスミス】登場以降その高い汎用性からサイドゲームでの手札誘発のかさ増しに使われる印象である。『無効系誘発』をはじめ、ほとんど全ての手札誘発と併用することで対面の先攻展開を大幅に弱化させることが期待出来る点が優秀。他の手札誘発との差別化として、相手の妨害数を減らすというよりも相手のリソースを剥がす性質のカードであるため、《一滴》等のカードとの相性もそこまで悪くないことが挙げられる。
2.3.5.《ガンマ》《デルタ》
トーナメントを意識するプレイヤーであれば手札事故を嫌って《ドライバー》を採用しなければならない《ガンマ》《デルタ》は疎遠になりがちだが、それを度外視してもサイドで採用される場面がある。と言うのも昨今の遊戯王は1,2枚の手札誘発で展開が止まらないのが殆どであり、《ガンマ》《デルタ》は1枚あたりのバリューだけで言えば数ある手札誘発の中でもトップクラスのパワーがあるため、展開を力ずくで止めるだけの期待値がある。どのみち後攻のゲームで理不尽な展開を押し付けられるのであれば、たとえ運要素であってもワンチャンを作るために採用する…くらいの認識である。実戦では相手の展開を止めるだけでなく、自分のターンに相手の《G》を無効化したり、《羽根帚》を無効にしようとした《ローガーディアン》を無効にしたり等、引き込むことが出来たゲームでは幅広い活躍をしている印象である。尚《うらら》だけでなく、墓地に《ドライバー》が存在しているか否かに関わらず《わらし》で無効に出来る点には注意である。
2.3.6.《ファンタズメイ》
上述の通り昨今の遊戯王は総じて手札誘発1枚で展開は止まらない。そのため後攻のゲームで手札の質を向上する《ファンタズメイ》は、手札誘発をそこまで多く採用出来ないデッキのサイドゲームの補強のため採用される場面があった。とは言え単体で妨害性能がある訳ではないことや《泡影》との兼ね合いの悪さから、全国的に採用率はそこまで伸びなかった。
2.3.7.《クリフォトン》
《クリフォトン》はワンキルを止める役割としてETEDの逃げきりのため注目された。光属性悪魔族であることから【デモンスミス】のギミックによるサーチ及び《ラクリモーサ》による使い回しが可能であるため、【天盃龍】対面に限らず幅広い対面での活躍が期待出来た。【炎王】の様にランク8エクシーズを狙えるデッキの場合、《光子卿》でサーチ可能である点も注目された。
2.3.8.《一滴》
後攻のサイドゲームで相手が展開した盤面の妨害を減らせる他、戦闘破壊のハードルを下げたり自分の場のモンスターのサクリファイスエスケープに使用された。手札誘発の受けの性能が高い【粛声】や【ユベル】に対してサイドインされ、特に対象耐性のある《ローガーディアン》を無効化しつつ戦闘で処理出来る様にする点は優秀である。【天盃龍】対面でもサイドインされ、伏せておくことで《リブート》を避けつつ相手のキルを防ぐことも可能。
2.3.9.《コズサイ》
【炎王】における《孤島》や【粛声】【ユベル】の永続魔法罠を退かして攻めの起点を作る他、【天盃龍】の《燦幻荘》を退かして各種妨害をアクティブにしたり、【神碑】の《フギン》による耐性を貫通して魔法罠を退かすことが可能。総じてその利便性からサイドインする択となるカード。メインギミックと併用しなければならないため、相性の悪い手札誘発とスイッチする様な使い方が主となる。
2.3.10.《羽根》《嵐》
上述した《コズサイ》より利便性で劣るが、複数枚のカードを破壊できるため対面次第ではこちらを優先することになる。《コズサイ》と違って1000LPを払うこともないためETEDでも使い易いのは魅力であり、対面のデッキではなく大会形式によって使い分ける場面も見られた。
2.3.11.《号》
《三戦の号》は《三戦の才》と同様に発動条件の重さから採用率は低かったが、【天盃龍】対面では手札誘発の受け方として《号》で《障壁》を構える手段があったため、シーズン前半の【天盃龍】の流行時は積極的にサイドに採用される地域もあった。メインギミックで《テラフォ》等の通常魔法を強く発動できるデッキでは《才》《羽根》と一緒に後攻の捲り札としてサイドインされる。
2.3.12.《心変わり》
《アポロウーサ》や《ガネーシャ》《シーザー》といった妨害を一方的にコントロール奪取出来る他、ライフカット後のメイン2で《リトルナイト》等に繋げてのリソース駆除することで後攻のゲームで攻めの切り口を開けるカードである。《三戦》同様、盤面の処理やライフカットだけでなく《リトルナイト》等に繋げて墓地のリソースを駆除する動きも評価を上げた。
2.3.13.《サモリミ》
手札誘発のメイン採用が多かった今シーズンはサイドからバリューの高い罠カードを手札誘発とスイッチする形で採用する構築が比較的多かった。《サモリミ》は【天盃龍】の《燦幻荘》の様にギミック内に高い妨害耐性を付与するカードが存在する対面に非常に有効であり、加えて相手の展開を拘束する能力が非常に高いことから相手の《G》で先攻展開が止まる等した場面でも安定して仕事をした。
2.3.14.《魔封じ》
繰り返しになるが手札誘発のメイン採用が多かった今シーズンは、サイドからバリューの高い罠カードをインする構築が多かった。《魔封じ》は【スネークアイ】【デモンスミス】の動きを止める役割がある他、サイドインされる《号》《羽根帚》等に耐性があるため《サモリミ》等より仕事をこなす場面は比較的多い。勿論対面次第では拘束力が不足したり自分のギミックを阻害することも少なくないため、採用やサイドアウトの択は十分考える必要がある。
2.3.15.《神宣》
罠カードを先攻のサイドゲームでインする際、相手が《拮抗》等をインする可能性を考えたときに永続罠より優先されるカード。他にも手札誘発の受けが優秀なデッキであれば、手札誘発を打たせることで相手の手札を減らした状況から確実に相手の攻め手を1つ減らせる《神宣》が優先されることも多い。永続罠に比べると拘束力が高くないため、自分のサイドプランに必要なのはどんな罠なのかよく思考して判断したい。
2.3.16.《通告》
《神宣》と比較されるカードで《拮抗》等の受けは悪いものの少ないライフコストで確実に相手の攻め手を1つ減らせる。温存したまま自ターンを迎えれば手札誘発等の妨害への貫通にも使用出来るため、デッキ次第では《G》を警戒して《神宣》より優先する場面もある。メインの手札誘発が増えた今シーズンは相手の攻め手を止める期待値の上昇とサイドアウトしたい枠の拡大から、4枚目の《神宣》の様な採用も散見された。
2.3.17.《障壁》
《リブート》以外ほぼ全てのカードに阻害されずに【天盃龍】等からターンスキップを得られるカード。シーズン中盤からは【天盃龍】の分布の減少や対策したプレイが広まったこともあり採用率は減ったが、それでも高い拘束力と通りの良さから好んで使うプレイヤーは多い。
2.3.18.《拮抗》
《拮抗》は手札誘発との噛み合いの悪さ等から採用率が減っていたカードだが、【デモンスミス】の流行以降は意識外から打てる場面が増え、各種手札誘発と噛み合わせることで【R-ACE】や【スネークアイ】対面での評価が少しずつ見直されている。《羽根帚》等より通りが良いことから、魔法罠の除去枠としての役割も大きい。
3.【炎王スネークアイ】
※大部分が前記事と重複するので注意
3.1.【炎王スネークアイ】の特徴と強み
【炎王】は戦闘・効果による破壊に強い耐性を持ち最高クラスの防御性能を誇り、【スネークアイ】は現環境トップのリソース性能を誇るデッキである。この2つを混ぜた【炎王スネークアイ】は【スネークアイ】の高いパワーと【炎王】の高い防御性能を両立させ、強固な盤面と豊富なリソースを武器に圧倒的なパワーで戦うデッキである。
【炎王スネークアイ】の特徴は墓地の《ガルドニクス》や手札の《キリン》の存在からリソースや妨害がフィールドだけでなく手札や墓地に散ることである。それ故《一滴》《拮抗》等の捲り札1枚で盤面の妨害を無力化したとしても逆転が難しい盤面を作ることができる。加えて【炎王】の要である《キリン》は初動となる《エクセル》等への『無効系誘発』を避ける手段として使用できるので、【スネークアイ】の弱点の補強にもなり高いシナジーがある。
【炎王スネークアイ】は比較的手札事故が起き易いデッキである。前シーズンからの変化として、手札事故の補填に《ウルカニクス》が準初動として見られる様になった。《旧ガルドニクス》のリクルートによるランク8エクシーズを狙う動きにも使われ《光子卿》等が採用される構築も珍しくなく、準制限になった《キリン》を展開中にサーチすることも可能で幅広い用途で使われた。
【スネークアイ】と相性が良いことで《デモンスミス》を混ぜた構築も散見され、召喚権を使わず《泡影》等を踏みに行って初動の《エクセル》や《ディアベルスター》を強く使ったり、《シーザー》の成立で単純に1妨害増やしたりといった動きが見られた。とは言え構築の最適化難度の高さと《ドロバ》の流行に伴って【デモンスミス】を採用した構築の分布は多くない傾向にある。
3.2.【炎王スネークアイ】の動き
基本となる《エクセル》1枚の展開について見ていく。規制により《エクセル》1枚から動く場面は減ったが、この展開を覚えることで【炎王スネークアイ】の動きの流れを理解出来る。
まず今シーズンから広く使われる《キリン》を回収する展開。
この様に【スネークアイ】のギミックで《原罪宝スネークアイ》を使うことで《ポニクス》にアクセスし《聖域》から《孤島》で【炎王】のギミックに触れる形になり《原罪宝スネークアイ》がギミックの橋渡しの役目を果たす。
盤面の妨害数だけ見るとそこまでの強固さは無いが、墓地のリソースの多さに加え《キリン》による能動的な《ガルドニクス》の発動手段を得ることで【天盃龍】の《燦幻荘》等にも最低限の対応が可能である。展開中に《炎龍》を場に極力残しておくことで、《ニビル》を発動されたとしても《炎龍》の③効果によって蘇生したモンスター2体と《原始生命態トークン》を使って2枚目の《咎姫》に繋げることが出来るため、【炎王スネークアイ】側の構築は《咎姫》が2枚採用されることが多い。
次に《ウルカニクス》を使った展開。
【炎王】のギミックは《G》への受けが良く、《ウルカニクス》からの展開の場合は《ポニクス》の特殊召喚に《G》をされたとしてもサーチ先を《神天焼》にすれば最低限の妨害を構えられる。
《ウルカニクス》はあくまで準初動であり、2枚以上のカードとの噛み合わせで真価を発揮する。上述の展開ルートは手札に《キリン》が居れば強力な妨害盤面になるが、そうでないなら《キリン》を拾いに行くルートにも分岐出来る。上記ルートの③から、
墓地に《マスカレーナ》が存在しないため《アンブロ》での蘇生に困る点には注意が必要。他にも《ウルカニクス》の効果で破壊した《灰流うらら》を回収したりと分岐の幅は拾い。自分の手札と相談して適宜最適な展開を行いたい。
次に【デモンスミス】について、元々パワーの高い【炎王スネークアイ】だが更に盤面を強固にすることが出来る。
前シーズンによく使われた《エクセル》1枚の展開に《シーザー》が追加で並んだ形になる。盤面の強固さでいえば環境デッキの中でも最高峰であり、【デモンスミス】のギミックは手札誘発の貫通にも使われるため単発の手札誘発への貫通力も上昇している。
3.3.【炎王スネークアイ】の構築
2つのアーキタイプの混合ということもあり固定枠が多いのが特徴で、地域差での構築の変動はあれど同じ地域内で大きな構築差が起きにくい。とはいえプレイヤー間で色濃く個性が出るため決してマニュアルなデッキではなく、少ない自由枠や手札誘発の選定にこだわりを持つプレイヤーは多い。
《ウルカニクス》のギミックは《旧ガルドニクス》は手札に引き込みたくないカードである。そのため《ウルカニクス》《旧ガルドニクス》であったり、ダブりを意識して《ディアベルスター》や発動条件が重い《三戦》といったカードのスロットを空けて自由枠にすることもある。
シーズン初頭は各種手札誘発への貫通力を伸ばすため《パラエク》から単純にリンクを伸ばしたり 《ヘルフレイムバンシー》で【スネークアイ】や【ネメシス】のギミックにアクセスする動きも見られたが、《ウルカニクス》が広まると姿を消した印象である。
【デモンスミス】を採用した場合でも《ウルカニクス》のギミックが抜けると自由枠は比較的多く確保出来る。EXデッキの圧迫による対応力の落ちや《G》《ドロバ》の受けの関係で地域を選ぶ印象であるが、単純な妨害貫通力は高く評価される。
《ベアトリーチェ》があれば《デモンスミス》1枚からでも【スネークアイ】にアクセス出来るが、各種手札誘発の受けの悪さやEXデッキの最適化の関係から採用は少ない印象である。
3.4.【炎王スネークアイ】のゲーム構成
3.4.1.メイン戦の先攻
基本的に手札誘発をケアしながら自分の初手で目指せる盤面を作るゲームである。
初動の入り方だが【炎王】ギミックから展開を始めると【スネークアイ】のギミックに触れるのは難しい点は留意。《原罪宝スネークアイ》が成立しない場合はギミックの片方しか成立しないことが多く、少ない捲り札で盤面を返されリソースまで枯渇するケースも少なくない。そのため大抵の場合は【スネークアイ】から動きを始めて《原罪宝》を強く打つことを意識する。
