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344 総合型選抜と公募推薦


はじめに

今日の教育コラムでは、大学入試の推薦についていくつか質問を頂きましたので、最近増えている総合型選抜と公募推薦について少しお話ししてみたいと思います。
基本的に今日のお話は、楽して手に入る合格はないというお話をしてみたいと考えていますので、推薦入試で合格を狙っている甘い考えを捨ててもらえたらと思います。

アメリカをはじめ

旧AO入試、総合選抜が日本では拡大しています。こうした総合型選抜を採用しているのは日本だけではなく、むしろ海外の方が先にこうした入試方法を採用していました。
総合型選抜とは簡単に説明すれば、エントリーシートなどの受験生からの提出書類のほか、面接や論文、プレゼンテーションなどを行い、共通テストのような学力試験ではなく、受験生の能力や適性を総合的に評価し、研究したいことや大学で学びたいことなどに対する意欲を評価する入試方式だと言えます。
総合型選抜というと教育格差が拡大するという話が出ますが、アメリカでは共通テストの結果と高校時代の経験などが総合的に判断されます。経験と言っても海外でのボランティア活動や留学経験などではなく、高校時代のバイト経験や地域の活動への参加、家族の介護経験などもしっかりと評価の対象になっています。
一方、日本では同じようなシステムですが、海外での経験やなかなか経験できないボランティア活動や募金活動などが評価されるような傾向が強い面があります。
ですから、総合型選抜と聞くと教育格差が広がっていくという意見が出やすいのかもしれません。

条件がそろえば公募推薦もおすすめ

総合型選抜では内申を問わない大学が多い一方で公募推薦、学校推薦では内申点を問うという点が大きな違いです。また、公募制推薦と指定校推薦の違いも把握しておきましょう。違いは出願条件にあります。公募制推薦は、大学側の出願基準を満たしていて、学校長からの推薦があれば、どの高校の生徒でも出願することができます。 指定校推薦となったら、大学側から指定を受けた高校の生徒しか出願することができません。
総合型選抜と公募推薦の違いの話に戻ると、内申点を気にせず第一志望を受けることができるのが総合型で、公募推薦では内申点が条件を満たしていなければ志望校を変えなければならない点を理解しておかなければいけません。現状の大学の公募推薦を見ていくと出願条件で3.5以上としている大学が多いです。理系の大学の場合では、「理系教科は4以上」などの条件を出していることもあります。
つまり、毎日の学校生活をコツコツと積み上げていき、自分のやりたいことを明確に持っている人であれば、学校の成績もしっかりしているのであれば、総合型選抜よりも公募推薦で大学受験した方が、それまでの頑張りをしっかりと加味して評価してもらえるわけです。
また、合格率も高くなる傾向にありますし、自分の学力にあったやりたいことがあるという重要な条件を満たすことも可能かもしれません。
情報を集めようと考えたら、各大学のHPに公募型推薦のページがありますのでそこを見ていくと詳しく手続きや合格者の方の体験談などが掲載されていたりします。参考までに東大の公募推薦のリンク先を紹介しておきます。

いずれにしても

公募推薦にしても総合型選抜にしても、一般入試のように複数の教科の学習をして試験を何度も受けることはありませんが、自分のやりたいことを深く理解し、大学で学びたいことを表面的な理解に留まらず、試験官との面接に耐えうるレベルで語れる必要があるわけです。
また、学校生活をはじめ多くの経験を積み重ねながら目指す大学にふさわしい人格と学力を身に付けていく必要があるわけです。高校1年生から受験をする3年生までの期間にそうした意識で学んでいくことは容易ではありません。総合型選抜で大学を目指す理由が一般入試の準備が嫌だからといった程度の理由だとすれば、大学受験はかなり難しい結果になるでしょう。
まずは、やりたいことを決められるのは自分だということ、そして、高校生として経験する価値のあることは何もお金のかかることばかりではないということ、そして、学校の成績は学校で準備している教材でも十分に高い水準で獲得できるということ、つまり、経済格差による教育の格差は、乗り越えられないものではないということだということを言っておきたいと思います。

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