毒と薬
子育てをしていると、自分が本当に
未熟でちっぽけで、我慢も忍耐も冷静さも
欠けている人間だと言う事を思い知らされる。
本当は怒りたくないんだよ、私。
片付けても散らかるを繰り返す部屋で、
娘がエンドレスに引っ張り出してくるおもちゃ。それを見ながら途方にくれる。
横で眠たくてぐずる息子。
抱っこしても授乳してもぐずぐず。
嗚呼、今日は全然寝てくれない。
とりあえず腰痛を誤魔化しながら
抱っこヒモで9キロの息子を抱える。
と思ったら
『おしっこー!』
娘が急いでトイレに駆け込む。
トイレに間に合わず、便座の周りが汚れたと叫ぶ。その濡れた床で汚した足のまま、トイレから出てきては、リビングを歩き回ろうとする娘。本当にやめてくれ。
息子を抱えながらトイレとリビングの床を拭く。同時に娘をシャワーで流す。
すると抱っこヒモの中でウトウトしていた息子が、シャワーの音でまた覚醒し、足をばたつかせながら泣き始める。
再び散らかった部屋を見渡す。
要らない物が増え、必要な物が見当たらない。
あーーーもーーーダメだと思いながらも。
イライラが募って5歳の娘に言ってしまった。
絶対に娘の心にも私の心にもよくない言葉を。
片付けられないなら新しいおもちゃを
出さないで!
出来ないなら捨てちゃうよ!
間に合わないなら早めにトイレ行くようにして!もう5歳になるんだよ!
多分こんな言い方した気がする。
言い方を変えたら良かった。
新しいおもちゃで遊ぶ時は
使っていたの片付けようね。
とか。
次からは早めにトイレ行こうね。
とか。
まだ5歳なんだもんね。
とか。
イヤな言い方を投げつけた。
こんなの毒親だよ。
子育てしてわかってきた事。
びっくりする程、
子供が思い通りにはならない。
それはどうやら
子供は1人の人間として生きていて、
私の中に生きているわけではないって事。
行動と言動が、自分の角度ではない
思いがけない方面から
不意に飛び込んで来る事の連続なのだ。
それを受け止められる器を持てたら、
毒親でなく、薬となる親になれるのだろうか。
のちに反省はするものの、
全然修行が足りない自分を情けなく思い
せめてもの償いで
娘に素直に気持ちを伝えてみた。
『さっきは、意地悪な言い方してごめん。』
『いいよ。』
2人で少しずつ要らない物を
ビニール袋に集めて捨てた。
子供達が私の薬なのかもしれない。
そう思った。