稀に《G》を警戒して【炎王】から入って相手の警戒を解き手札誘発をチェックしてから《ディアベルスター》《篝火》で【スネークアイ】にアクセスして盤面のリンク数を伸ばす動きも存在するが、【炎王】と対面した相手が《ヒータ》を警戒して《うらら》をガメる等した場合は大きな裏目になるので注意が必要。どのみち《G》が通るとゲームが成立しないので【スネークアイ】から入るのが一般的な印象である。
3.4.2.メイン戦の後攻
手札誘発で相手の盤面を弱火させてから、自ターンに各種リンクモンスターで盤面を荒らしてリソース勝負をするゲームが多い。加えて《炎龍》の①効果による魔法罠の設置効果が後攻のゲームでは強力で、盤面の除去だけでなく妨害を踏みきってから墓地の《咎姫》や《デモンスミス》を押し込めば相手のリソース除去も可能である。
そういった動きもあって先攻展開と同様に【スネークアイ】のギミックから妨害を踏むことが多い。《ディアベルスター》の高打点でバトルフェイズを挟んで妨害を減らしたり《リンクリボー》を経由した《リトルナイト》等を使って盤面を荒らすだけ荒らしだめ押しに《孤島》というのが理想的である。《ポニクス》からの《神天焼》でも盤面に触ることが出来るが、貴重な相手の返しターンでの妨害にもなるし《ガルドニクス》のトリガーにもなるため大切に使いたい。
3.4.3.サイド戦の先攻
各種手札誘発を警戒するのは勿論として、メイン戦では自分の初手で目指せる盤面を作るゲームだったが、サイド戦では相手のサイドインした捲り札を警戒した盤面を作ることを意識する。
例えば《孤島》への《コズサイ》を意識するなら、最終盤面に《アポロウーサ》を残さず《ガネーシャ》や《炎龍》を積極的に残すのを目指すことになる。その場合《心変わり》等に弱くなるため《キリン》や《魔封じ》を併用する様にゲームを作ったりと工夫が必要。《G》を引き込んだ場合は《アポロウーサ》をわざと立てて盤面を作れば、《コズサイ》に対して《G》を打ち込んだとき《うらら》を《アポロウーサ》で無効にすることも出来る。ただし【炎王】のギミックがバレている場合、相手が先攻のサイドチェンジでも《墓穴》を残している可能性があるため注意が必要。
【炎王スネークアイ】は環境におけるパワーが随一高いデッキであるため、捲り札を重く貰わないことを意識すれば先攻のゲームは非常に有利である。
3.4.4.サイド戦の後攻
メインの自由枠の多くを手札誘発で埋めている関係で、後攻で有効な後攻札を積む枠はそこまで多くなくサイドカードを引き込み難い。メイン戦からゲームプランを大きく変えることが難しいため、相手のサイドカードを突破出来ずに引き負けるケースが少なくない。
そのため採用する後攻札はサイドカード用のメタカードを準備する、または1枚あたりのバリューを重視して選出する必要があり、《ガンマ》の様なパワーのある手札誘発や《ニビル》のケア展開に《ニビル》と《ヴェーラー》の両持ちを打ち込む等を狙うことが多い。サイドアウトの枠は《ウルカニクス》《旧ガルドニクス》『指名者』が多い印象である。
3.5.【炎王スネークアイ】の裁定
覚えておくといい裁定について、
●《ガルドニクス》の②効果は「デッキのカードを破壊する効果」であり「デッキから墓地へ送る効果」ではないため、この効果に対して《うらら》等は使えない。
●《ガルドニクス》の①効果は自身が場や手札、デッキから破壊された場合には発動出来ない。
●自身を特殊召喚する誘発効果のうち手札で発動可能である効果は、ルール上、同一チェーン上ではいずれか1つしか発動できない。例えば手札に《ポニクス》、墓地に《ガルドニクス》が存在するときに場の炎属性モンスターが破壊されたとすら。このとき、誘発効果を発動して特殊召喚可能なのはどちらか一方だけである。
●コントロールを得ている相手の炎属性モンスターが自分のモンスターゾーンで破壊された場合、自分は手札か墓地の《ガルドニクス》の①効果を発動できる。
●墓地で発動した《ガルドニクス》の①効果には《わらし》を発動出来るが、手札で発動した《ガルドニクス》の①効果には《わらし》は発動出来ない。
●②の効果で攻撃力が上昇している《ガルドニクス》に対して《ヴェーラー》等で効果を無効にした場合、②の効果で上昇した攻撃力は元に戻る。
●効果を発動するチェーンブロックの確認は公開領域が先に処理され、かつ非公開領域のカードのクイックエフェクトの権利はプレイヤー間で相互に行われる。つまり《炎王の孤島》で手札の《炎龍》を破壊して《ガルドニクス》をサーチした場合、《炎龍》の③効果をチェーン1で発動したあと、相手に公開領域の効果が無ければ、非公開領域の効果を相手がチェーンするか確認してから、チェーン2以降で手札の《ガルドニクス》の効果を発動することになる。仮に相手の公開領域でカードの効果がチェーン2で発動した場合、《ガルドニクス》の効果はチェーン3で発動することになるし、チェーン1で《ガルドニクス》の効果を発動した場合は《炎龍》の効果を発動することは出来ない。
●発動時の《孤島》を置く効果は「置く」という記載であり「発動」ではない。そのため《聖域》を発動出来れば《魔封じの芳香》等の影響下でも処理が可能。
●《ゴッドバードアタック》等でフィールドゾーンのカードと同時に炎属性モンスターが破壊されようとしている場合、《聖域》の効果で代わりに破壊するモンスターとして、同時に破壊されようとしているモンスターを選ぶことは出来ない。
●《ブラックローズドラゴン》等でフィールドゾーンのカードと魔法罠ゾーンの《聖域》が一緒に破壊される場合であっても、手札の炎属性モンスターを《孤島》の代わりに破壊できる。その場合魔法罠ゾーンの《聖域》は《ブラックローズドラゴン》の効果で破壊される。このとき代わりに破壊するモンスターとして、フィールドの炎属性モンスターを選ぶことは出来ない。
3.6.【炎王スネークアイ】の留意点
先攻では想定されるどんな妨害を受けても最終盤面に必ず1つは妨害を有することを強く意識してプレイする。後攻でも例外ではなく盤面を捲ったあと必ず妨害を1つは残して相手にターンを返すことを意識すること。【スネークアイ】のギミックで手札誘発を貫通しながら、【炎王】のギミックに繋げて盤面の防御力を上げるイメージを持ちたい。
【スネークアイ】のギミックは先攻後攻問わずどこまで行っても《G》が重いギミックであるため、手札の引き込み次第では《うらら》を自分のターンまでガメる等の意識が必要である。《G》への警戒は必要だが、そもそも《G》を通された時点でかなり厳しいゲームになるため、ビビり過ぎずにゲームする必要もある。上述のように《G》を受けても最終盤面に妨害を1つは残すことを意識してプレイするといい。そういった意味では先攻で引き込んだ手札誘発も大事に使いたい。
【炎王】のギミックは性質上生存性能が高いので、墓地リソースによる展開起点を大事にしながら消耗戦によるロングゲームを目指せる。コントロールに少し寄せたミッドレンジのゲームテンポを作りに行くことが出来るため、【粛声】等の中速のデッキと対面するときは【スネークアイ】のギミックよりも活躍に期待できる。先攻展開後の相手ターンに蘇生した《ガルドニクス》で返しのターンのライフカットを狙う等、カウンターを狙うイメージで使用する。
【炎王】の小技と言う程でもないが、ダメージステップでも効果を発動するカード群であるため、なるだけ自爆特攻による戦闘を介して【炎王】モンスターの効果を発動することで相手の《うらら》や《泡影》等の妨害のタイミングを制限しながらゲームすることも狙う。
先攻展開後の妨害の当て方について、《ガルドニクス》や《原罪宝》が墓地に存在すれば返しのターンのリソースはどうにでもなるので、相手の展開を完封することではなく基本意識はライフをゼロにされないことを意識して妨害を当てる。《墓穴》や《リトルナイト》でこちらの場と墓地のリソースを減らす動きをされる可能性もあるので、手札やデッキにリソースを十分残す意識も非常に重要である。《炎龍》は盤面に残すだけで墓地からの《エクセル》《ポニクス》の蘇生から《ポプルス》《神天焼》のサーチだけでなく《咎姫》の対象や《リンクリボー》の蘇生コストの供給にもなるため、盤面に残す意識が非常に重要となる。
サイドゲームでの盤面形成は上述した《コズサイ》に限らず対面のサイドインするメタカードを上手く予想し、《三戦の才》《心変わり》《超融合》《拮抗勝負》等のカードで簡単に妨害数をゼロにして相手にイージーゲームを許さない盤面の形成を目指したい。特に《三戦の才》《心変わり》によるコントロール奪取でスピードのあるキルを狙ってくる可能性があるため、アドバンテージ等に目移りせず自分の負け筋を踏まない様に注視してプレイすることが求められる。《マスカレーナ》《アポロウーサ》を早めに使って《三戦の才》のバリューを落とす意識も必要。
3.7.【炎王スネークアイ】の弱点と対策
【炎王スネークアイ】は様々なギミックを持つため、対面するにあたって有効と思われるメタカードは存外豊富にあるものの、1個1個のメタカードのバリューにそこまで期待が出来ない。長らく【炎王】の弱点とされてきた《孤島》を《コズサイ》で除外する動きも、昨今はリソースが墓地や手札に分散するため大きな打撃にはならない場面が多い。そのためサイドインする捲り札の考え方としてバリューの高さだけでなく勝ち筋のイメージに必要なものを選定し、勝ち筋を濃くするためのサイドチェンジを行って要所で適切にカードを打ち込む練度が必要である。
【炎王】のギミックは盤面を荒らすと言うよりはリソースを稼ぎに行って固い盤面からのカウンターでライフカットを狙うギミックである。長期戦は【炎王】真価を発揮されてしまうため、リソース勝負は墓地に干渉できない限り不利になる。なので速度のあるキルプランが求められ《三戦の才》《心変わり》といったコントロール奪取カードはライフカットの助けになるだけでなく《咎姫》への警戒やライフカット出来なかったときの《リトルナイト》によるリソース除去も可能で非常に有効である。
手札誘発の打ちどころについて、上述の通り《G》や《アトラク》以外のほとんどの手札誘発は貫通される可能性がある。《ヴェーラー》と《泡影》は数ある手札誘発の中でも初動となる《エクセル》を止められるという意味で後攻の理不尽なゲームにワンチャンを作れる可能性があるため有効とされている…が、貫通される可能性が高い前提で打ち込む手札誘発であるため期待値は低いし、大抵の手札誘発に対して高い耐性があるため「手札誘発は○○に打とう!」という決め打ちを狙うと勝率は安定しない。安定して勝ちに行きたいのなら、どこを止めたら最終盤面から何が消えるか考え、勝ち筋を見出だしてから手札誘発を打ち込むことが非常に重要である。
例えば《うらら》、初動に打ち込んだときに展開が止まることもあれば《ヒータ》で釣られてしまうこともあるカードである。
《うらら》で《エクセル》の②効果を止めれば《炎龍》へのアクセスを止められるため【スネークアイ】のリンク数を伸ばす動きを止めることが出来るが、代わりに【炎王】での墓地の妨害を許してしまう。そのため《エクセル》ではなくギミックの橋渡しになる《原罪宝》を止めた場合は【炎王】へのアクセスを止めて継戦力を大きく削れるが、《炎龍》へのアクセスを許してしまうため【スネークアイ】でリンク数を伸ばす動きから《咎姫》《マスカレーナ》《アンブロ》を許してしまう。どちらを止めるべきか初手の噛み合わせから随時判断して《うらら》を打つことで、初めて勝率が安定する。
尚、どちらのパターンも《孤島》等の素引きで貫通される裏目があるため《うらら》を《孤島》まで待って裏目を引かないプレイも可能だが、その場合は《炎龍》と《アンブロ》が両立する可能性もあるため《コズサイ》等の引き込みが必要になることを頭に入れておくこと。
3.8.【炎王スネークアイ】の参考資料
〈初めて使う場合等に分かり易い資料〉
〈大会等を意識したとき参考になる資料〉
4.【粛声】
※大部分が前記事と重複するので注意
4.1.【粛声】の特徴と強み
【粛声】は安定した儀式召喚で対象耐性・効果無効・攻撃対象誘導等の固い守りを成立させ、【スネークアイ】等に対して高い防御性能を誇る中速のデッキである。見た目の派手さこそ無いが参考資料の文言を借りると「ぱっと見突破しやすそうで突破できない、しても返しきれない」という強固で堅実な性能で環境入りしている。
【粛声】は儀式召喚を使ったテーマである。本来、儀式召喚というギミックは①儀式魔法②リリースするコスト③儀式モンスターという3枚のカードを揃えるハードルの高さと、儀式召喚をするだけで①②のカードを失う大幅なディスアドバンテージを抱えるという性質があり、ロマン扱いというか、正直実践向きではない戦術のギミックである。そのため多くの儀式召喚テーマは、それを鑑みても余りあるギミックのリソース回収性能を有するデザインとなる。
今でこそ珍しくないが《下準備》は1枚のカードから2枚のカードを生み出すアドバンテージ性能でありながら、儀式召喚であるから許されている様なデザインであり、
テーマ内には破格のバリューとなるカードが複数枚存在している。【粛声】はこれらを駆使して各種妨害を巧みに応対し、相手に強固な盤面でプレッシャーをかけて踏み潰す戦いを得意とする。
戦い方の幅がそこまで広くないため使用者は減少傾向にあるが、4月に行われた7000~8000人規模の大型トーナメント『YCSJ TOKYO 2024』で優勝したことでまだまだ環境の一線で活躍出来ることを示した。その後も分布は少ないながら、高い入賞率で環境に座している。
4.2.【粛声】の動き
【粛声】の基本展開を見ていく。初動は《ロー》1枚から。
