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大麻取締法の改正を嚙み砕いてみる②麻向法

 続いて麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)の一部改正で、大麻がどう規定されたかを見ていきたいと思います。

【定義と規制対象】
 「麻薬」の中に大麻が加えられるとともに、麻薬成分としてTHCが規定されました。また、容易にTHCに変化する成分として、大麻草に含まれるTHCAも政令により規制の対象となるようです。
 譲渡し、譲受け、所持等については、大麻栽培法には規定がなくなり、麻向法での規制に移っています。

【施用規制】※いわゆる使用罪
 大麻の使用について、ほかの麻薬と同様に規制対象となりました。大麻取締法では使用に対する規制はありませんでしたが、麻向法に移ったことで、ほかの麻薬と同じように取り締まりの対象となったという形です。(大麻について新たに規制が設けられたわけではないので、報道で「使用罪新設」など言われているのは正確ではないと思われます。)
 また、罰則についても大麻に絞った規定は新設されず、ほかの麻薬と同様の取扱いとなったため、厳罰化となっています。

 ここからは個人の感想、ですが、改正全体を見ると、産業利用と医療利用は伸ばしていく、一方で嗜好用(THC)はこれまでより強く規制していく、ということかと思います。規制派と解禁派、どちらの意見も聞いていますよ、ということなのかもしれません。
 海外の動きからしても、おおむね妥当な改正なのではないかと思いましたが、一点、厳罰化については、麻向法に移行したためほかの麻薬と一緒にします、というようにしれっと実施されている印象で、やや疑問です。
 大麻栽培法での罰則もあわせて引き上げられていますが、厳罰化による害、ハームリダクションは考慮されたのか、調べてみたいと思いました。
 また、政令で別途定められることとなっている、大麻製品へのTHCの残留基準ですが、これがこれまでの慣例に比べてかなり厳しい基準であるようで、CBD製品界隈がザワついているようです。医療の面でもTHCは有用(もしくはアントラージュ効果が有用)という主張がありましたので、この基準の影響や、関係者の反応なども調べてみたいと思います。

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