503 頑張れ‼斎藤元彦 兵庫県知事「県として消費者庁に聞いてみよう」
はじめに
今日の教育コラムでは、消費者庁が兵庫県の斎藤元彦知事の問題なども念頭に置いたうえで、公益通報者保護法の企業や官公庁側への罰則の新設なども含めた対策の強化を検討している件について少しお話してみたいと思います。
検討の中身
これまで兵庫県の問題では、公益通報者保護法が禁じている「通報者捜し」の疑いが指摘されてきました。先日の百条委員会では片山元副知事からの証言で、知事からの指示で「徹底的に調査してくれ」と言われ、誰が何の目的で告発したのかをそれこそ、脅迫してでも調べたことが明らかになりました。
音声データも聴きましたが明らかに人事権をチラつかせたこうした行為も含め犯人探しという法令違反を確認できたように思います。
実は、消費者庁は今回の検討に際して、法律の趣旨に沿った対応がとられない事例が相次いでいるという問題に直面しています。
そのため、消費者庁は来年の通常国会での法改正も視野に入れて今回の検討を進めているのです。
見直しが進むと
では、検討会で見直しが進んでいくとどのような法律になっていくのでしょうか。例えば、今回の兵庫県の例を挙げると現在の法律でも今回の告発は、外部通報者として扱われ、通報者探しや不利益な処分から守られるべきだったわけですが、より一層厳格になります。
例えば、知事が徹底的に調べろと副知事に命令した件だけ見ても、「行政措置や刑事罰」となります。
また、告発者である元県民局長は退職人事を取り消されています。さらに3カ月の停職という重い懲戒処分も受けています。こうした不利益扱いをしたことについても通報者をより守るために、処分を下した者に対して罰則を設けることになります。
更に、鹿児島県警の問題では、捜査情報を記者などに提供したわけですが、これも通報に必要であれば資料として集めたり持ち出しても法的には責任を問わないという対応になる可能性があります。
誰も何も言わない社会になる前に
兵庫県の問題は、権力者である斎藤元彦知事が、通報者である職員を最終的には、組織の力をフルに動員して命まで奪ってしまうという卑劣な事件だと言えます。こうした立場のある人間が、通報をつぶし社会的に抹消しようとする動きというものは、残念ながら多くの一般企業にもみられるのです。まさに体制の不備が指摘されている状態なのです。
通報者を保護するという意識を事業者や権力者は常に法令にのっとり徹底的に順守していくことが求められているのです。そのために罰則や規定を厳格化しようというのが今回の検討だとすれば、逆に社会における悪事を見過ごすことのない社会へと一歩近づくことになるのだと思います。
新井ゆたか先生に期待
新井ゆたか消費者庁長官は、長野県出身の方です。長野県の高校生などへ公演をされるなど地元への貢献も大切にされている方でもあります。東京大学法学部卒業、農林水産省、ハーバード大学国際問題研究所研究員、産業連携課長、山梨県副知事、食料産業局長、消費・安全局長、農林水産審議官などを経て消費者庁長官となられています。
また、教育者としても現在も、東京理科大学の上席特任教授も務められておられると記憶しています。新井先生は、今回の兵庫県の事件などを踏まえて、今後もこの法律の見直しにおいて、「実効性の向上というところが非常に重要なポイント」だとお話になられています。また、「公益通報を理由とする不利益取扱いの抑止・救済のための方策」についてもしっかりと言及されています。
さらに、公益通報者保護法の目的についても「公益通報者の保護と事業者による国民の生命・身体・財産等に関わる法令遵守を徹底していくということであります」と話されています。
兵庫県の斎藤知事の今回の通報者の探索や懲戒処分という不利益扱いについて個別にはコメントを控えられていますが、その上で「公益通報の趣旨が生かせるような社会になっていくことが必要だ」と話されています。
私は、趣旨が生かされていない現状を憂いている思いを公的な立場として個別具体な事案については立場上話せないという中ではありますが、そこに問題があれば法的に改善していくという強い思いをもたれているというメッセージだと受け止めました。
私は、一日でも早くこうした法的な問題を明確にし、斎藤元彦知事が冷静に自らの過ちを認められる日をお膳立てしてあげてほしいと思います。そのための第一歩として、兵庫県が自らの手で今回の告発が公益通報者保護法の趣旨に反していないかを確認するべきだと思うのです。