この基本展開を、《ロー》以外の手札次第で盤面を肉付けしたり各種妨害をケアして動いたりするのが【粛声】の盤面形成の基本方針となる。
例として《ロー》に加えて《サフィラ》を引いていた場合、各種手札誘発を避けた展開を見ていく。
相手がモンスターを召喚特殊召喚したとき《祝福》の②効果を発動して場の《ロー》をリリースし《古聖戴》を儀式召喚出来る。このときリリースした《ロー》の③効果発動で自身を蘇生すれば更に《ロー》の①効果でデッキから《威光》を設置して妨害を増やすことも可能。
盤面はそんなところだが、展開のスタートが《ロー》を通常召喚ではないことに注目して欲しい。このルートで重要なのは盤面形成までの流れであり、上記のこのルートを辿れば《ヴェーラー》《泡影》《ドロバ》等を打たれた場合でも最低限の基本盤面までは展開が出来る。不用意に《ロー》を通常召喚してしまうと《ヴェーラー》等を重く受けて儀式召喚が困難になってしまう。こういったプレイの工夫によって各種手札誘発を避けてゲームをしたい。
この盤面、相手のターンに《ロー》の③効果を発動するタイミングで《墓穴》等を使われると《ロー》が居なくなってしまうので、更にそれをケアするなら③で以下の分岐が可能である。
この様にケアしたいカードによって展開を流動的に変化させることがプレイヤーに求められる。上述した内容の繰り返しになるが、初動となるカードとプラスアルファの手札を使って、盤面を厚くしたり手札誘発のケアをすることが、このデッキの基本展開の基礎となるのである。
基本展開の例として《ロー》1枚の展開を紹介したが、その他の1枚初動の例として《神巫》も紹介する。
この基本展開も《神巫》以外の手札次第で盤面を肉付けしたり各種妨害をケアして動くことになる。長くなるので展開例はこの場では割愛するので4.8.項の参考資料を参照のこと。
4.3.【粛声】の構築
【粛声】は先攻で固い盤面を築くのが狙いのデッキであり、後攻で盤面を荒らすギミックはテーマ内にほぼ存在しない。それ故に後攻になったときに相手の盤面を弱化するための手札誘発を多く積む構築が主流である。昨今の中速のデッキはデッキのスロットの半分程度が自由枠であることが多いが、ギミック内のカードが優秀な【粛声】の自由枠はその中では比較的少なく、その自由枠を後攻に寄せたカードで埋めるのが通説である。
《ペンデュラムグラフ》は儀式モンスターの選択肢の1つとして採用されることも多い。《古聖戴》と違い手札から仕事をするわけではないが《墓穴》等から墓地の《ロー》を守ることが出来たり、サイドゲームの《三戦の才》等に対しても有効な儀式召喚の選択肢である。メインデッキの儀式モンスターは4,5枚が一般的なので、慣れないうちはその枚数の範囲の中で試行錯誤するといい。
また上述の通り盤面を荒らすギミックが不足していることから、EXデッキは盤面に触れるカードが優先される。前シーズンでは《天底》等が採用されることもあったが、今シーズンは【粛声】自体のシェアが減少したこともあってほとんど見なくなった。
《セキュア》は様々な用途で使用されるが広く知られる用途は《祝福》の②効果による儀式召喚を狙う場面である。例として《ロー》《ローガーディアン》2枚の展開を見てみよう。
まずは《セキュア》が無い場合、
この様にせっかく《ローガーディアン》を素引きしているのに盤面が基本盤面程度にしかならず、《ドロバ》も重く貰うことになる。そこで《セキュア》が居るとどうなるかというと、
この様に展開すれば相手のターンに《祝福》の②効果による《古聖戴》の儀式召喚、それによる《ロー》の③効果による蘇生と①効果による《結界》や《威光》の設置を狙える。
4.4.【粛声】のゲーム構成
4.4.1.メイン戦の先攻
主に《うらら》《ヴェーラー》《泡影》を警戒しながら基本盤面の形成を目指す。《G》はそこまで重くないため特別警戒することは少ないが《神巫》で展開する場合は3枚以上のドローを許すことになるため強く警戒する。各種手札誘発全般に受けがいいのでメインギミックのカードを引き込みさえしていれば相手にプレッシャーを与えるゲームが出来るため有利な進行ができる。
4.4.2.メイン戦の後攻
メインギミックで盤面に触るのが難しいため、ある程度強力な手札誘発を引けていない場合は非常に難しいゲームになる。盤面に触る手段は《ローガーディアン》の4100打点で相手の盤面を踏み潰すことと《ロー》で設置した《威光》を使うことであり、儀式召喚を成立させないことには両方成立しない。そのため何がなんでも儀式召喚を通す勢いでゲームしたい。
《神巫》で《ヌトス》を落としたり《ヒエラルキア》で《アンヘル》に繋げたり《リトルナイト》を使うことでも盤面に触りに行くことが出来るが、それらは儀式召喚と両立する動きをしっかりとイメージしてからプレイしたい。
4.4.3.サイド戦の先攻
サイドゲームでは《うさぎ》《わらし》《ドロバ》を警戒した展開を行う。全ての手札誘発をケアするのは不可能なので《墓穴》等をサイドインすることも少なくない。
《サモリミ》等の魔法罠を採用できるが、対戦相手が《羽根帚》《コズサイ》を採用している可能性が非常に高いので《ローガーディアン》の無効効果や《ペンデュラムグラフ》の成立が非常に重要になる。とはいえ《ローガーディアン》は《一滴》を重く貰う危険もあるので過度な依存は禁物である。わざわざ《羽根》の対象でなくても《G》《ニビル》等の手札誘発をうまく先攻のサイドチェンジに混ぜることが出来れば高い確率でライフを守ることが出来るので、《ヴェーラー》《泡影》をサイドアウトする場面でもうまく魔法罠以外のカードをサイドインしたい。
また相手が《G》や《墓穴》をサイドアウトしている可能性が高いので、《ダイナモンド》で《ロー》の魔法罠設置効果を2回(自分ターンと相手ターン)発動する動きを積極的に狙える。
4.4.4.サイド戦の後攻
サイドチェンジ後の後攻では《金謙》等を手札誘発に換えて総手札誘発枚数をかさ増しする。そのためサイドデッキは《ヴェーラー》等が有効でない対面との入れ換え用の手札誘発が多く採用される印象である。下手に後攻用のパワーカードをサイドに忍ばせると、サイドチェンジの際に手札誘発のバランスが崩れてメインギミックの引き込みが悪くなる危険もあり、注意が必要である。
後攻のサイドゲームにおける《威光》は罠カードでありながら《ロー》で除去カードとして運用可能であるため、基本的にサイドアウトの択にはならない点にも注意したい。
4.5.【粛声】の裁定
覚えておくといい裁定について、
●《ロー》の②効果は《ヴェーラー》等の効果で無効になる。《墓穴》で無効になっている場合、フィールドに表側で存在する《ロー》の②効果は無効になるが、手札・墓地・裏側表示の《ロー》は《墓穴》の適応下でも②の効果を使用出来る。
●《裂け目》等の状況下でも《神巫》は①効果を発動出来るが、デッキ・EXデッキから選んだ天使族モンスターは除外され《神巫》のレベルはそのままになる。
●《サウラヴィス》はチェーンブロックを作らない特殊召喚で、墓地の魔法カード2枚をデッキに戻すのは特殊召喚のコスト扱いである。そのため《神宣》等で召喚無効になったとしても魔法カードをデッキに戻す処理は行う。
●《ネクロバレー》の適応下でも《サウラヴィス》は①効果で墓地の魔法カードをデッキに戻して特殊召喚出来る。
●《ロンギヌス》の効果適応下では《古聖戴》の②効果は発動出来ない。ただし《古聖戴》の②効果にチェーンして《ロンギヌス》の効果が発動された場合は、召喚無効となったモンスターは墓地へ送られる。
●《マスカレーナ》等の効果によるリンク召喚に対しても《古聖戴》の②効果は発動出来る。ただしそれは《マスカレーナ》の効果がチェーン1で発動されていた場合に限った話であり、チェーン2以降で《マスカレーナ》の効果が発動されていた場合《古聖戴》は②の効果を発動出来ない。
4.6.【粛声】の留意点
【粛声】は基本展開が簡素であるためプレイ難度が低いと思われがちだが、それでは高い勝率を期待出来ない。【粛声】の本質は簡素ながらも様々なプレイの選択肢を取ることで高い勝率を目指せることであり、実態はプレイ難度が決して低くないデッキである。各種手札誘発の受け方を考えつつ、最終盤面を伸ばす思考がプレイヤーに求められる。良い例があったのでライト氏がX(旧Twitter)で挙げていた盤面形成を見ていこう。
初手は上の画像の3枚とし、この手札から最終的に《泡影》《ヴェーラー》をケアしながら《一滴》《墓穴》をケアした制圧盤面を作っていく。
まず《サフィラ》か《結界》からプレイすることが考えられるが《うらら》を打たれた場合について、
結論、どちらに《うらら》を打たれても基本盤面までは進めなくなるため、思い切って《うらら》を割り切った展開をする必要がある。
次に何の受けを考えるかだが、ここでは例として《ドロバ》が流行している場面での受けを考えてみる。《サフィラ》から発動した場合はその後の動作が出来なくなるが、《結界》から発動した場合は《サフィラ》で《祈り》を墓地に送ることが出来るため《結界》でサーチした《ロー》から設置出来る《威光》の発動条件を満たせる。つまりこの場合は《結界》から発動するのが正解である。
次の動きは2択で
(1)《ロー》を通常召喚
もしくは
(2)《サフィラ》の①効果発動
のどちらかである。
このとき《ヴェーラー》《泡影》を考える。《ロー》の効果が無効化された場合、せっかく《サフィラ》で儀式モンスターをサーチしても儀式召喚のためのコストが無くなってしまう。ここは《サフィラ》を先に使う。
これで《ローガーディアン》までアクセス出来た。上記の通り《ロー》に対して《泡影》等で効果を無効化されると儀式召喚のコストが無くなってしまうため《ロー》は通常召喚せず《サフィラ》の墓地効果で儀式召喚を狙う。
ここで《ローガーディアン》の①効果と《ロー》の③効果でチェーンブロックを組むことになるが、《ロー》をチェーン1で発動することで《わらし》を打たせない様に注意する。
《ロー》を蘇生して①効果で《祝福》を設置すれば盤面は完成するのだが、【粛声】の負け筋である《一滴》をケア出来ないか考えたとき、召喚権を残して手札にはレベル3の《うらら》、場にレベル1の《ロー》が居ることに注目すると《虹光》のシンクロ召喚が視野に入る。《虹光》が場に居れば《一滴》等の捲り札で負ける場面を防げるかも知れないので積極的に狙いたい。よって盤面にモンスターを並べることになるため《ロー》で設置する魔法罠は場にモンスターを横に並べる(特殊召喚効果を有する)《威光》の択をとる。
次に《威光》でデッキからモンスターを特殊召喚する。《サウラヴィス》を特殊召喚すれば妨害となるが、出来ればシンクロ召喚の素材となった《ロー》には場に居て欲しい。そこで、この場では《大儺主水》の使い方の紹介も兼ねて《サフィラ》を特殊召喚する。
《ダイナモンド》は①効果で盤面のカードを退かす効果を有しているが、主な用途は②の墓地の儀式モンスターを蘇生する効果である。儀式モンスターを素材にして儀式モンスターを特殊召喚…というと意味が無さそうに見えるが、その本質は《ロー》の③効果を起動出来ることである。
《ダイナモンド》を使うことで容易に《ロー》を相手のターンに特殊召喚出来る様になり《祝福》を設置することが出来る。この《祝福》は《古聖戴》の特殊召喚による妨害となる。ライト氏の動画では《泡影》を打たれた想定で展開しているがその場合でも《威光》のコストを手札の《古聖戴》ではなく墓地の《祈り》にすれば、展開は継続出来る。
ここまでの展開をまとめたものが以下。
本項を読んだ諸兄の中には「こんなことまでいちいち考えて回さなきゃいけないのか」と思う方も居るだろう。べつに考えなくても回せるのだが、単調なパワーデッキと異なりプレイの最適解を拾いに行く意識の有無で勝率が格段に違うのが【粛声】というデッキである。
手札誘発の受け方を考えながら回し、いざというときは「割り切るときは割り切る」という意識も重要。加えて勝ち筋を追うというよりも負け筋を丁寧に潰していく意識も持ちたい等々。基礎的な内容に見えるかも知れないが、これらを本当に抜け目なく出来る様になるのは難しい。文頭の繰り返しになるが【粛声】は基本展開が簡素であるがプレイ難度が決して低くないデッキであり、一挙一動を丁寧にプレイすることで真価を発揮するデッキである。
4.7.【粛声】の弱点と対策
【粛声】相手の妨害数やリソースは盤面だけでなく墓地や手札にあることが多く、手札誘発だけでなく相手の手札に確定している《古聖戴》や墓地の《祈り》の枚数を常に気にして戦うことになる。不用意に相手の儀式モンスターを退かして《祈り》の墓地効果を使わせるくらいなら、相手の盤面を越えようとはせず盤面を固めて自分の攻め手を蓄え、チャンスを待つのも手である。
上述したが【粛声】はプレイの意識によって各種手札誘発をリスクヘッジしながら受けるデッキである。同じ手札でも【粛声】側のプレイヤーの意識によってこちらの手札誘発や捲り札の威力は違ってくる。臨機応変に、要所を意識外の手札誘発で止めたいところである。
特に打ちどころが難しい手札誘発が《うらら》であり《強金》《天底》《サフィラ》《結界》《威光》《祈り》《下準備》…等とにかく打ちどころが多い。それでいてどこに打っても貫通される可能性があるし、どこに打っても止まる可能性があり、相手に依存するところがあまりに大きい。《ヴェーラー》と《泡影》も同じで《ロー》や《神巫》に打つことで展開が止まる可能性もあるが《古聖戴》や《ヒエラルキア》等の受け方があまりに多い。【粛声】を使う上では《ヴェーラー》等の対策の意識が必要だが、自分が【粛声】と対面するにあたってはこれらのカードは警戒されると仕事は期待出来ない。
