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「大麻大全」要約①

 4冊目は、「大麻大全ー由来からその功罪までー」(阿部和穂著、2018)です。著者は薬学部の先生です。
 この本を選んだのは、前書きに著者の考えとして「大麻の自由な使用を認めるべきではない」とあったからです。これまでの3冊はどちらかと言えば大麻の有効活用や量刑の見直しの立場で書かれていたので、反対の考えを持つ方が書かれた本を探していました。
 内容は中立に記述しているともありますが、どのようにして現在の考えに至ったのか、大麻の功罪とは何か、読んでいきたいと思います。

【第1章 あなたは大麻についてどこまで理解しているか】

  • 大麻の知識に関するQ&A。大麻栽培の最高刑は無期懲役?→YES、大麻草にはTHCという幻覚成分が多く含まれる?→NО、マリファナの薬効成分は24時間で体から消失する?→NО、など。答えの内容について2章以降で解説される。

  • これを踏まえ、『大麻についてよく知らないのに、「危ない」とか「すばらしい」とか言ってはいけない。』

【第2章 大麻の基礎知識PART1 主に由来、歴史、植物学、法律】

  • 大麻という言葉には、神事にかかわる道具としての大麻、植物としての大麻、薬物としての大麻、の3つの意味がある。なお、薬物として認知されたのは戦後である。

  • 大麻草は、サティバ種、インディカ種、ルデラリス種、それらの交雑種などが存在し、含まれる化学物質も異なるが、1属1種の植物として扱われている。

  • 大麻取締法は、大麻栽培農家への政策上の配慮もあって制定されている。営利目的栽培の罰則が薬物犯罪の国内最高刑である無期懲役であるのは、大麻の「栽培」はヘロイン等で言えば「製造」に相当するということのほかに、農作物としての栽培を妨げるものとして厳しく取り締まる必要があったからとも推測できる。

【第3章 大麻の基礎知識PART2 主に化学】

  • 大麻に含まれる化合物カンナビノイドのうち、強い幻覚作用を生じるのはテトラヒドロカンナビノール(THC)であるが、これは新鮮な大麻草中にはほとんど存在せず、「THCA」として存在している。THCAが熱などにより変化し、THCとなる。

  • 大麻草は、THCAを主に産生するTHCA種のほか、CBDAを産生するCBDA種、同様にTHCVA種、CBDVA種の4つに分けられる。日本で栽培されてきた繊維型大麻草はCBDA種で、薬用型大麻草であるTHCA種は繊維が弱く間引かれてきた。(交雑するとTHCAが優性)

  • THCAは、大麻草の中でも雌花に多いが、さらに言えば受粉せずに開花日数の経った雌花、そのうちの「苞葉」と呼ばれる部分に生える「線毛」に局在している。主に生体防御のため作られていると考えられるが、他の植物では作られず、なぜ大麻草だけなのかは解明されていない。

要約②へ続きます…

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