448 フェアプレイ
はじめに
第106回全国高校野球選手権の山梨県大会、準々決勝が今話題になっています。問題のシーンは、SNSで拡散され炎上している状態です。昨年のセンバツ王者山梨学院と昨夏甲子園出場の東海大甲府の対戦でした。
東海大甲府は、本日も勝利し決勝へコマを進めました。23日には日本航空との対戦が待っています。今日の教育コラムでは、この問題のプレイを取り上げながらフェアプレイについて考えてみたいと思います。
選手への配慮
既に選手名簿や顔写真がさらされているなど、問題の場面に関わった山梨学院の選手に対して誹謗中傷がネット上で行われています。高校野球は、高校生が教育の一環として取り組んでいるもので、失敗や成功体験を通して成長していく一場面です。しかし、相手のいる話ですしこの試合を見ている多くの小中学生の野球をしている子どもたちがどのようにあのプレイを見ているかは考えなければいけません。
山梨学院が2点を追う展開で迎えた5回の攻撃でのことです。二死二塁の場面で、続く打者の左前打に二塁走者が激走し、本塁でヘッドスライディングしました。クロスプレーのシーンでそれは行われました。中継映像にも映っていたのは、走者はタッチにいった捕手のミットにかぶさるようにヘッドスライディングし、アウトのタイミングでしたが、キャッチャーミットを抱え込んで自分の胸元に潜り込んだ右手を動かしボールをその手で払いだしたように見えてしまいました。山梨学院が試合に負けたため、それほどの炎上となりませんでしたが、現在もSNSなどでは問題の映像が様々なかたちで加工され拡散されています。
過剰に叩くのは可哀想だという声もやはり高校野球ですから目立ちます。また、球の動きが体で隠れて見えにくい所もあるので断定は難しいように思います。
ライトスタンドへのホームラン
東海大甲府のキャッチャーで4番の岡田君が、先程のプレイで一点を失った借りを返したのが、5回のライトスタンドへの2ランホームランでした。2‐1を4‐1にし、勝負を決定付けた瞬間でした。前の回で疑問の残るプレイに遭遇した岡田選手のこの一打に両チームそれぞれに大きな思いがあったことと思います。
コリジョンルール
コリジョンルールはプロ野球で採用されているものですが、この視点からの意見も多く見られます。プロ野球では、得点しようとした走者が最初から捕手に衝突しようとしたであるとか、捕手が、得点しようとしている走者の走路をふさいだといった様子がうかがえた場合には、審判が判断し走者に違反がある場合はアウト、捕手に違反があった場合はセーフとなります。
今回の場合はどうだったのでしょうか。などと彼らの試合を批判することは私にはできません。しかし、勝利至上主義であるとか選手育成という観点からラフプレイについて考えることは重要だと思うのです。
最後に繰り返しになりますが、該当の学生の個人情報を垂れ流している現状をとにかく心配しています。