《わらし》は単純に《サフィラ》を止めることが出来る4枚目の《うらら》の様に使える他、不用意なチェーンの組み方をした【粛声】から《ロー》の蘇生を拒否することも出来る。《うさぎ》は《結界》を破壊して展開を止める期待も持てる他、相手の展開後に引いても《祝福》や《威光》に対して打つことが出来るため有用である。多種多様な手札誘発のパターンを抱えることは【粛声】に対してプレイを鈍らせる有効な手段の1つである。
《羽根帚》や《大嵐》は《結界》《祝福》《威光》を剥がすことが出来る他【粛正】がサイドインする《サモリミ》等に対応する役割でもある。妨害を2枚以上退かせるカードであるため《ローガーディアン》の無効効果を誘うことが可能。こういった《ローガーディアン》の効果の使用有無を相手に悩ませるカードを複数連打出来れば【粛声】に対して有利なゲームを作れる。《三戦の才》等も《結界》で対象耐性を持ったモンスターの処理に大きく貢献でき、《古聖戴》のコントロールを奪取して妨害数を減らしてからリソースを膨らませたり、2ドローで《羽根帚》等を引き込みに行く選択も取れる優秀なカードである。
4.8.【粛声】の参考資料
〈初めて使う場合等に分かり易い資料〉
〈大会等を意識したとき参考になる資料〉
5.【スネークアイ】
※大部分が前記事と重複するので注意
5.1.【スネークアイ】の特徴と強み
まず【スネークアイ】というギミックは1枚のカードから膨らむリソースの量に富んでおり、加えて《ディアベルスター》から成る【罪宝】ギミックからもアクセス可能な姉弟テーマであることから、初動及び手数が非常に豊富なテーマである。
【スネークアイ】は《エクセル》《ディアベルスター》《ポプルス》《篝火》といったカードの存在からギミック内だけで初動の種類がある程度固定される。そのため単体採用のカードを引き込んだ場面等のアドリブ性の高い展開を迫られる機会がそこまで多くなく、ストレスフリーでゲームすることが出来る。簡潔なサーチが展開の基盤にあることで、非常に高い再現性及び安定したゲームを実現しているのが強みとなっている。
また【スネークアイ】は自由枠が多いデッキであり、構築では手札誘発や捲り札を多く採用出来る。昨今の遊戯王はメイン戦の後攻で相手の展開を前に無力な場面が多いが【スネークアイ】なら豊富な手札誘発で相手の先攻展開盤面を弱化出来るため、理不尽なゲームにもある程度対応出来る様になる。
そして何よりの特徴はここ半年以上続く「先攻展開の盤面に妨害数はそこまで多くないものの、リソースや妨害がフィールドだけでなく手札や墓地に散る」という流行を作り出したデッキであることである。《炎龍》《咎姫》といったカードは妨害性能を有していながら非常に高いリソースとしての性能を持つ。特に《炎龍》の③効果は《エクセル》や《ポプルス》の蘇生で2枚分のアドバンテージになるだけでなく、特殊召喚したモンスターのサーチ効果によって更に2枚分のアドバンテージとなり《オーク》を経由すれば4,5枚分のアドバンテージとなる。《タービュランス》も真っ青である。
環境中期からは【デモンスミス】のギミックの登場で手札誘発の貫通性能・妨害数・リソース性能が非常に強化され、ただでさえ環境トップクラスだったパワーを誇っていた【スネークアイ】は【デモンスミススネークアイ】という非常に高いパワーと安定性を有するデッキに変貌した。
5.2.【スネークアイ】の動き
まずは環境序盤に活躍した【純スネークアイ】の展開を見ていく。参考資料の言葉を借りると【純スネークアイ】は構築だけ見てもプレイの思想が見え辛い。
まずは入賞報告の多い【純スネークアイ】の例として、手札誘発を多く採用することで《ヒートソウル》のドローによる手札誘発の引き込みを活かす先攻展開を見ていく。初動はお馴染み《エクセル》1枚から。
《炎龍》の②効果と《蛇眼神殿》の③効果を使えば
(1)《ヒートソウル》のドローによる手札誘発の引き込み
(2)それをトリガーに発動出来る《アーリィ》の無効妨害
(3)《マスカレーナ》による相手ターンのリンク召喚
(4)《リンクリボー》による戦闘からの保護
(6)《炎龍》で蘇生したリソースによる次ターンの攻め手
を構える形になる。基本盤面はプレイヤーのゲームプラン次第となるが、《ヒートソウル》を積極的に絡めることで【純スネークアイ】の持ち味は存分に発揮出来るため積極的にゲームプランに加えたい。
そして【デモンスミス】が絡むことで先行盤面の妨害数のかさ増しと手札誘発の貫通手段が増えた展開が以下。
展開途中ではあるが、この盤面を見れば《エクセル》1枚から非常にリンク数が伸びる様子が分かる。《デモンスミス》は③効果を使っていないため、実質上記の盤面はリンク数が6存在している。
【スネークアイ】のリンク数を伸ばす性能を活かして《サロスナンナ》《レクイエム》を経由して《デモンスミス》にアクセスすることで《レクイエム》の②効果で《エクセル》の②効果や《ディアベルスター》《原罪宝スネークアイ》のコストを供給することで更にリンクを伸ばせるのが特徴である。
ここから妨害を並べることになるが、うまく最終盤面をデザインしなければ《一滴》や《心変わり》《拮抗》の様なカード1枚で簡単に捲られる盤面になってしまったり、《咎姫》の制約によって最終盤面に思う様な妨害を設置出来ない場合もある。入賞報告が多い参考資料を5.8.項に記載するので詳細な展開ルートについては資料を参照して欲しい。というか有料部分なので本記事では扱えない。
5.3.【スネークアイ】の構築
上図の構築は改定で空いた枠を《チキンレース》と《ソウルズ》で埋めた構築である。詳細は以下の資料を参照。
自由枠が多く豊富な手札誘発を採用し可能であり、メインギミックの枠は豊富な初動及び貫通札が大部分を占めるため、構築されるカードのゲームに関連出来る仕事の純度が非常に高く、全てのカードが手数になる可能性を持つ。混ぜ物では採用枚数が多くない《ポプルス》や《ディアベルスター》といったカードも純構築であるが故にフル投入されることが多い。
《アーリィ》は主に《リンクリボー》と一緒に《ヒートソウル》に繋げるための用途で使われることが多く、妨害として使用する場合は《マスカレーナ》が優先される。そのため《ヒートソウル》でのドローの期待値を高くするため手札誘発を多く採用する構築では《アーリィ》が活躍することが考えられるのだが、こういったカードの強みや役割はゲームプランによって異なり、前述の通り【純スネークアイ】は構築だけ見てもプレイの思想が見え辛いため、入賞報告のある構築を参考にする場合はプレイヤーの思想を追う必要がある点に注意したい。
【デモンスミス】が登場してからはこのギミックを混合するのが主流になっている。プレイヤーによっては《大炎魔》等の採用も見られるが、総じてデッキのスロットのうち多くの割合を初動と手札誘発が占めており、先攻後攻問わず安定したゲームを目指せる。
5.4.【スネークアイ】のゲーム構成
5.4.1.メイン戦の先攻
《G》《うらら》《ヴェーラー》《泡影》を警戒して先攻展開をすることになるが、手札誘発の耐性がある程度高いデッキであるため「どんな手札誘発が飛んで来ても最低限1妨害は構えられる様に展開しよう」という最低限の妨害を保証する意識を重要視する。シーズン後半はこれに加えて《ドロバ》も存在するため、発動するカードの順番を間違えない様に注意したい。
《ディアベルスター》は《G》でドローさせない様にメインフェイズの開始時に打ちたくなるが【スネークアイ】や【デモンスミス】はモンスターを魔法罠ゾーンに設置する効果を複数有する。「どのみち《G》されたら勝てないな」という場面ではコストの踏み倒しを意識して温存することが多い印象である。
5.4.2.メイン戦の後攻
後攻のゲームは手札誘発を的確に打ち込んで相手の盤面を弱化して後手捲りを狙うという、典型的な現代遊戯王のゲームメイクとなる。対面のデッキへの理解度が求められる反面、ある程度の貫通力を有するデッキであるため多少裏目を踏まされても上手くゴリ押せれば後攻のゲームも比較的取り易い印象であるが、安定した勝率を目指すなら経験値を多く積みたいところである。
5.4.3.サイド戦の先攻
メインデッキに手札誘発を多く採用するデッキ故に先攻用のカードを多くサイドイン出来る。サイドインするカードの選定について、手札誘発をある程度強く受けられるデッキであるため、デッキビルドの時点で警戒すべきカードは《ニビル》等ではなく《リトルナイト》や《拮抗》の様な盤面の後手捲りを警戒したカードとなる。《ニビル》や《ドロバ》はデッキビルドでのカードの選定で警戒するのではなく、プレイヤーのプレイ技術である程度カバーする気持ちでいたい。
5.4.4.サイド戦の後攻
サイドチェンジは『指名者』等をサイドアウトして手札誘発を増やすことになり、これに加えて対面次第では《コズサイ》や《拮抗》を投入する。【スネークアイ】はリソース性能が高いもののライフカットの能力はそこまで高くないため、無理に裏目を踏んでまでライフカットを狙うよりも盤面をある程度荒らしてから《炎龍》や《リトルナイト》で相手の墓地リソースを枯らす等して蓋をする場面も多い。リンク数を伸ばす動きが得意なギミックなので、盤面に触れることが出来るリンクモンスターをEXデッキには多く採用しておきたい。
5.5.【スネークアイ】の裁定
覚えておくといい裁定について、
●【スネークアイ】のギミックで永続魔法カード扱いとして魔法罠ゾーンに設置されているモンスターが、各種カードの効果の発動や適用の条件に含めることが出来るかどうかについて、
(A)モンスター扱いではないため『フィールドに「○○」モンスターが存在する場合』のような記載のテキスト効果を発動、適用するための条件に含めることはできない。
(B)モンスター扱いでは無いがモンスターカード扱いではある。つまり『フィールドに「○○」モンスターカードが存在する場合』のような記載のテキスト効果を発動、適用するための条件に含めることはできる。
(C)モンスター扱いでないカードは「チューナー」等の性質を持たない。よって『自分のフィールドか墓地にチューナーが存在する場合に発動できる』のような記載のテキスト効果を発動、適用するための条件に含めることはできない。
(D)モンスター扱いでなくてもカード名の情報は残る。つまり『自分フィールドに「○○(カード名)」が存在する場合』のような記載でカード名を指定している場合は、効果を発動、適用するための条件に含めることができる。
(E)尚、モンスター扱いではないため永続効果を持つモンスターの効果は適応されない。
●《大炎魔》の①効果は対象をとらない誘発効果であり、このカードの元々の持ち主と戦闘を行う相手モンスターの元々の持ち主のフィールドに、使用可能な魔法&罠ゾーンがそれぞれ必要数ある場合に発動できる。
●《大炎魔》の①処理時に少なくとも片方がモンスターゾーンに存在しなくなった場合、処理は行われない。
●《大炎魔》の②効果は魔法罠ゾーンに他に空きが無ければ発動出来ず、墓地のモンスターを魔法罠ゾーンに置く際《大炎魔》が置かれていた魔法罠ゾーンに置くことは出来ない。
●《大炎魔》の②効果は永続魔法として発動及び適用される効果であるため、この効果の発動に相手がチェーンしても《シルウィア》の『自分の「ディアベルスター」モンスターまたは自分の「罪宝」魔法・罠カードの効果の発動にチェーンして、相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時、墓地のこのカードを除外して発動できる。』という効果は発動できない。
5.6.【スネークアイ】の留意点
展開中の相手の妨害の踏ませ方が重要なデッキであり、相手に裏目を踏ませに行く意識を持ちたい。詳細を説明する。
5.4.項でも触れたが、昨今の競技的な遊戯王で多く見られる先攻展開で共通する意識として「どんな手札誘発が飛んで来ても最低限1妨害は構えられる様に展開しよう」という最低限の妨害を保証する意識が有効である。【スネークアイ】というデッキは以下2つの理由からこの性能が非常に秀でている。
1つ目の理由はそのリソース性能にある。【スネークアイ】というギミックはリンク数を伸ばす動作と妨害を同時に兼ね備えるギミックを《炎龍》や《咎姫》といった1つのカードが兼務する。《ヴェーラー》や《泡影》はこれらのカードに繋げるまでの間に打たなければ1妨害を許すことになり、相手目線では手札誘発を打つ場面が《エクセル》等に限られる。これら「次ターンの妨害と次々ターンの攻め手を1枚で生み出すリソース」という存在自体が最高レベルの妨害保証性能を発揮するのである。
2つ目の理由は手数にある。【スネークアイ】が【炎王スネークアイ】をはじめとした混合デッキより秀でた点として、前述した「全てのカードが手数になる可能性を持つ」ことが挙げられ、これはつまり貫通性能の高さを示している。今シーズン流行した《ヴェーラー》《泡影》は【スネークアイ】における《エクセル》初動を止めることが出来る点で評価されているが、【純スネークアイ】は手札がある程度あれば大抵の手札誘発は貫通して盤面を形成出来る。
