491 斎藤元彦 兵庫県知事 完全包囲網
はじめに
今回の百条委員会を通して見えてきた知事の適性の無さに多くの国民が落胆しています。知事が自分でやめることを決意する、辞職という道があるわけですが、自らの行為が適切だったとする斎藤元彦知事には辞職の理由がないのです。今日の教育コラムは、地方自治の巨大な行政権を有する県知事の進退を左右することの出来る方法についていくつかお話してみたいと思います。
どうしたら辞めさせることができるのか
(1)リコール
住民が首長を強制的に辞めさせる制度があります。リコール制度です。この制度は、地方自治法の13条2項・81条・83条に規定されています。
(2)不信任決議案の提出
これが最も現実的な手段だと思われます。兵庫県議会で、不信任決議案を提出したとします。議員の3分の2以上が出席し、4分の3以上が賛成すれば、不信任決議案を出すことが可能です。不信任決議を出された知事は10日以内に議会を解散するか、辞職するかを選択することになります。
維新が守る
不信任決議を出された知事は10日以内に議会を解散するか、辞職するかを選択します。知事が解散を選択した場合は、選挙となります。この場合、不信任決議を出した側が過半数をとる必要が出てきます。とることが出来たら、改めて不信任決議を出します。すると自動的に知事は失職するわけです。
しかし、これがうまくいかないのです。維新の会が推薦し、今も真実の追究をしないとわからない、斎藤知事だけが悪いわけではないなどと擁護している立場の政党が兵庫県政では大きな勢力の一つなのです。自民とは辞職を突き付けているわけですから、後は維新の会なだけです。
これだけ、百条委員会で追及してきてそれでもまだ守るというのは政局を重要視しているためでしょう。しかし、異変が起きつつあります。圧倒的に近畿地方などの関西圏で強い勢力をもつ維新の現職の市長が選挙で惨敗したのです。
今注目されているのは、百条委員会がパワハラと断定できるのか、また公益通報者の保護についてどのように判断するかという点です。維新の議員が「真実の追及」を重んじてきたことをどの段階で何を真実として判断するかが問われているのです。
パワハラ防止法
職場におけるハラスメントの防止は、使用者の義務です。厚生労働省のホームページにも次のように紹介されています。
(文科省HPより)
令和元年6月5日に女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律が公布され、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法が改正されました。
本改正により、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。
2019年に改正された労働施策総合推進法において、職場におけるパワーハラスメ ントについて事業主に防止措置を講じることを義務付けています。併せて、事業主に相談したこと等を理由とする不利益取扱いも禁止されています。
この法律の施行により、労働者は使用者の優越的な立場に脅かされる心配が軽減されていなければなりません。
しかし斎藤知事は、告発までされているにもかかわらず、また、相談を超えた訴えであるにもかかわらず、西播磨の元県民局長さんを懲戒処分にするために犯人探し、証拠集めという名の圧力をかける行為に打って出ました。自分で命令してさせた行為を人事当局の判断であるとか調査に関わった副知事以下の担当者の責任であるかのようにも発言しています。
個別の事案について職場におけるパワーハラスメントの該当性を判断するに当たっては、総合的に考慮する事項のほか、当該言動により労働者が受ける身体的又は精神的な苦痛の程度等を総合的に考慮して判断することが必要とされているハラスメントです。
個別の事案の判断に際しては、相談窓口の担当者等がこうした事項に十分留意し、相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、相談者及び行為者の双方から丁寧に事実確認等を行うことも重要です。
これらのことを十分踏まえて、予防から再発防止に至る一連の措置を適切に講じることが重要なのです。ですから、この法律によれば疑わしいかどうかも含めて丁寧に調べて対応することがうたわれているのであって、告発や通報者を犯人としてその人物を探したり懲戒処分を念頭に置いた調査をしたりすることを禁じているのです。
包囲網の完成には
一言で包囲網の完成を表現すると「維新の判断」だと言えます。この知事を生み出した張本人たちがどのように責任をとるかということです。
私たちは、2度の百条委員会の証人尋問を終えて、もうすでに真実としてハラスメントの存在と公益通報者保護がなされなかったという事実に出会っています。
それは、毎回の知事の「適切であった」という発言のたびに証明されています。適切でないものということは多くの人が分かっているのですから、それに対して虚偽の発言をしているので、もちろん偽証罪にも問えます。
道義的責任からも政治的責任からも、刑事的な責任からも私たちは斎藤知事をすでに包囲しているのです。
これで法も議会も県民も報道も裁けないとしたら私たちの国家は本当に権力者に都合の良い社会であるということを証明してしまうのです。