「うるし」の話をしよう!
はじめまして。
ここでは、「うるし」という素材についてのお話をしていきたいと思います。
ものづくりの職人でも、作品展に出品するような工芸作家でもない、ただの漆好きのうるし話にお付き合いください。
今回は、筆者の経歴についてお話します。
大学卒業後に工芸の専門学校へ行き、そこで「うるし」と出会います。
その後すぐには漆工芸への道には進まず、木工塗料やコーティング材料の研究開発の仕事に就きました。
その過程で、「うるし」を塗料や樹脂の視点から見つめ直して、改めて「うるし」への理解を深めたいと思うようになりました。
仕事をしながらも、漆の材料技術に関する学会や勉強会に参加したり、化学・塗料・接着剤などの学会誌や論文などの文献を集めたりして、「うるし」についての情報を更新して、伝統工芸技法として教わった漆に関する知識を自分の中で塗料や樹脂の視点から再構築して考えられるようになってきました。
そんなわけで、改めて漆器制作をはじめてみたり、さらに産業技術研究所の漆の研修を受けるなどして、再び漆の世界に戻ってきました。
さて、漆の世界(といっても、定義や縛りがあるわけではありませんが)のなかでも、筆者の立ち位置はかなり特殊でとても中途半端なものです。
漆塗りはしますし、木工旋盤で木地制作もします。漆教室をしたり、塗料業界の経験を活かして漆用の材料を販売したりもしています。
ですが、本当に精密な仕事をこなす職人でもなければ、表現活動をする作家でもありません。また、漆の素材や考古学を専門的に研究する学者でもありません。一応、塗料・コーティングの研究開発をしていましたが、化学の専門家というわけでもありません。
なので、ここでは「ただの漆好き」とさせてください。
ただの漆好きが、うるしの話をするだけのアカウントです。