つまり上述した2つの理由を重ねて考えると、相手の視点では「《炎龍》や《咎姫》に繋がる前に手札誘発で止めたいのに、《エクセル》や《ディアベルスター》を無効にしても手数が多くて貫通される」というゲームになるのである。この裏目を相手に押し付ける意識は重要で、展開ではこのゲームメイクを積極的に狙う意識を持ちたい。
5.7.【スネークアイ】の弱点と対策
【スネークアイ】と対面する場合、《炎龍》《咎姫》を着地させた時点で1妨害は構えられることになるため《ヴェーラー》《泡影》は初動に打たなければならない…と言われがちだが、それはあくまでパワーが少なく1妨害を越えられないレベルで手札に攻め手が無い場合の話である。
そもそも今期の環境デッキは総じて手札誘発1枚で展開は止まらないし、捲り札1枚で妨害がゼロになるなんてことはない。甘い考えは捨てるべきである。手札誘発は複数枚打ち込むことで相手の展開を弱化させるイメージで、《ヴェーラー》《泡影》は他の手札誘発と一緒に使う想定で相手のリソースが一番減りそうなタイミングで打つことになる。
特に【デモンスミス】が採用されてからは《レクイエム》《トラクトゥス》《セクエンツィア》といったカードで手札誘発を踏む動きを行えるようになったため、【スネークアイ】側は手札誘発の裏目を相手に踏ませるプレイが多くなった。そのため安定した勝率を狙うなら裏目を引き難いという理由から捲り札の使用も有効である。
また、リソースを与えない意識が非常に重要である。先攻展開の盤面では妨害となる《マスカレーナ》《咎姫》に目が行ってしまうが、それらの本質は《炎龍》を墓地に送ることで爆発的なリソースを確保することにある。妨害を恐れて《咎姫》に《墓穴》を使うよりもリソース確保を恐れて《咎姫》をスルーし《炎龍》の③効果を《墓穴》で射抜く方が有効な場面は多い。《拮抗勝負》も《咎姫》からの《炎龍》を使わせてから発動したり、《三戦の才》も相手の場に《炎龍》を残した状態で打てないか一考する等、相手のリソースを少しでも減らすプレイを意識したい。
とは言え【スネークアイ】のリソースを枯らすのは至難の技である。もし可能なら早々の8000ライフカットによるキルが望ましい。《ヒータ》で《咎姫》を誘ったあとに《ジーランティス》《アクセスコード》といったキルプランも悪くないし、《三戦の才》によるコントロール奪取もキルを助力する。【スネークアイ】への対策は、手札誘発の打ち方よりは予め有効なキルパターンを準備しておくのが有効な印象である。
5.8.【スネークアイ】の参考資料
〈初めて使う場合等に分かり易い資料〉
〈大会等を意識したとき参考になる資料〉
5.【R-ACE】
※大部分が前記事と重複するので注意
5.1.【R-ACE】の特徴と強み
【R-ACE】は《ハイドラント》《インパルス》《プリベンター》といった単体性能の高いモンスターを多く携えたテーマである。特に《タービュランス》は現在の遊戯王OCGのカードプールでもトップクラスのアドバンテージ性能を有する。
②の効果を読んで欲しい。サラッとデッキからカードを4枚持ってくると書いてある。ヤバい。この《タービュランス》のカードデザインの関係で、テーマ内の魔法罠のレパートリーが充実しているのも特徴である。
こういったハイパワーのテーマはそれぞれのカードに制約を設けて他ギミックとの共存を規制するものなのだが【R-ACE】はそういった規制が無く、自由にギミックを取り入れて展開の強化が可能である。
【スネークアイ】のギミックにより《篝火》から《ハイドラント》に繋がるだけでなくリンク数の底上げにもなる点で【R-ACE】は【スネークアイ】と仲が良い。そのため現在の【R-ACE】は《ディアベルスター》《ポプルス》のギミックを入れたものが主流である。《咎姫》の存在で《ヴェーラー》《泡影》を簡単に受けられる様になったのも大きい。
そして今シーズンは《デモンスミス》のギミックのお陰で手札誘発の貫通性能だけでなくリンク数の伸びや初動のかさ増し・強化が実現した。《サロスナンナ》を経由すれば大抵のカードが《タービュランス》にアクセス出来るため、《ハイドラント》をはじめとしたリンク数を伸ばすカード全般が初動として強化されたといえる。
5.2.【R-ACE】の動き
前シーズンでは《エアホイスター》《ディアベルスター》《篝火》等が有効な初動だった。これらの動きは過去記事や参考資料で記載しているためここでは割愛する。【R-ACE】を初めて使うプレイヤーは必須知識であるため、5.8.項の参考資料に少し目を通してから本項を読み進めて欲しい。
今シーズンは【デモンスミス】が登場して《ハイドラント》《ポプルス》《デモンスミス》等も《タービュランス》に繋がる1枚初動として機能する様になったので、本項ではその一部を紹介する。
《ハイドラント》1枚から。
妨害の受けが悪いので《ハイドラント》から展開を開始することはほとんど無いが、《エアホイスター》《EMERGENCY》で手札誘発を踏み切ってから《ディアベルスター》等で《ハイドラント》にアクセスし、上記展開を行う場面は実戦でも頻繁に存在する。
【デモンスミスR-ACE】の《プリベンター》でリンク数を伸ばし《サロスナンナ》から《デモンスミス》《セクエンツィア》《ラクリモーサ》に繋げて《ベアトリーチェ》で《タービュランス》を墓地に送り《咎姫》で釣る…という一連の動きは今シーズンの必須知識となる。
前シーズンでは《プリベンター》は手札に温存することで《ニビル》等をケアして《タービュランス》を通す役割があった。今シーズンはそれだけでなく最終盤面の強固さに大きく関わる様になった。例として《ポプルス》と《ファイアエンジン》(もしくは《ファイアアタッカー》)の展開を見てみる。
最終盤面に《ハイドラント》が残ったことによって《CONTAIN》《EXTINGUISH》にボーナスが付くだけでなく、《EMERGENCY》と《RESCUE》が場に残ることでリソースだけでなく妨害数も増やすことが出来た。相手のターンに《サンライトウルフ》のリンク先にモンスターを特殊召喚しつつ《ベアトリーチェ》でデッキから《うらら》を墓地に送る等すれば、妨害数は更に増やせる。
【デモンスミス】登場前までは《ハイドラント》のボーナスを狙う場合、相手ターンに《EMERGENCY》で《プリベンター》を墓地に送る等して《ハイドラント》を供給する必要があったため《プリベンター》の着地は若干ハードルが高かった。が、【デモンスミス】によって《プリベンター》に依存しないリンク数のかさ増しと《タービュランス》へのアクセスを得たことで《EMERGENCY》の温存が可能になり、加えて上記の様に《ベアトリーチェ》の活用も可能になったことで実質2妨害増えた形になる。
5.3.【R-ACE】の構築
まずは【デモンスミス】登場前の4月の構築例から。
【R-ACE】を使用する場合、モンスター群の性能が高いからといって枚数を多く採用すれば強いわけではない。手数としてカウント出来る引き込んだ場合のリソースの役割と、デッキ内に眠らせて息切れしない様に立ち回るデッキ内リソースとしての役割、これらと自分のプレイでどこまでリソースを回せるか判断して枚数を決める。
そういった意味で【R-ACE】の構築はメインギミックの採用カードや採用枚数がプレイヤーや大会傾向によって異なり、どんな構築を参考にすべきか判断が難しい。どんなに強力なカードもダブって引きたくないなら枚数を減らす択がある。例えば《インパルス》は《ファイアエンジン》等をリクルートしてアドバンテージを得られる他、後攻のターンに発動すれば《タービュランス》のリクルートも可能である。しかし先攻での動きの阻害にもなることから、後述する【デモンスミス】登場以降は不採用の構築も見られ話題となった。
【R-ACE】はテーマ内に専用魔法罠が多く存在し、《タービュランス》の存在からそれらを散らす形で採用する必要がある。これらは初動との重ね引きで妨害を貫通するものもあれば、後攻のゲームで機能しない類のものもあり本当に多種多様である。それぞれのカードの役割を十分に理解しておくだけでも【R-ACE】の勝率に繋がるため、多くの知見を得ておきたい。【天盃龍】の分布が増えるまで《REINFORCE》は《拮抗勝負》への受けの良さからサイドデッキで使われていたが、昨今ではメインデッキに採用されるケースも散見される。
また上記の構築例では《デュランダル》と《大聖剣博物館》を採用している。《エアホイスター》《インパルス》のサーチを行えるので、召喚件を強力に使ったり、後攻の捲りの際に《インパルス》のサーチから動くことで自分のターン中の《プリベンター》や《ファイアエンジン》のリクルートを狙えるため、高い捲り性能の期待値が生まれる。これは《EMERGENCY》が規制されたことで薄くなってしまった妨害の受け方の選択肢を増やす意味が強く、全国区で見ると採用率はあまり高くないが【R-ACE】がどんな弱点を持っていて、それをどうやって補うのか、考えを巡らせるには非常に良いカードなので【R-ACE】を触り慣れていないプレイヤーは使ってみると新たな発見があるかも知れない。
次に【デモンスミス】登場以降に主流となった【デモンスミスR-ACE】の構築例。
上述したが【デモンスミス】が登場してからは《サロスナンナ》を経由して《タービュランス》にアクセス出来る様になった。この恩恵として、特に《ディアベルスター》《篝火》といったカードの弱みを補填したところが大きい。
《原罪宝》に関連するカードは一見すると強力だが、どんなに展開しても《ハイドラント》に《泡影》等を打たれると《タービュランス》が成立しないため、いくら重ね引きしてもあまり意味がない部分があった。が、《サロスナンナ》を経由して《タービュランス》にする動きのお陰でリンク数として使用することに大きな意味が生まれ、非常に価値が上がったと言える。
【デモンスミスR-ACE】はプレイヤー・地域による構築差がよく話題になるデッキで、上記は《インパルス》不採用で《ドロバ》を採用して話題になった構築である。その他にも《CONTAIN》《EXTINGUISH》が不採用であったりと様々な構築があるため、自分の目指すゲームプランと相談したい。以下、構築差によってゲーム構成に多少の違いが生じるため、本記事では手札誘発を比較的多く採用するか否かで分けて記載したい。
5.4.【R-ACE】のゲーム構成
5.4.1.メイン戦の先攻
手札誘発をケアしながら《タービュランス》の成立を狙う。初動の優先度等は5.6.項を参照。
基本盤面は【デモンスミス】を絡めた《サンライトウルフ》《ベアトリーチェ》《タービュランス》だが、メイン戦から《ニビル》《拮抗》等が流行しているなら《リトルナイト》《タービュランス》の形にシフトする。特に《G》を重く受けた場面など、下手に展開を止めるよりも《G》のドローを最小限に抑えながら《リトルナイト》と《タービュランス》に向かった方が勝率が高い印象である。
5.4.2.メイン戦の後攻
メイン戦の後攻は構築によって差が出る部分である。手札誘発を多く採用した型の場合は【R-ACE】以外のデッキ同様、現代遊戯王のテンプレートに沿った手札誘発の投げ合いを行う。相手の盤面が弱化したら《プリベンター》等でリンク数を上げて《アクセスコード》等を使った高速のライフカットを狙ったゲームを行う。《CONTAIN》等のカードの存在から他のデッキに比べるとハイリスクであるが、手札誘発が多い環境だからこそライフカット出来なかったときの《タービュランス》の成立が圧倒的なダメ押しになり易く、ハイリターンでもある。
手札誘発をそこまで多く採用しない場合、相手にフルで展開を許した上で、先攻のゲーム同様《タービュランス》を成立させてアドバンテージを獲得することを勝ち筋とする。そのためライフカットや相手の盤面を荒らしたりリソースを枯らすという動きはあまり狙わず、相手の妨害を掃かせるために《リトルナイト》の①効果もメインフェイズ1に積極的に使用し、《タービュランス》でアドバンテージのプラスマイナスを無くすことで、総力戦に近いゲームを狙いに行く。《タービュランス》の攻守3000というステータスも相手へのプレッシャーとなる。
5.4.3.サイド戦の先攻
サイドチェンジは《インパルス》及び対面次第で相性が悪い場合は《G》の2種を減らして、《REINFORCE》及び先攻用のカードを入れる。どういったカードを入れるのか、《G》はどれくらい抜くのか等は参考資料を参照のこと。
プレイ面ではメイン戦といくつかプレイの方針が異なるため注意する。例えば、貰う必要のない《ニビル》等を重く貰わない様な立ち回る等が挙げられる。《ニビル》や《拮抗》を警戒して《リトルナイト》《タービュランス》の盤面に落ち着けることが多い印象で、わざわざ【デモンスミス】に拘らずに展開するのも有効。メイン戦で【デモンスミス】のギミックを見せているなら尚更である。
他にも《タービュランス》の伏せのうち1枚を《REINFORCE》にすることになるため、展開中に使った《ALERT》等を不用意に《タービュランス》等のコストで除外してリソースを減らさない様に注意する…等、細かなメイン戦との意識の違いは多々挙げられるので、詳細は参考資料を参照して欲しい。
5.4.4.サイド戦の後攻
上述した構築差があるため、サイドデッキも少し毛色が変わってくる。手札誘発を多く採用する場合は《指名者》以外にも《ドロバ》等の刺さり難い手札誘発を《一滴》等の捲り札に変える。
あまり多く採用しない場合は《デモンスミス》や《ディアベルスター》等の3枚採用される名称ターン1効果のカードの割合を少し減らして捲り札やバリューの高い手札誘発にすることが多い印象である。
