易スライド性
最後にお酒を飲んだのは、2012年9月28日。
それから今日まで、8年2ヵ月の間、
僕は一滴のアルコールも飲んでいない。
僕にアルコール依存症の診断が下ったのは、2004年10月。
そこから8年間、
断酒→再飲酒→病状悪化→次こそ断酒→再飲酒
→さらに病状悪化→今度こそ断酒→再飲酒→さらに病状悪化
という無限地獄のループから奇跡的に
プカリ…
と浮かび上がって今日に至っている。
僕の意志が強いから、ではない。
専門医療、自助グループ、周りのサポートに、偶然にも恵まれた、
に過ぎない。
また酒を飲みたい
という気持ちは、今のところない。
酒にまつわる記憶は、辛いものしか残っていない。
では、僕はもう、安心してよいのか?
というと、そう単純な話でもない。
「易スライド性」というのは僕の造語だが、
「依存の対象を容易にスライドさせ、依存そのものは
自らのなかに温存する性質」
が、自分の中にあって多分これは解除不能なのだと思う。
ギャンブルや薬物、買い物にネットにセックス etc.…
依存の対象は文字通り「自分の手の届く範囲」に
いくらでも転がっている。
それらに依存の対象をスライドさせれば、
外見上は「アルコール依存からの回復者」として
振る舞えなくもない。
しかし。
何かにとらわれて自由を失った状態であることからは、
1ミリも進んでいない。
そもそも僕は中学生の頃から摂食障害(食べ吐き)や
自傷癖(リストカットなどなど)があって、
それにプラスするカタチでアルコールに依存し、
最終的にはアルコールが他の依存対象よりも強力に
僕の脳を支配したことで、
摂食障害や自傷癖の出る幕がなくなった、
という履歴がある。
いやはや。
なかなかに大変である。