【レポート】メイカーフェア東京 Maker Fair Tokyo
行ってきました!Maker Fair Tokyoのレポートです!今回は取材できたブース、とりわけFDM/FFF関連のみ記事としたいと思います。
正面の看板
▽プラゴミ?究極食べたらいいじゃん Project▽
食物由来の物質でプラスチック容器の代替となるものをつくるプロジェクトです。
寒天からかき氷用カップを作っている(時間経過で脆くなっていた)
制作過程の映像が流れている
画像中央から右側:シリンダー状に成型&乾燥→ストローになっていく過程(結構頑丈)
ここら辺の素材や技術は、FDMならフードプリンターとして実装されていてもおかしくないので、取材させてもらいました。
▽ファブラボ品川▽
リハビリテーションの現場で3Dプリンターを導入されているファブラボ品川さん。設計された自助具を展示されていました。
パーソナライズに制作できるのは3Dプリンター(というか、アディティブ・マニュファクチャリング)の得意技ですよね。自助具ということで、ユーザーが欲しい機能のバラエティが幅広く、それに伴ってたくさんのアイデアが生まれており、制作過程も掘り下げると興味深いものばかりでした。書籍も執筆されています。
色とりどりの出力物は、何やら楽しそうな雰囲気を醸し出していた
よく見ると一度出力した物を熱で曲げており、そうすることで、より手の形にフィットさせることができる
シンプルなゲームコントローラーのようなもの
ホットケーキなどをひっくり返す自助具で、何パターンかのプロトタイプが設計されていた
板状の出力物を熱で曲げてつくったギプス
網状にして通気性や柔軟性を担保している。設計にはRhinocerosを使用。(アトラクターポイント系で網目の細かさを変化させているものもあった)
お話を伺ったところ、設計に携わっている方の中に、アイトラッキングでモデリングされている方もいらっしゃるようで、より進んだテクノロジーで設計することの公平性を感じるエピソードでした。
(後日、書籍バッチリ買わせていただきました!)
▽TinkerJP▽
TinkerJPさんは、デジファブ機器を使ってものづくりをしている団体です。今回展示されているものは、3Dプリントしたものから石膏型をつくり、鋳込み→施釉→焼成。という流れで制作されているようです。
3Dプリントしたものを元につくられた磁器
石膏型
3分割にし、組み合わせる
割れた破片はアクセサリーとして活用できる
制作過程の説明
3Dプリントしたものを後加工なりなんなりして、どうやって製品レベルにもっていくかということはすごく重要なテーマです。そのうち、陶磁器も王道テーマとしてメディアで取り上げられたりしますが、日本であまり実例を見ることがなかったので、実際目の当たりにすると感動しました。
▽Vernacular Lab▽
Varnacular Labさんは、バナキュラー(土着素材を使った)なフィラメントをつくっているチームです。蟹、コーヒー、オレンジの粉末を混ぜたPLAを展示されていました。
展示物
フィラメント成型機にイタリアのスタートアップFelfilの製品を使っている
(画像はFelfilのHPよりお借りした)
展示物の説明
クックブックには一部失敗談も載っているので、とても参考になる
オリジナルグッズも販売しており、筆者は蟹PLAのグッズを買った
フィラメントに粉末を混ぜて、何かの性能を上げるということが身近にできるようになると楽しいですね。まだ未知の領域がたくさんあるかもしれません。
▽NEOKNOT▽
NEOKNOTさんは、3Dプリンタを用いてものづくりを行うデザインエンジニアリングユニットです。
全部で三種類出展されていた
3Dプリンター(FDM/FFF)を用いたサンダル
ソールは底面と上面に充填率の高いTPUの板を貼り付けている
割ることで明るさを調節できるランプ
割れやすさをコントロールし、全体を一発で出力しているらしい
チョコレートをプリントしたもの
型では作れない複雑な多孔質構造を実現したことによる、新しい食感の探究を進めている
また、シェフとのコラボレーションで新しいチョコレートの製作も進めていらっしゃるようです。
ちなみにxCloud Sandalsのソールは、内部の充填パターンや充填率はスライサーソフトで設定しているので、PCのマシンパワーもそれほど関係がなく、スライサーソフトをうまく利用するという考え方が参考になりました。ちなみに、素材は全てTPUということなので、参考にして自作するならダイレクトエクストルーダー推奨です。総じて3Dプリンターならではのプロダクトなので、見ていてとても参考になりますね。
▽合同会社 BirthT▽
合同会社BirthTさんは、日本で独自にベルトコンベア型3Dプリンターをつくっている会社です。このマガジンの読者の中には、このマシンが気になって仕方がなかった人も多いんじゃないでしょうか?今回は諸事情によりAvalontechさんのブースから出展。
ガントリーを45度傾けている
ベルトは薄いステンレス板に定着力を上げるシートを貼り付けているらしい(今後つくっていくマシンには別の素材を検討しているようです)
スライサーソフトにはCuraを使用(おそらく独自開発のプラグインを使っている)
ボードはDuet3を採用している(Avalontechさんより提供)
そして気になる今後の展開予定ですが、お話を伺ったところ…
・今年中にマシンのリースを検討
・オンラインプリントサービスを開始
・フィラメントの自動交換機能を実装
・カメラで造形物をリアルタイムに監視する機能を実装
ということだそうです。あとは中国3Dプリンターメーカーとは方向性を変えて、ソフト側のサポートも行っていきたいとのことで、ベルトコンベアに対応したスライサーソフトでいうと”BlackBelt Cura”が有名ですが、こちらは2年ほど前から開発が行われていませんので、現在BirthTさんの方で独自にCuraのプラグインを開発しているとお聞きしました。
45度傾けているので座標系も同様に傾けないといけないのですが、プリントヘッド移動方向をX、通常Z軸となるロッドの方向をY、ベルトの移動方向をZとして、G-codeをつくっていらっしゃるようです。
ベルトコンベア型プリンターの特徴としては、
・45度傾けることでサポートレスの可能性が広がる
・異方性がマシになる
・量産が可能になる(造形物をいちいち取り外し、再びプリント開始ボタンを押す必要がない)
といったところでしょうか。長時間運転するとなれば、ノズルやベルトコンベアなど、消耗品をどのくらいのペースで交換する必要があるのか気になりますね。国産のマシンメーカーということで、今後の動向は要チェックです!
▽セメダイン株式会社▽
セメダイン株式会社さんは言わずと知れた接着剤メーカーさんですが、今回は3Dプリントしたものをどう接着するかということにフォーカスした展示でした。
資料には、破壊のパターン分けが載っており、勉強になった
様々な樹脂を様々な接着材で接着し、破壊した実験結果が掲載されていました。3Dプリンター(特にFDM)は、いくら造形の自由度が高いとはいえ、積層する際の角度の問題やマシンの造形サイズの制約があり、結局1パーツを分割してプリントしなければならないことということが多々あります。つまり、接着はよくある行為であるわけですね。
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