捲り札の選び方だが、メイン戦の項で記載した様に後攻のゲームであっても《タービュランス》の成立は重要な勝ち筋である。そのため捲り札は「相手がどんなカードで《タービュランス》を止めに来るか」のイメージで選ばれる。つまり《マスカレーナ》や《ローガーディアン》で《タービュランス》を止めにくる相手なら《一滴》になるし、《ファントムオブユベル》や《シルウィア》等が想定されるならそれに合わせて《墓穴》や《羽根帚》等の捲り札を選ぶこと推奨される印象である。
5.5.【R-ACE】の裁定
覚えておくといい裁定について、
●《ハイドラント》の①効果が適応されるのは「R-ACEモンスター」が存在する場合であるが、《ポプルス》《炎龍》等の効果で魔法罠ゾーンに存在する「R-ACEモンスター」はモンスターとしては扱わない。
●【R-ACE】戦士族モンスターの共有②効果はタイミングを逃す効果である。そのため相手がフィールドのモンスター効果が発動したときに直接チェーンすふ必要があり、別のカード効果を挟んでから発動することは出来ない。
●インパルスの①効果は対象をとらない効果であり、「相手プレイヤーが発動できなくなる」効果である。つまりカードではなくプレイヤーに干渉する効果であり「他のカードの効果を受けない」カードであっても効果を発動することが出来なくなる。
●インパルスの①効果は発動した時点で1番攻撃力が高いモンスターに適応される。したがって効果適応後に新しく攻撃力が1番高いモンスターが場に出た場合、その新たに場に出たモンスターは効果を発動できる。
●場に攻撃力0のモンスターしか存在しない場合でも、インパルスの①効果を発動して1番攻撃力が高いモンスター(この場合は攻撃力が0のモンスター)を選ぶことが出来る。
●《ヘッドクオーター》の③効果はデッキにカードが存在しない場合には発動できない。
●《ヘッドクオーター》の③効果に対して相手が《クロウ》や《ケルドウ》を発動して《ヘッドクオーター》の対象になったカードが墓地・除外ゾーンから移動した場合でも、残りのカードをデッキに戻して1枚ドローする処理は行う。(効果処理を行えなくなる《貪欲な壺》等との違いは戻す枚数まで指定されていないことであり、記載が「そのモンスター5体を」ではなく「そのカードを」の様に記載されていることで判別する)
●《EMERGENCY》や《REINFORCE》に限った話ではないが、墓地に存在する魔法罠カードが効果を発動する場合、速攻魔法やカウンター罠等のカード種類に関係なく魔法カードならスペルスピードは1、罠カードならスペルスピードは2である。
5.6.【R-ACE】の留意点
【R-ACE】は他のデッキと比べると非常にアドバンテージを強く意識するデッキである。それを念頭に入れて以下の項目を読んで欲しい。
まず初動の優先度について、《エアホイスター》と《ディアベルスター》と《篝火》の3種類の初動が最も有力な初動であり、《増殖するG》に対する受けだけで考えると
(1)《エアホイスター》初動なら1ドロー
(2)《ディアベルスター》初動なら2ドロー
(3)《篝火》初動なら3ドロー
で《タービュランス》が成立する。そのため先攻展開での初動カードの発動の優先順は《エアホイスター》>《ディアベルスター》>《篝火》が一般的な印象である。《ハイドラント》《デモンスミス》《ポプルス》の展開は《G》を非常に重く貰うので、初動としての優先度はそれ以下となる。勿論《ヴェーラー》《泡影》への警戒だったり、《篝火》で供給した魔法罠ゾーンのポプルスを《ディアベルスター》のコストにする等、上記優先順の枠外で狙えることは多く、状況によって使い分けることになる。下手に《G》で《ヴェーラー》をドローされることを怖がって《タービュランス》を成立させないと、そっちの方がディスアドバンテージになることも多いので強気なゲームも時として必要である。それを踏まえても《G》のドロー枚数は覚えておいて損は無いので、頭の片隅に入れておきたい。
後攻で打ち込む手札誘発の優先度について、メインの手札誘発は《G》《うらら》《インパルス》でだが、優先度の基準はアドバンテージの獲得期待値となる。詳細や理由は参考資料を参考して欲しいが、《うらら》→《インパルス》→《G》の順でイメージしておくといい。《インパルス》を手札誘発として使用する場合、特殊召喚先は《ファイアエンジン》《ファイアアタッカー》の2択で、これらが手札に居る場合は《プリベンター》を出すことになる。
他にも《タービュランス》の通し方や手数の考え方についての記載があるため、一読に損はない。
そして【R-ACE】で最も勝率に直結すると言われているのが《タービュランス》で伏せた魔法罠の使い方である。小規模な大会等では《エクセル》の通常召喚に対して深く考えず《CONTAIN》を打った結果《ディアベルスター》のコストにされる等して敗北し、運や噛み合わせのせいにしているプレイヤーが非常に多く見られた印象である。詳細は参考資料に詳しい記載があるが、相手の展開を完封することではなく基本意識はライフをゼロにされないことを意識して妨害を当てる。【R-ACE】で勝ちたいプレイヤーは以下参考資料を必読。
5.7.【R-ACE】の弱点と対策
対面の意識として《タービュランス》を止めるのは勿論であるが【R-ACE】は「初動が細く手札誘発で簡単に止まるものの手数で妨害を押し切りに行ける」タイプのデッキである。手札誘発が2枚重なってくれた場合、打ちどころを間違えなければ《タービュランス》までの展開を止めることが出来る場合が多く、相手の手数を上手く見切って手札誘発を当てたい。《ヴェーラー》《泡影》については1枚では《タービュランス》を止めるのは絶望的だが、2枚重なったとき《リトルナイト》と《タービュランス》の盤面になってから連打したり、《セクエンツィア》その後の《エアホイスター》もしくは《ハイドラント》にも連打出来るので、手札誘発の打ちどころが分かり易い。
手札誘発は基本的に《ハイドラント》や《エアホイスター》等の初動に連打するイメージが有効だが、いくら連打しても手札誘発の枚数が相手の手数より少ない場合は《タービュランス》まで繋げてくるので手札誘発に依存し過ぎないこと。《タービュランス》の効果が通ってしまった場合の立ち回りも重要である。
【デモンスミス】が流行してからは《リトルナイト》の着地が減って《EMERGENCY》を温存する展開が増えた印象である。そのため《タービュランス》への《ヴェーラー》《泡影》を狙う際に《うらら》も重ねて抱える選択肢を頭に入れておきたい。
《タービュランス》の効果が成立してしまうと伏せた4枚のカードを1枚1枚丁寧に踏んでいく必要があり、《リトルナイト》は2つの効果で《CONTAIN》《EXTINGUISH》の両方を上手く踏める可能性があり重宝する。
《EMERGENCY》等で《ハイドラント》を供給されると《CONTAIN》《EXTINGUISH》の追加効果(ハイドラントボーナス)により重く打たれる可能性があるため、対象不在で避けることが出来るならそれに越したことはない。【R-ACE】のギミックの妨害は《プリベンター》と《CONTAIN》と《EXTINGUISH》の3つで、これに《タービュランス》の③効果を含めた4つである。これらを上手く無駄打ちさせることが出来れば非常に優位なゲームを作れる。
【R-ACE】は《CONTAIN》《EXTINGUISH》の供給があるため妨害性能に目が向きがちだが《インパルス》からの《ファイアエンジン》をはじめとした2000クラスの打点の横並びによる生存性能も非常に厄介である。それ故に《ヘッドクオーター》による《タービュランス》の効果のサイクルを止めることが難しいゲームでは厳しいゲームとなるため、恒久的な妨害を予め採用しておくか、速攻で8000削って終わらせるゲームプラン・キルイメージを用意しておくべき。《羽根帚》等のAoEは一見すると有効に見えるが、相手が稼いだアドバンテージをプラマイゼロにするだけで、こちらがプラスになるわけではないので注意。それとサイドデッキには構築の時点で《REINFORCE》後の《タービュランス》を超える手段を準備しておくこと。《羽根帚》や《拮抗》を打ったあとの《心変わり》はサイドゲームで非常に有効なので、サイドインするカードをイメージする場合は頭に入れておきたい。
5.8.【R-ACE】の参考資料
〈初めて使う場合等に分かり易い資料〉
〈大会等を意識したとき参考になる資料〉
6.【ユベル】
【ユベル】についてのみ過去記事で触れていないデッキであるため、他デッキの項目よりも内容が初見向けであることを留意頂きたい。
6.1.【ユベル】の特徴と強み
【ユベル】はワンキル力・耐久力・手札誘発耐性・リソース性能等、多くの武器を有する特異な『悪魔族GS』とも取れるデッキである。
レベル9以上の闇属性・悪魔族、攻守が0で統一されているカード群が非常に特徴的なテーマである。戦闘破壊されず戦闘ダメージを0にする特異な性質を有するため効果による除去でしか対応できないのだが、各モンスターは破壊されたときに第1第2形態と姿形がパワーアップしたユベルモンスターを特殊召喚する効果を持つ。『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』宛ら、ボスとしての貫禄があるカードデザインとなっている。
昨今の【ユベル】は《ナイトメアペイン》の存在により盤面の攻守0のユベルモンスター全てに「戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける」という効果を付与することで、非常に高いライフカット・ワンキル性能を実現している。
【ユベル】の耐久力・手札誘発耐性・リソース性能を支えるのは《ファントムオブユベル》の存在である。緩い条件で特殊召喚することが出来ながらモンスター効果の実質無効効果を有し、簡単に手札誘発や各種手札誘発をケア出来る。それに加えて召喚条件の"デッキに戻す"という部分は素引きした上級モンスターを逃がすというだけでなく展開の最中に《ファントムオブユベル》を特殊召喚するという行為そのものがデッキ内のリソースを回復する役割を持ち【ユベル】の暴力的な展開力を実現している。まさに破格の性能である。
その高い性能から前シーズン中期以降に環境に顔を出すことになった【ユベル】だが、今シーズンの中期に《デモンスミス》が登場したことで、初動がかさ増しされただけでなくリンク数を伸ばす手段が増えたことよる高いパワーと機動力を得た。これにより環境の中堅に分布していた他のデッキを置き去りにして高いシェアを獲得し、環境デッキとしての立ち位置を盤石とした。
6.2.【ユベル】の動き
【ユベル】は環境でも随一の非常に多くの初動を持つデッキである。ここでは基本となる《ロータス》1枚初動の動きを見てみる。
後攻で手数になり難い等の理由で不採用になることも多いが、《破械唱導》等の【破械】魔法罠を採用していれば⑩で設置すれば妨害数が1増える。
そしてこの展開が【デモンスミス】の登場で更にデッキパワーを増したのが以下の展開である。
この展開が【ユベル】の基本となり、初手の噛み合わせ次第でルートを分岐したり盤面を肉付けしたり各種妨害をケアしたりして動くことになる。
⑱で《ディエスイレ》を融合せず《シーザー》をエクシーズ召喚するプランも存在する。このプランを採用する場合《G》を受ける手段として《G》にチェーンして《シャバラ》を特殊召喚して《シーザー》を立てる場面もある。
上記の展開は《スローン》が初手にある場合、《ロータス》をサーチして《スローン》②効果でユベルモンスターを供給できるため《ヴァルドラス》の着地が狙える。
詳細を見ていこう。
上記展開はあくまで《スローン》しか初動が無い場合の動きである。6.6.項で触れるが実戦では《スローン》が初手にある時は《ファントムオブユベル》着地のために《スローン》を使うことになるため、上記展開は《スローン》と《ロータス》を重ねて引いた場合に行うことになる。
実戦で使用頻度が高いのは《招来神》や《解門》の展開だろう。この初動も《ロータス》に繋げて上記基本展開のルートに入る。
まずはシーズン前期に流行した動きから。
上記の様に《サモンソーサレス》が【幻魔】のギミックと【ユベル】のギミックの橋渡しとなっている。
しかしながらこの展開では相手の場に特殊召喚した《シャバラ》を処理できず、シーズン中期からは【デモンスミス】と登場でこの橋渡しの役割が《ベアトリーチェ》にシフトした。
再度《解門》1枚からの展開を見てみよう。
このルートは《ファントムオブユベル》と《スクワーマー》で《アンヘル》を出すことで《ヴァルドラス》のルートにすることが可能だが、長くなるので詳細は参考資料を参照して欲しい。
…と言いたいところだが、【ユベル】の実戦レベルの資料は本記事公開時点でほとんど存在しない。詳細は6.8.項の<おまけ>で記載しているので一読して欲しい。
6.3.【ユベル】の構築
メインギミックでサーチ等の先になるカードが多く、他デッキに比べるとピンでの採用が多いのが特徴である。《ユベル》等は引き込みたくないカードであるものの《ファントムオブユベル》の素材になるため、素引きでサーチ対象不在になることはあれど腐るカードはギミック内にほとんど無いのも魅力である。
