513 はたらく斎藤
はじめに
3連休を前にして、9月19日の兵庫県議会では86対0という全会一致の賛成で斎藤元彦兵庫県知事への不信任決議案が可決されました。
知事は、この結果を重く受けとめしっかり判断していきたいという言葉を残しましたが決断を明らかにはしていません。
そんな斎藤知事ですが、本日までにいくつかの情報番組や報道番組に出演し重要なコメントを残されています。今日の教育コラムでは、斎藤知事の今後の行動について少しお話してみたいと思います。
出来るだけ早い段階で
斎藤知事が登庁しなかった9月20日の金曜日、知事はXの投稿で次のようにメッセージを発信しました。
不信任決議案が可決されたことを重く受けとめ即日決断を表明しなかった知事が重要な決断に向けて県民に対する謝罪を行っている文面からは、出直し選挙に向けた準備を進めている様子がうかがえます。
また、9月21日の読売テレビへの出演では、「できるだけ早くお示しできるようにしたい」との言葉も発しています。この発言の真意はどこにあるのでしょうか。10日間を使い切り自然と失職することを選択していたとしても、辞職はせずに、10日後の失職を待って出直し選挙を行うということを宣言することもできるでしょう。
また、自ら出処進退を明らかにする決断力の高さを示すのであれば、一連の問題点を明確にし、自らの業績もしっかりと会見で述べ、辞職し手続きにのっとり出直し選挙を行うことも考えられるでしょう。
いずれにしてもこの県政を前に進めるという意欲の高さは出直し選挙は必至であるという結論を感じさせます。
では、議会の解散はあるのでしょうか。今回の場合、政策上の不一致ではないため自らが辞職し、残りの一年をかけて出直し選挙をすることに何のメリットも感じられません。また、県民の多くが無駄金を使うことを嫌う意見を持っていることを承知しているはずです。だとすれば、出直し選挙の邪魔になるものを素直に排除しつつ、斎藤知事への批判が時間の経過とともに穏やかになるタイミングが必要になります。そのためには選挙の準備も含めて10日間の猶予は重要です。
つまり9月29日の失職までに彼は、できるだけ自分の正当性や反省点を多くの県民に伝えるために、はたらく必要が生じるのです。
失職を選択する理由は大きく3つあります。
①4年間の任期を得ることができる
②弁明の時間や実績をアピール時間を得られる
③辞職は自分の責任を認めることになる
この3つの理由を鑑みても、3連休明けに出直し選挙の決断をしたことや辞職ではなく失職を選択したことを伝え、出直し選挙に向けた自分の考えを述べていく方向に転換していくように思います。
未来の兵庫県をどのような県にしていきたいのかを語る中で、今回の騒動の問題点が次第に薄れていき、17日間の知事選でNHKの政見放送や街頭演説、SNSの発信など、いい意味でも悪い意味でも常に注目を集める状態をいかに有効に利用していくかを彼は虎視眈々と考えているのではないかと思えて仕方ありません。
「はたらく細胞」ならぬ「はたらく斎藤」の姿を県民の中は、力強く感じる人も多いはずです。自らの命を懸けて訴えた告発者への謝罪や遺族への配慮、不当な懲戒処分を正当化する姿勢、副知事と人事課の違法性の高い捜査手法など、知事として出直す前に人として出直す必要があることへの彼の認識はまだまだ甘いはずです。
それもそのはずで、第三者委員会の調査も百条委員会の調査も検察への告訴も何もかも結論が出ていないのです。つまり、法的な罰則や正式な調査結果が無い状態なのですから、彼は法的に正しいかどうかのみを判断基準としているわけですから、謝罪をする必要があるのは県政を混乱させたことのみなのです。
自分の「嘘八百」「公務員失格」「事実無根」発言が原因で懲戒処分に向けた不当な扱いが加速していった結果として告発者が命を絶ったとしても、斎藤知事には、その事実が証明されなければ認めることの出来ないこととしか考えられないのです。
独裁的な県政の下で、県民のためにと言われながら行われる政治にはどのような意味があるのでしょうか。改革派という言葉を口にする裏で2人の職員の命が失われたことをどこまで重く受けとめることができるのかが知事としての資質を推し量る重要な視点であると私はやはり考えてしまいます。
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