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「大麻の社会学」要約②

【第2章 現在の欧米における大麻政策ー非罰化と合法化をめぐる統治性】

  • 欧米での薬物政策は、使用者を厳しく摘発するドラッグ戦争からハームリダクションなど刑罰軽減へ変化している。2020年時点では、ウルグアイとカナダが国家として全面合法化しているほか、欧米では広く医療目的での使用が合法化され、違法ではあるが摘発されない「非犯罪化」、罰金刑程度または起訴されない「非罰化」も多くの国で見られる。

  • アメリカの大麻規制は、リベラル/保守の社会思想の違いのほか、人種差別の点からも議論されてきた。黒人やヒスパニック系の逮捕率が高いことは、合法化をめぐる主要な論点であり続けている。

  • 「刑罰と抑止力」の点では、アメリカは膨大な逮捕者を出してきたが、ドラッグ使用は最も広まっている。EUでは、罰金を科すフランスより刑事罰を科さないポルトガルの方が若年層の大麻喫煙率は低い。大麻がほかのドラッグのゲートウェイになるかどうかは、刑罰の重さだけでは説明できない。

【第3章 戦前アメリカの大麻規制ージャズ・モラルパニック・人種差別】

  • 大麻規制に重要な時代は「規制の始まりとしての戦前アメリカ」「1970~80年代のドラッグ戦争」「ハームリダクション、非罰化、合法化などへの変容期」の3つに分けられる。

  • 戦前アメリカでは大麻は大衆に知られていなかったため、メキシコ人や黒人が持ち込んだ「未知の新たな脅威」「新しい麻薬」として扱われ、規制された。新聞、映画他あらゆるメディアを使い、大麻の危険性が尾ひれをつけて喧伝され、醸成された世論を背景に1937年、マリファナ税法が制定された。

  • 実際には、大麻は黒人居住区などで廉価な嗜好品として喫煙され、ストリート文化のひとつであった。ジャズの楽曲にも規制をやゆするような曲名や詞がみられる。喫煙者の間での大麻の危険性は「逮捕されうること」であった。

要約③へ続きます


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