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439 念書を取る行為が公序良俗に違反


はじめに

世界平和統一家庭連合と呼ばれる宗教団体に対して、最高裁が画期的な判断を下しました。先の国会で成立した、旧統一教会の被害者救済法案などの効果もあり、今回の判決は1審2審の判決を覆したものでした。
2審での十分な審議が行われていないことも指摘しつつ、念書を取るような行為やその様子を動画で撮影し、証拠とするような考え方自体を公序良俗に反した行為であるとしている点が優れていると感じています。
今日の教育コラムでは、今回の最高裁の判断について少しお話してみたいと思います。

事案

今回の事案は、数年前から裁判で争われてきました。これまでの判決は、いずれも旧統一教会が提示している念書やそれにかかわる映像が証拠として採用され、認知症であったにもかかわらず念書を書かされたのかといった形で念書の存在がどのように判断できるかという点で争われていました。
しかし、安倍晋三元首相への銃撃事件以降、世論の変化や法の整備が進み、今回の司法の判断に結びついていることは承知していますが、最高裁でここまで180度逆転することとなったことは驚きであります。
これまでの旧統一教会の悪質な信者からの勧誘や献金被害について、政治家が理解を示し、立法行為や行政処分に踏み切った背景には、多くの国会議員がこの協会との選挙等でのつながりがあったことが表に出たことがあげられます。
暴力による現状変更を訴えた今回の銃撃事件事態を肯定するつもりはありませんが、その行動が動かした被害者救済の動きは確かに存在していると思えるのです。政治と金の問題や違法な行為を繰り返す宗教団体の選挙応援などが明らかになってきたことで、その後の国政や地方選挙なども含め大きな影響が出ています。

公序良俗
今回、最高裁が出した判決は、原告が献金後に教団に差し出した「一切の賠償請求をしない」とする念書を「無効」とするものでした。教団側を勝訴としていた2審までの判決を完全に破棄したのです。
差し戻しとさせた根拠の最も大きいものは、公序良俗に反するという考え方です。
公序とは、公の秩序を意味します。良俗とは、善良の風俗を意味します。「公の秩序」は国家・社会の秩序または一般的利益とも言い換えることができます。「善良の風俗」は、社会の一般的道徳観念と言い換えることができるでしょう。この二つの意味を合わせた言葉が「公序良俗」というわけです。
民法第90条で定められているように、公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は無効なわけです。つまり念書という法律的な効力を発揮するものであっても、そもそもその取得の目的やそうしたものを作成させたこと自体が公序良俗に反していれば、法的な効力そのものをもたないということです。
この基本的な理解一点を用いて、念書の効力を失くしてしまっているわけです。今後も似たような同一の教団との間の問題が裁判で争われる際にこの判決は大きな意味を持ってきます。
法がまた一歩、理想の社会に近づくための礎を築いたような判決に拍手を贈りたいと思います。

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