「BARカウンターの中から」地方新聞連載コラム
283号「どこを見てる」
久しぶりにホテルでの懇親会に招かれた。
相変わらず卓上にアクリル板が張り巡らされ、一人分ずつのお料理が運ばれてきて、瓶ビールが一人一本ずつ添えられており、(一応)黙食で!みたいな。
円卓で大皿から取り分けての会食スタイルはもう見ることはないのだろうか。
片や、繁盛店の居酒屋などは、普通に料理は複数名で取り分けているし、アクリル板は隅の方に押しやられ、ほとんどコロナ前の状態に戻っている。
カンパーイ♪もすれば、普通に向かい合ってお喋りもする、なんとかディスタンス? なんだっけそれ?みたいな常態。
それでいて店舗の感染症対策が一度でも第三者認証受けていれば、ほっかいどう認証店応援クーポンの利用が可能、感染者数がドカドカ増えたとしても、それで客を呼び込むことができる。
その一方、行政はいまだ「会食は短時間で、深酒しないように」と。要は飲み会はさっさと切り上げて下さいみたいな要請をいつまでも発し続けている。
2年半以上に及ぶお上からのご沙汰の累積と、現場の実態との乖離があるのに、それを是正するための仕組みがないことが問題。
現場や末端の意向・事情をくみ上げ、お上に物申す組合のような団体組織もない、あるいはあっても果たすべき機能が停止している状態。
政治家も行政も、国民の生活を直視した上で課題可決に奔走してほしいもの。
国民目線で、市民目線で、などの耳触りの良い演説に遭遇することはよくあるが、実際住民の希望や期待、訴える手法・表現のまずさもあるのかもしれないが、直視すべき方向が徐々にかけ離れていく。
受け止めましたという言葉を発するのは簡単。
そのあとどのように取り組んでいただけたのか、住民には問いかけるしつこさが必要だ。