酒気帯びジャンケン
GWも近くなり、休日の過ごし方を考えて休日が終わった日も数しらず。
普段からあまり頭を使わずに生きている僕にとって「効率的」や「生産性」という言葉とは全くと言っていいほど縁がない。
とにかく計画性がなく有意義な休日を過ごしたことは、頭を使う誰かと過ごす以外体験したことがない。
ショッピングモールに行くと同じところを3,4回歩くのは当たり前で、対角線の移動すら気が遠くならない。
おかげさまで歩数計のグラフはいつもハイパフォーマンスを記録している。
僕の生き方を見ると「時間を無駄にするな」と怒られそうだが、全くその通りである。しかし「時間を無駄にしたな」という後悔が、次の行動のモチベーションになっていることは確かである。
4月のある日、高校のサッカー部のメンバーで集まる機会があった。
大学もやっているアルバイトも経験も異なるメンバーだが、高校時代を過ごしたという共通点だけで「何でこんなに楽しいんだ」といつも思う。
新宿の居酒屋に19:00に集合という約束だった。
18:45分に着くものは2人のみ、多くは20分以上の遅刻してくる。
18時に目が覚めて慌てて来た、という人間とは思えないような生活リズムのやつもいた。
この文化は高校時代から変わらない。
2時間の飲み放題は19:00に始まっているので、みんなで飲み始めことができたのは1時間半ほどだった。
話の話題は様々だったが、多くは最近の話だった。
夏にタイに行こうやサークルの話に、彼女の有無の確認と…。
この記事を書くために当時のことを思い出しているのだが、浮かんでくる記憶は全て生産性が高いわけでも、効率的でもない無駄な時間が多かった。
それが何より楽しかった。
1時間半ほどの飲み会では話し足りなく、2次会としてカラオケに行った。
まずはカラオケで飲むお酒を奢る人を決めるジャンケンが開催された。
メンバーは全員で8人いたので、「総額は中々になる」という認識はみんな一致していた。8人一斉のジャンケンだったので、あいこが続く。
その度にジャンケンが熱を帯びる。爪が手のひらにめり込むぐらい強く握ったグーに、ダンスで褒めらるぐらいに指の先まで力の入ったパー、殺傷力あるチョキ。
そんなジャンケンにも終焉が訪れた。
負けたのはスマホのメモ帳に借金者リストをつけている金なし男に決まった。
世の中はそう甘くないらしい。
普段は各々が好きな歌を歌い、雑談したりするのだが今日は違う。
就活を今年に控えた人たちが「大学で学んだの集大成」を発表するかのようにマイクを持つ。
始まったのは飲み芸である。
大学で学んだことはこれだけらしい。
会は盛り上がり、僕は終電を逃してしまった。
行き慣れていない新宿の深夜を一人で過ごすのは心細かったが、さっきまでの記憶を思い返すだけで心が弾んだ。
ネットカフェで夜を凌ぎ、始発で帰る事にした。
ネカフェのカウンターで手続きをしていると、店員さんが酔った僕に住所の記入を求めてきた。
自信満々にペンを持ったが、住所は忘却の彼方にあった。
朝目覚めると、ネカフェ代の3700円と手のひらには住所を練習したと思われる謎の文字。
何も生み出してない無駄ばかりの1日だったが、始発の車窓に映る朝日はいつもより綺麗だった。