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254 日本の強み森林


はじめに

今日の教育コラムは、中学受験の中でも社会と理科の要素を活用して解決する複合問題や適性検査の問題について少しお話してみたいと思います。テーマは「森林」です。新しい税として森林環境税というものが導入されることもあり、租税教育の面でも環境教育の面でも関心が高まっているのが、森林というわけです。

日本と世界の比較

日本の森林率は、約7割となります。森林率とは、国土面積に占める森林の面積の割合を指します。
日本の国土の3分の2が森林という情報は基礎的な理解として頭に入れておきましょう。その上で、世界と比較するとこの数値がいかに高いものであるかが見えてきます。
まずは、日本よりも森林率が高い数少ない国を紹介します。それが「フインランド」と「スウェーデン」です。下のグラフは、世界的な調査を基にした思慮となります。全体像を把握するのに活用してください。
これを見るとやはり、日本は世界でもトップクラスの森林大国であるということが確認できます。

※FAOの資料(世界森林資源評価2010(FRA2010))より
※面積の算出根拠(湖沼面積の含有の有無等)が違うため、森林率(67%)とは多少差がある

現在様々な国からのインバウンドが期待されている日本ですが、諸外国の人々が日本の魅力を強く感じる項目に、実は自然の豊かさ・森林の美しさや豊富さがあります。世界の平均が約3割ということを考えるといかに森林は貴重なものであるかがわかると思います。
昔から資源に乏しい日本では、こうした森林を守り育てることは生活をする上でも、住居や道具を作る上でも大変に重要な営みだったわけです。だからこそ私たちは、森を大切にする心を時々の歴史の中で様々な儀礼や石碑などで表現しています。

日本国内の比較

次に日本国内の比較を見ていきます。
日本一の森林県は、森林面積が県土の84%という高知県です。山梨県も長野島根などに次いで大変高い森林率となっています。
日本一の森林率を誇る高知県は、大自然が広がります。大自然と言っても実は、人工林の割合が高く約7割は、スギやヒノキといった樹木から構成されています。天然林の面積は、約3割程度ですが、アコウやビロウといった亜熱帯性のものからシコクシラベやダケカンバといった亜寒帯性のものまで様々な樹種が標高差に応じて存在しています。
そして、こうした森林の恵みは日本最後の清流と言われる「四万十川」に注がれます。まさに森の恵みです。

※林野庁津系情報;都道府県別森林率・人工林率(平成24年3月31日現在)より

森林の大切さ

森林には様々な役割があることはみなさんもご存じの通りです。樹木の根が地中に広がり、土砂崩れを防止しますし、堆積した葉や枝はスポンジのようになり雨水を貯えたり、安全な速度で川に流したりします。
光合成によって二酸化炭素を吸収することは、地球温暖化を防ぐ働きもあるなど、森林の役割は大変多岐にわたります。

いびつな現状

そんな森林ですが、日本の林業の衰退は著しくその影響は様々な面で表れてきています。日本は国土面積の67%を森林が占める世界有数の森林大国でありながら供給されている木材の8割は外国からの輸入に頼っています。ものすごくいびつな状況にあります。
国産の木材は高いという間違った印象がありますが、世界は人口増加が進み木材の需要が高まっています。そのため、海外の木材資源は高騰しています。現在では日本の木材は世界と比較してもとても安価なものとなっています。海外製品の流通システムがすっかり定着した日本では、質が良く価格が低い国産の木材を用いる意識が低いままなのです。
こうしたことが原因で、林業以外に目立った産業のない山村地域では、林業の衰退とともに、地域の活力も低下し、林業離れによる後継者不足、林業就業者の高齢化、山村問題、限界集落と呼ばれる問題まで起こっています。

日本の良さを発揮するそんな社会にしていくためにも林業の重要性をもう少し私たち日本人はしっかり見つめていく必要があるのかもしれません。


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