前述の通り《破械唱導》の様な【破械】カードを増やせば妨害数を増やせる。が、そもそも先攻展開で《ヤマ》まで通る場面は最終盤面に複数妨害が成立しているため、事故率を減らすために不採用になる構築が散見される。この【破械】のギミックをより全面に活かす【破械ユベル】という戦術も存在するが本記事では割愛する。
また《ロータス》からの《スピリットオブユベル》を狙う動きに《G》を打たれる場面、《エターナルフェイバリット》と《エーヴィヒリーベ》を採用していれば最低限のドローで妨害を構えてターンを返せるので、好んで採用するプレイヤーも少なくない。が、《破械唱導》と同様事故率を減らすために不採用になったり、EXデッキの都合で不採用になるケースも多い。
EXデッキのには構築例の他にも《サモンソーサレス》や《アンヘル》がよく採用される。《アルミラージ》については《ヴェーラー》《泡影》の受けに使われる。
これで《ロータス》から《スピリットオブユベル》を特殊召喚すれば展開が進むが、最初に《招来神》に《ヴェーラー》《泡影》を打たれた場合動きが止まってしまう。そこで《アルミラージ》があれば以下の様に展開を継続出来る。
このとき《招来神》を蘇生すれば《ロータス》の通常召喚が可能であり、手札の切り方でリンク数を1つ伸ばす選択肢をとれる。
手札が捨てたくないギミックの《シャバラ》や手札誘発の場合は《ロータス》を捨てて展開すれば《ヴェーラー》されても損失は無く、手札を捨ててもいいなら《アルミラージ》と《招来神》で《サロスナンナ》を経由して【デモンスミス】のギミックを展開することも出来る。
それ以外でよく話題になるのは《召喚神》と《カオスコア》である。《招来神》が初動の動きは「《招来神》→《解門》→《招来神》」の動きが出来るものの、《招来神》が自身をサーチ不可であるため《解門》初動のときは「《解門》→《招来》→《》」のサーチ先がどうしても必要となる。そこで採用されるのが《召喚神》か《カオスコア》である。
この枠は誤差レベルの構築差ではあるが《リンクリボー》や《ナイチンゲール》を警戒してレベル1の《召喚神》ではなくレベル3の《カオスコア》を採用するという思考で、その場合【粛声】が《ダルク》を採用している場合等に《ローガーディアン》から《カオスコア》を釣られて《アンヘル》が成立する等の裏目も存在するが、202404環境では両者の構築差はそこまで影響しなかった印象である。
6.4.【ユベル】のゲーム構成
6.4.1.メイン戦の先攻
まず初手で確認すべきは《ファントムオブユベル》の着地が可能かどうか、そして着地後に初動は残るかどうかである。
このカードを一番最初に特殊召喚出来るかどうかで【ユベル】の手札誘発の受けは大きく変わる。加えて《ファントムオブユベル》を立てたとしても《泡影》には常に警戒して展開を進めること。また《ファントムオブユベル》は破壊出来るユベルモンスターが存在しない場合は②効果を発動出来ない。《スピリットオブユベル》を雑に扱って、ユベルモンスターを全て墓地に送らない様に注意の上で展開すること。
初動の優先順位は各種手札誘発の受けを考えて判断する。《ロータス》から入れば《ナイトメアペイン》で《スクワーマー》のサーチまで《ドロバ》を貰わないため、《デモンスミス》等よりも優先順位は高い印象である。《解門》発動時のサーチ効果は強制なので《ドロバ》の適応下では《解門》を魔法罠ゾーンに設置することすら出来なくなる点には注意。
6.4.2.メイン戦の後攻
後攻のゲームはユベルモンスターを横並びして《ナイトメアペイン》からのワンキルを狙う。《ロータス》1枚あれば8回の特殊召喚で、《スローン》なら4回の特殊召喚でユベルモンスターを3枚並べることが出来る。相手の場に2700以上のステータスのモンスターが存在する場合は積極的に狙いたい。
《墓穴》《泡影》といったカードを致命的に受けるデッキであるため、先攻サイチェンで相手が伏せた魔法罠には非常に警戒が必要である。【デモンスミス】のギミックで上手くそれらを退かしたい。直接攻撃しない関係で《リトルナイト》の①効果も制約を気にせず積極的に発動できる。
6.4.3.サイド戦の先攻
手札誘発の受けがある程度いいので、サイドゲームでは相手がサイドインするであろう捲り札を主に警戒する。
《ナイトメアペイン》を除外されるのは1つの負け筋である。《ヴァルドラス》や《ディエスイレ》といったカードを積極的に狙って《ナイトメアペイン》さえ守れれば継戦能力はある程度維持できる。《心変わり》や《拮抗》等、破壊を介さない盤面の除去手段は限られているので、相手がどんな手段で破壊耐性を超えようとしているのか予想して、それらのカードを重く貰わない様に立ち回ることを強く意識する。
6.4.4.サイド戦の後攻
サイド戦もメイン戦同様に《ナイトメアペイン》からのワンキルが勝ち筋となる。その性質上強力な捲り札をサイドインする必要性は薄く、各種手札誘発をサイドインして相手の妨害数を極力減らし、モンスターを相手の場に棒立ちさせることを強く意識する。
上述の通り《墓穴》《泡影》といったカードを致命的に受けるデッキであるため、たとえ相手が先攻サイチェンをしていたとしても《墓穴》だけでなく《泡影》への警戒は緩めない。【デモンスミス】のギミックで《リトルナイト》等へ繋げて魔法罠を割り、《ナイトメアペイン》下で相手の場のモンスターに自爆特攻を仕掛ける。
6.5.【ユベル】の裁定
●《ユベル》の③効果は強制効果であるが、エンドフェイズ中に任意のタイミングで発動できる。
●効果を受けないモンスターを③の効果のリリース対象に選ぶことが出来る。その場合選んだモンスターはリリースできないが、そこで効果処理を完了できる。
●破壊する処理と手札に加える処理は同時に行われるが、破壊に成功した場合のみサーチを行える。破壊できなければサーチもできない。
●モンスターの攻撃を誘導する効果のテキストには優先順があり、「しかできない>しなければならない>選択できない」の順で優先される。詳細は公式のQ&Aを参照のこと(《磁力の指輪》《立ちはだかる強敵》《切り込み隊長》)
●ダメージ計算に関する複数の効果が適用されている状況では、以下の順に効果を考慮してダメージを決定する。
例えば《パイドラ》の「モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる」と《ナイトメアペイン》等の「モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける」が重複した場合、結果的にお互いに戦闘ダメージは受けない。
●《スローン》のテキストに記載されている『「ユベル」モンスター』とは「ユベル」と名のついたモンスター全体を指しており「ユベル」のカード名を指定した記載ではない。そのため《スピリットオブユベル》や《ナイトメアペイン》で手札に加えたりセットしたりすることは出来ない。
●《解門》の①効果は強制効果である。処理を適用できない状況では《解門》をそもそも発動することが出来ない。
6.6.【ユベル】の留意点
6.4.1.項で記載したが、とにかく可能ならメインフェイズ開始時に《ファントムオブユベル》を着地させて妨害・手札誘発耐性を付与した状態でゲームを進行する。
《スローン》は発動時の①効果で《スピリットオブユベル》を破壊することで《ユベル》の特殊召喚から1枚で《ファントムオブユベル》が成立する。そのため初動になるだけでなく1妨害を踏む動きが可能で、積極的にこの動きで《ファントムオブユベル》を狙ってから《スローン》以外の初動を確実に通しに行くのが【ユベル】の基本思考となる。
もし《ファントムオブユベル》が居る状態で相手がモンスター効果・手札誘発を発動してきた場合は、複数の妨害・手札誘発が存在していることを意味している。そのため相手は《ファントムオブユベル》を使わせに来ている可能性があり、相手が手札に残している手札誘発こそが本命であると思われる。つまり打たれて問題ないかどうかを見極めた上で、スルーした時のリターンが大きいということでもあるので、1回目はスルーするくらいの気持ちでいたい。
【ユベル】はライフカットの性能はあるが打点の無いデッキである。そのため《ナイトメアペイン》を守れなければ勝ち筋を失う場面も存在する。これを守る意識は強く持つべきであり、破壊されたとしても《解門》の③効果で墓地の永続魔法を回収できる点は必ず知っておきたい。
6.7.【ユベル】の弱点と対策
【ユベル】は昨今流行のリソースゲームではなく、強固な妨害盤面と戦闘・破壊耐性を有するモンスター軍で戦うデッキである。そのため初動を止めることよりもピンポイントで強力な効果のカードを止めに行く方が有効な場面が多い。
【ユベル】の天敵は《泡影》等のモンスター効果を無効にするカードである。《ユベル》を構える動作は非常に硬い防御であるものの《泡影》でモンスター効果を無効にされると途端に攻守0のモンスターの棒立ちである。そのため《泡影》等は手札誘発としてではなく自ターンに《ユベル》等の効果を無効にするためにガメる選択肢も【ユベル】対面では有効である。《ヴェーラー》については《ナイトメアペイン》のリクルートとなる《スピリットオブユベル》や《ロータス》に繋がる《ベアトリーチェ》等に打つのが有効な印象である。
加えて《泡影》は《ファントムオブユベル》下でも使用できる数少ない手札誘発でもある。《スピリットオブユベル》の②効果を止めれば《ナイトメアペイン》が成立せず攻め手を無くすことになるし、《ファントムオブユベル》はデッキにユベルモンスターが存在しなければ無力であるため、《スピリットオブユベル》2枚と第一形態・第二形態の合計4枚が墓地に存在しないか、しっかりとチェックすること。
かつては《ユベル》の進化形態を除外すればギミックは壊滅したが、昨今は《スローン》が除外から帰還する効果を持っているため除外ギミックには強い。ギミックに穴を空けて動きを止めるなら、【ユベル】が盤面に触る手段が限られているギミックであるため《ダルク》で《ユベル》を釣り上げるだけでターンスキップになる場面も存在する。【ユベル】側は相手の盤面の《ユベル》を返してもらう手段が《ラギア》の①効果と《デモンスミス》の②効果しか存在しない。覚えておくと偶に使える。
そして《ナイトメアペイン》は【ユベル】ギミック内の唯一の勝ち筋であり、これを除外されることが【ユベル】の大きな負け筋である。そのためギミック外の【デモンスミス】等でこれを補填しているが、《コズサイ》や《拮抗》のあとの《リトルナイト》等で《ナイトメアペイン》を退かす動きが出来ると負け筋が一気に減るので積極的に狙う。
6.8.【ユベル】の参考資料
〈初めて使う場合等に分かり易い資料〉
〈大会等を意識したとき参考になる資料〉
〈おまけ〉
興味があればbilibiliで「尤貝爾」や「刻魔尤貝爾」で検索すると色々出てくるのだが、秘匿ということで。
7.【天盃龍】
※大部分が前記事と重複するので注意
7.1.【天盃龍】の特徴と強み
参考資料の言葉を借りると【天盃龍】は「大量の手札誘発と盤面干渉カードで相手の動きを止めて1枚初動でワンキルを狙う後攻がとても強いテーマ」である。
【天盃龍】の最大の特徴はそのキル性能である。全てのモンスターが追加の特殊召喚効果を有するため連鎖的なモンスターの供給を実現しており、これを利用して下級モンスター1枚から当然の様に8000ポイントのライフカットが可能。
更に《燦幻荘》《トランセンド》の存在から妨害も寄せ付けない。この2枚は「効果を受けない」「発動できない」という最高レベルの耐性を付与出来る。
《燦幻荘》でメインフェイズの安全を担保しながら《トランセンド》を出し、バトルフェイズの安全も担保した上で確実にライフカットを行う実践性能を持ち、総じて環境随一はおろか遊戯王OCG全体でも類を見ない圧倒的なキル性能こそが【天盃龍】の特徴である。
7.2.【天盃龍】の動き
【天盃龍】は基本的には先攻で展開してゲームを制圧することはせず、後攻で相手の妨害をすり抜けてワンキルを目指すデッキである。
基本は《パイドラ》《チュンドラ》からのワンキルの動作なのだが、過去記事や参考資料で幾度も記載されているので本記事では割愛し、前シーズンから変化した点である《ドラ・ドラ》1枚からの展開について触れる。
初動の少なさを解消しただけでなく、メインフェイズに効果耐性を付与する《燦幻荘》とバトルフェイズに発動不可を強要する《トランセンド》の2枚を1枚初動で揃えることが出来るのが《ドラ・ドラ》である。
実戦では相手の妨害・見えていないカードの踏み方を強く意識して展開することになるが、《ドラ・ドラ》及び《幻禄》の登場で《燦幻荘》と《トランセンド》の並びが非常に容易となり、ただでさえ高かった妨害耐性がより狙い易くなったと言える。上記の展開の後、そのまま《燦幻荘》で《チュンドラ》をサーチ出来ればゲームエンドまで一直線である。
《ドラ・ドラ》と同じくINFOで登場した《幻禄》は【スネークアイ】の《ポプルス》の様にサーチから簡単に特殊召喚できる点に注目されがちだが、このカード1枚が場にいるだけでも1つの壁として機能する。詳細は7.4.1.項で記載する。
話を戻して、《燦幻荘》と《トランセンド》の組み合わせは非常に重要な勝ち筋の1つである。この勝ち筋を狙える手札の例として《燦幻荘》と《パイドラ》についても少し見てみる。
あとはバトルフェイズに《開門》で《チュンドラ》か《ファドラ》をサーチしてそのまま特殊召喚すればワンキルが可能である。
…なにか違和感は感じないだろうか?
