アルコール依存症は身近な病気
某SNSにアカウント登録をしていて、たまーにこのブログ記事
更新のお知らせを公開している。そのSNS上でリンクしている相手は、
実際に一緒に練習をしたりレースに出たりしているランニング仲間が
多い。つまりオフラインでも付き合いがある人たちである。
自分のブログの更新記事にリンクを張るということは、
そのSNSでの私の「友達」には、遠回しにではあるが、
自分がアルコール依存症者であることをカミングアウト
しているということになる。
正直に言って、そういう記事に対する反応は薄い。
少なくとも、「フルマラソンで自己ベスト更新!」みたいな
明るい記事に比べれば薄い。
まあ、私が逆の立場だったら、どう反応して良いか分からず、
多少は迷ったりした後、結局スルーするだろうと思うので、
これは気にはならない。
要は、私という一人のアルコール依存症者が、酒を飲まずに
生きていて、それなりに働いたり、ランニングしたり、
笑ったり泣いたりして生きている、ということが、少しでも
多くの人に伝われば、それでいい。そう思っている。
ある調査によれば、日本の推定飲酒人口は約6000万人。
このうち、アルコール依存症の患者は推計約109万人。
そしてこの109万人の中で、アルコール依存症の専門的治療を
受けている患者数は約4万人。
これをザックリ計算すると、
日本の飲み屋街で飲んでる人をランダムに100人ピックアップ
すると、2人のアルコール依存症者が見つかる(ご本人の肯定/
否定は不問。専門医の診断で依存症か否かを判断)。
さらにそのうちアルコール依存症専門治療を受けている人は
0.0007人=アルコール依存症10000人のうち7人、ということ
になる。
専門医が客観的に「アルコール依存症」と診断する1万人のうち、
9993人は、自分の酒の問題から意識的に目をそらすか、あるいは
自力でお酒の問題を解決しようとしているか、そうでなければ、
後戻りできないところまで来てしまい、のたうち回りながら、
酒を手放せずにいるか、である。
コロナ禍で大規模な宴会が自粛させられている今年の年末に、
50人規模の忘年会を想定するのは難しいかもしれないが、
「50人に1人の割合でアルコール依存症者がいる」という現実を
想像してみて欲しい。
今、飲み屋のカウンターで飲んでいる人、角のテーブルに座った
まま動かなくなっている人、意外なくらい身近に、依存症者は
いるのだ。
だからもし、この記事を読むあなたが、お酒の問題で多少なり
とも悩んでいるなら、あなたが決して独りではない、ということを
まずは知って欲しい。
そして、あなたが強く望めば、「専門医療につながる」という
ハードルは、決して高くはないのだということも知って欲しい。
(地元の保健所には自助グループの情報があるし、ネットで
「アルコール依存症 専門病院」と検索すれば、お近くの病院
情報が手に入る。
私は、自分の病気について、
声高に自分が病気であることを喧伝したいわけではない。
今までどおり、ランニング仲間と、楽しく走っていければいい。
その楽しさの中に、「そういえばこの人はアル中なんだな」と
ランニング仲間が思う一時が自然にあればいい、と思う。
自分だけのことではなく、悩んでいる家族がいるとか、
色々なケースで、この情報が役に立てばいいと思う。
意外なくらい身近に、悩んでいる人はいるはずだから。