よくあるお問い合わせ「○万円で作れますか?」#1
クワズイモの霧吹き係を担当している「K組のひと」です、おはようございます。
さて。まさに昨夜の例なのですが、某有名な100万円以上する家具の写真を添えて標題のようなお問い合わせをいただきました。
「この写真の家具、5万円で作れますか?」と。
ここまで極端なのは初めてでさすがの私も軽くイラっとしましたが、せっかくなので軽く因数分解してみます。
プラットフォームで客層は変わる
ヤフオク、メルカリをはじめとするC2Cポータルからクリーマ、ミンネのようなハンドメイドサイトまで、手作り品の販売プラットフォームは盛りだくさんです。ただ実際に日々使っていると客層の違いが如実に見えてきます。
私たちK組の主戦場はクリーマ、ミンネなのですが、それは比較的「手作り品」の特徴を評価してくれる客層だからです。
であっても、、、冒頭のようなお問い合わせが来るわけです。
多くのお客様は家具の値段を知らない
かくいう私自身、3年前に電ドリ手にするまで何も知りませんでした。
50万円と5万円の差が見えない。でも5千円のホームセンターにある組立家具ならわかるというレベル。
家具の値段を決めるもの
ここで私の主観的にですが家具の値段を決める要素を挙げてみます。
1. 供給量
大量生産か否か。素人でも手作り品は高くなるというイメージは持っています。IKEAが安いのは加えて大量輸送/大量在庫のための極めて合理的な組み立て式の設計にあると思います。
2. 手間/工法
この道30年とかの熟練職人が一流の道具を使って手塩にかけ釘を一本も使わず気が遠くなるような手間をかけた組木の家具とかそういうの。
そんだけのモノなのに、悲しいことに完成品をパッと見するだけでは気が付かなかったりします。
つまりこういう家具は生活道具としての利便性とは別の、工芸品というかアートとも呼べる域の作品になっています。
これを正しく理解し欲しいと感じ、実際に買ってくれる人が残念ながらそう多くはありません。
3. 素材
木工品なら例えば樹種。ざっくりいうとウォールナットのような広葉樹は硬く家具向きでさらに希少なので高い。一方で杉やツーバイ素材のSPFは針葉樹で柔らかくホームセンターで買えるほど流通量が多く安い。
というようなことを知ってる人もそんなに多くはありません。
だからSPFにウォールナット色のステインを塗っただけのものを素材明記せず「ウォールナット」として売られてることすらあります。さすがにこれは詐欺的だと思いますが、そもそも作者が意識していない可能性すらある。
4. ブランド/ストーリー
コルビュジェのような有名な建築家の作品や北欧照明のようなデザイナーズブランド。そして例えばアルフレックスのような主にヨーロッパ発のブランド。
時計のローレックスや革製品のエルメスのように家具ブランドにも歴史やストーリーがありそれが評価されています。
そこまで高級なものでなくともデザインやコンセプトに物語を持つことはブランディング効果として価格に反映されるでしょう。
他にもあると思いますが主にこれらの四つが家具の価格を決める要素で、知れば「なるほど」とは思います。
自分にとって必要かどうかは別としてね。
需給バランスのアンマッチがありそう
ここからが本題です。
これら「家具の値段を決めるもの」と、実際に「お客様が求めているもの」には体感的にかなりの差があると思います。だって自分自身がそうでしたもん。
だからK組としてはその隙間にうまく入り込みたい。
青い海はどこにあるのか
というわけでこれまでの話をもう一度なぞって泳ぐ場所を見つけたいと思います。
ただ作りたいものを作るのは良いですが、売りたいものを考えるなら以下の考察はとても重要だと思います。
1. 供給量:あるものは作らず無いものを作る
私たちK組は素人に毛が生えたレベルのDIY個人事業。
当然ながら今のところはひとつひとつ手作りです。
であるなら、「手作り」という部分を最大限効果的に活かしたい。
私たちと同じくらいの作家さんにはメルカリやヤフオクに出品してる方も多いですが、ウチはやってません。C2C的なポータルではミンネとクリーマに絞っています。
その理由はそこにいるお客様が「手作り品」を欲しがっているかどうかです。
もうひとつはモノと価格のどっちに焦点が当たっているかです。
システム的に自然とそうなるのでしょうが、お客様側からみると、、、
・ヤフオク:知ってるモノを1円でも安くゲット
・メルカリ:誰かの不用品を安くゲット
(私の主観ですが)こういったイメージ。
少量しか供給できない私たちは「希少性」や「手作り」といった部分にフォーカスを当てた売り方をするべきだと思います。
だからこそミンネやクリーマに限定しています。
そして実は多くの同業者があまり意識していない感じの重要なポイント。
既製品との差別化に集中する。
同じようなモノがすでにあるなら作らない。
IKEAやニトリにあるなら私が作る必要ないって感じで自ら作るものを「ふるい」にかけています。
特にデザインにおいて顕著で、極端に言えば、、、
ひとつ売れれば良い=たったひとりに刺さればいい。
究極の小ロット多品種戦略ですね。
続いて「2.手間/工法」ですが、息切れしてきましたので次回へ。
ちなみに、、、
ちなみに昨夜のお客様にはイラッとした勢いで「他の作家さんを当たってみてください」と返してしまいました。
その反省を込め謹んでこのシリーズを続けます(笑)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?