この展開、本来は手札を1枚捨てる必要は無いのである。では何故手札を捨てたのか、詳しく見てみる。
召喚権を使っていないので《幻禄》を介さずに直接《ファドラ》にしてもいい。この展開は先ほどと違って手札コストが要らないため得している様に見えるのだが、最初の《燦幻荘》に対して《うらら》をガメられた場合は《幻禄》の②効果に《うらら》を重く貰うため大惨事となる。つまり前者の展開は手札を1枚余分に使った代わりに《うらら》をケアした展開になっていたのである。
【天盃龍】は極端なゲーム速度等が理由で一部のプレイヤーに「プレイングがあまり絡まない」と誤解されがちだが、実際は同じ手札でも細かなプレイの使い分けによって多くの分岐が存在する繊細なデッキである。使いこなすには慎重で確実なプレイングを意識したい。
7.3.【天盃龍】の構築
【天盃龍】の特徴は豊富な手札誘発及び捲り札の採用枚数である。前シーズンは手札誘発だけで20枚前後のスロットを埋めていたが、今シーズンは《ドラ・ドラ》の登場による初動のかさ増しや【ユベル】等の分布の影響で《羽根帚》等のメイン採用もあり、手札誘発は14~18枚の印象である。手数となるカードがある程度決まっており、パワーを上げる為に《強貪》を採用して《ファドラ》の枚数を増やす等の構築も散見される。
《マグナムート》は妨害になるだけでなく、前シーズンでは攻め手となるドラゴン族モンスター(《パイドラ》や《チュンドラ》)のサーチに使用された。今シーズンは《幻禄》をサーチしてそのまま特殊召喚する動きが非常に強力であり、《パイドラ》からの《燦幻荘》の供給やレベル10のシンクロ、特に自ターンのメインフェイズ開始時にシンクロ召喚から動作するため《バロネス》の採用も散見されるほど、【天盃龍】では非常に強力に使えるカードである。
《プルリア》は対戦相手の展開にブレーキをかける性質から、捲り・キルの性質が高い【天盃龍】との相性が良い手札誘発である。相手が展開を進めてくれるのなら各種手札誘発や捲り札の引き込みに向かえるため、キルのイメージを固めることが出来る。
そして構築で最もプレイヤーや地域の差が生まれるのはEXデッキである。《天球》は先攻を渡された時の急場凌ぎの他、キルを取れなかった際の展開後の蓋として必須レベルの採用率である。また上記の構築例では《ブレイクソード》からの《アーゼウス》であったり《ストライカー》を経由した《リトルナイト》等の盤面に触れるギミックを採用しているが、他にも《次元障壁》を超えてキルを取れる《レイジング》《ジーランティス》《ドリトルキメラ》の採用や、《バグースカ》を超えるための《咎姫》であったり、自爆特攻から《幻禄》をサーチして【天盃龍】の展開を狙える《ヒータ》等、様々なモンスターが採用されることがあるため調べてみると多くの知見が得られる。
サイドデッキには相性の有無で入れ替えるための手札誘発が多く投入される印象だが、先攻で非常に強力な拘束力となる《カイコロ》《割拠》やミラー等で有効な《障壁》、その《障壁》を止めることが出来る数少ないカードである《リブート》等も多くの構築に採用されている印象である。
7.4.【天盃龍】のゲーム構成
【天盃龍】は他デッキと異なり、じゃんけんに勝って先攻後攻の選択権がある場合、後攻を選択する。
7.4.1.メイン戦の先攻
後攻デッキであるためメイン戦で先攻になる機会は相手に先攻を押し付けられた場面である。デッキがバレていないのであれば十中八九ミラーであると予想される。そのため目指す盤面は【天盃龍】に対しある程度有効なものになる。
先攻で《トランセンド》を立てるのも非常に有効だが、《一滴》《泡影》に対して弱い部分は否定できない。ここでは《トランセンド》に向かわなかった場合の《ドラ・ドラ》1枚からの展開例を見てみる。
《天球》の妨害に加えて《幻禄》が着地した。この《天球》や《幻禄》から《チュンドラ》や《ファドラ》をリクルートすることで相手のターンに下級天盃龍を盤面に並べることが可能で、上手く動ければ相手のバトルフェイズ中にシンクロ召喚の連鎖も狙える。《トランセンド》が着地できれば【天盃龍】からのワンキルは高確率で防ぐことが出来るし、シンクロ召喚するモンスター次第では妨害の上返しのターンのキルの動きまで狙える。
7.4.2.メイン戦の後攻
相手の先攻展開を手札誘発で弱化して、返ってきたターンに《うらら》や《うさぎ》の他、盤面の妨害を越えながら各種【天盃龍】カードでワンキルを狙いに行く。デッキの性質上、1本目は確実な勝ちが欲しい。
7.4.3.サイド戦の先攻
サイドゲームの先攻後攻の選択権を相手が持っている場合、相手がどちらを選択するか悩ましい所である。前シーズンではメタがそこまで決まりきっておらず《障壁》等で対策する対面が多かったため後攻サイチェンすればある程度対応できた。が、【天盃龍】が十分に認知された状態から始まった今シーズンは先攻サイチェンの選択もあり得る。
デッキタイプだけでなく対戦するプレイヤーの考えにも依るところになるため、サイチェンの方針に正解を出すのは難しい。重要なのは対面したデッキにおいて意識すべきことやデッキの性質を勉強・経験の上考慮し、予めそのデッキと当たって先攻後攻の選択権が相手にあるとき、先攻サイチェンするか後攻サイチェンするかを決めておくことである。
7.4.4.サイド戦の後攻
相手のメインギミックというより、サイドカードをしっかりと意識したサイドチェンジを行いたい。《障壁》だけでなく《神宣》や《魔封じ》といったカードの採用も十分考えられるため、《コズサイ》が刺さらないギミックの対面でもサイドインする意味は大きく、予めどういったカードを入れるか決めておくべき。特に【天盃龍】はメインデッキに後攻札が既に何枚も投入されているため、感覚的なサイドアウトをするとサイチェン後に事故が起こり易い。たとえ後攻札であってもキルプランに関わらなそうなら抜くという意識を強く持ち、デッキビルドの時点でサイドチェンジのイメージに目星をつけておくことが望ましい。
7.5.【天盃龍】の裁定
知っておきたい裁定について、
●下級天盃龍モンスターの③効果が適応されたシンクロ召喚は《古聖戴》の②効果等で無効に出来る。ただし下級天盃龍モンスターの③効果がチェーン2以降で発動したのであれば、そのシンクロ召喚の際に《古聖戴》の②の効果はタイミングを逃すため、発動する事はできない。そのため【天盃龍】を使うプレイヤーは下級天盃龍モンスター2枚(ここではAとBとする)でシンクロ召喚を狙う際に相手の場に《古聖戴》が存在している等の場合は、天盃龍Aの③効果の発動にチェーンして天盃龍Bの③効果を発動する等のチェーンブロックの組み方をすることがある。
●ダメージ計算に関する複数の効果が適用されている状況では、以下の順に効果を考慮してダメージを決定する。
例えば《パイドラ》の「モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる」と《ナイトメアペイン》等の「モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける」が重複した場合、結果的にお互いに戦闘ダメージは受けない。
●《燦幻荘》の①効果は魔法カードの効果を受けないモンスターには適用されない。そのため、魔法カードの効果を受けない効果を有する自分フィールドのドラゴン族・炎属性モンスターは、相手の発動したモンスター効果や罠カードの効果を受ける。
●《燦幻荘》の①効果は効果の処理時に場を離れたモンスターには適応されない。そのためドラゴン族・炎属性モンスターがフィールドで効果を発動した際に、それにチェーンして《一滴》等で該当のモンスターが場を離れてしまうと《墓穴》等で効果を無効にされるリスクがある。今シーズンは《幻禄》が登場したが、フィールドで《幻禄》が②効果を発動して自身をリリースした場合、《燦幻荘》適応下でも《うらら》等で無効になるため注意。
●《燦幻荘》が場にあるとき自分フィールドのドラゴン族・炎属性モンスターと《燦幻荘》が同時に破壊等の効果処理を受ける場合、《燦幻荘》は処理されるが自分フィールドのドラゴン族・炎属性モンスターは効果を受けない。
●このカードを発動した発動時には●のどちらを使うか宣言する必要はない。処理時に●を1つ選択しその●の処理を行う。
●バトルフェイズに発動して両方の●の処理を行う場合、より上に記載された●から順に処理を行う。そのため手札からドラゴン族・炎属性モンスター1体を特殊召喚したあとにデッキからレベル4以下のドラゴン族・炎属性モンスター1体を手札に加えることは出来ない。
●《トラドラ》の①効果で複数の攻撃権を得た《トラドラ》は「続けて攻撃」という記載がされていないため、《トラドラ》で攻撃したあとに別のモンスターで攻撃し、そのあとで《トラドラ》で攻撃することも可能。
●《トラドラ》の①効果の対象として選択した2枚のカードのうち1枚がフィールド上に存在しなくなった場合、フィールド上に存在する残りの1枚は破壊され《トラドラ》は通常の攻撃に加え1回だけ攻撃を行う事ができる。
●《トラドラ》の①効果は複数回攻撃宣言出来る権利をプレイヤーが得る効果である。よって
複数回攻撃できる状態になった後に該当のモンスターが《ヴェーラー》等で効果。無効化された場合でも、複数回攻撃することが出来る。
7.6.【天盃龍】の留意点
基本的なことを箇条書きすると、
●《パイドラ》等を召喚する前に《燦幻荘》を場に表側で置いておけば《パイドラ》が《ヴェーラー》等で効果を無効化されない。
●《チュンドラ》の①効果はダメージステップに発動するので《うらら》で無効化されない。
●《ファドラ》の①効果はダメージステップでも発動出来るので、極力ダメージステップに発動すれば《クロウ》等で対象のモンスターが除外される心配は無い。
●《パイドラ》の①効果で《燦幻荘》をサーチするときは手札に加えるのではなく場にセットすれば《ドロバ》を回避出来る。
…等が挙げられるが、参考資料にほとんど網羅されているのでここで記載出来ることは少ない。下記の参考資料を必読。
7.7.【天盃龍】の弱点と対策
【天盃龍】は良くも悪くも『後攻デッキ』である。そのためメイン戦の先取に依存したゲームプランであることが否めず、十分対策された環境でのサイドゲームは苦しい展開となる。なので対面が【天盃龍】だと分かっているメイン戦は確実に取りに行きたい。じゃんけんで勝って後攻を選択し、1ドローの上で有利なアドバンテージを活かしたまま、各種手札誘発とキルを警戒しながらゲームする。
メイン戦でじゃんけんに勝って先攻を選択した場合は、対面が【天盃龍】だと分からないままゲームすることになる。相手の抱えている手札誘発の豊富さに違和感を覚えて【天盃龍】だとアタリを付けたら《マスカレーナ》からの《リトルナイト》で《燦幻荘》をいつでも退かせる状態を作ったり【スネークアイ】なら《ナイチンゲール》や《キキナガシ》等を盤面に出す選択をすることになる。《アポロウーサ》でバトルフェイズのシンクロ召喚を止めに行くなら素材は4つが望ましい。【天盃龍】はこれの対策に《ティフォン》等をEXデッキに投入することになる。
《燦幻荘》を発動されたら、自分の抱える妨害手段次第ではノータイムで退かしに行きたいカードである。上述したが《G》や《ヴェーラー》等の多くの対面に有効な手札誘発も【天盃龍】には《燦幻荘》や《トランセンド》の存在から腐る場面が多い。《うらら》と《うさぎ》なら有効に使える場面は多いが貫通手段も多く、より確実な勝利を狙うなら《クロウ》等のカードの採用も視野となる。が、手札誘発で対応する場合に重要なのは発動のタイミングであり《燦幻荘》の発動前に《パイドラ》が出てきたら《燦幻荘》は手元に無いと考えて《うらら》を打ったり、通常は下級天盃龍モンスターの③効果で対象不在にされるため仕事をしない《泡影》も《古聖戴》等で下級天盃龍モンスターの③効果を誘えれば強く発動出来る可能性がある。
「《燦幻荘》されるから《ヴェーラー》は要らない」ではなく「《燦幻荘》を退かせるカードと併せて使いたいカードは《ヴェーラー》」の様な発想でサイドチェンジするのも1つの手である。
サイドゲームから相手が後攻を選択してくれるのは、対戦する側から見ると【天盃龍】の大きな弱点である。《障壁》等のカードで相手のキルのハードルを一気に上げてターンを凌げばかなり有利なゲームを作れる可能性があるし、先攻を選択する場合であってもどうせ仕事をしない《G》や《ニビル》は後攻用のサイドカードである《コズサイ》や《一滴》にしておけば、先攻1ターン目で伏せて《燦幻荘》の除外や下級天盃モンスターをバトルフェイズに効果無効にしたりと、相手の意識外からゲームを決定付ける打撃を与えられる可能性がある。相手の《羽根帚》等のサイドインを考えても、頭の片隅に入れておいて損はない。
7.8.【天盃龍】の参考資料
〈初めて使う場合等に分かり易い資料〉
〈大会等を意識したとき参考になる資料〉
8.結言
書く時間が無さ過ぎて半分以上が前記事のコピペである、申し訳ない。おれも遊戯したい。
既に新制限が適応されて大会もいくつか開催されているが、本記事が新環境での大会に悩む諸兄の手助けになれば幸いである。
はい。
以上。
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