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VCT 2023のパートナーシップについて

前回の記事を読んでいない方はまず読んでください。前回はこれからのVCTの仕組みに絞った記事でしたが今回はパートナーシップについて深く掘り下げてた記事になります。この記事では基本的にこちらを理解したという前提での話をしていきます。

今回はパートナーチームの公式発表を受けての情報の整理や個人の私見を述べたいと思います。形としては公式発表をベースとして海外の記事を交えつつ話していけたらと思います。

また今回の記事を書く理由としては正しく理解してほしいという気持ちが大きいです。現時点で自分の好きなチームが選ばれなかったことによる良くない流れが散見され、前回の未熟な記事を書いた自分にも責任があると思ったので書いています。

しかし自分が書く記事も結局は一個人が今ある情報などをまとめたというだけであって決して鵜呑みにせず、落ち着いて自分でも考えて理解して欲しいです。自分は公式の人間でも何でもないので。では解説していきたいと思います。

公式発表から考えるパートナーシップ選考

VCT 2023 TEAMS

この記事を読んでいる方は知っていると思いますが改めてRiotとパートナーになったチームです。基本的には納得できるチームが多いですが、Twitter上ではチームの当落に納得がいかない方々の意見が見られます。

選考プロセスについては前回もRiotの広報担当者が話したという記事を参考に説明しましたが、今回の発表で書かれた部分を確認してみましょう。

素晴らしいチームが多く選出は困難を極めましたが、非常に多くの申し込みをいただけたことをここに改めて感謝申し上げます。数ヶ月におよぶ選考プロセスには、書面申し込み、詳細面談、財政面レビューなどが含まれました。新VCTのパートナーに求めることは、突き詰めれば次の3つです:

1 ./// 「常にファンを最優先し、多様性豊かなコミュニティーを称え、プロ選手の支援に全力を尽くす」という私たちのビジョンに賛同する組織

2 ./// 優れたコンテンツ、魅力的なブランド、求心力のあるロスターを持続的に展開することでファンとの深いつながりを築いてきた組織

3 ./// 長期的視点を持ち、事業継続性を意識した経営をしている組織

なお透明性の観点からお伝えしておくと、選考プロセスにおいて過去の競技成績は一定のプラス評価としていますが、決定的要因とはしていません。これは対象組織の「ファンを一層魅了するVCTを作っていく」能力、つまり将来性を重視したためです。

https://valorantesports.com/vct-teams

書いている通り選考基準はこの3つになりますが、「突き詰めれば」とあるように当然ですが他の要因も選考の理由になり得ます。とは言っても基本的には選ばれなかったチームはこの三項のいずれかを満たせなかったということになります。

まず皆さんに理解して欲しいのは限られた枠の中で選ぶということは比較するということです。あるチームは他のチームと比べた時に良い点もあれば悪い点もある、当たり前ですよね。そういった物が積み重なった上で選ぶわけです。

また、ゲームとは言えRiotという企業にとってはビジネス面を重視せざるを得ません。というか重視しなかったら運営が立ち行かなくなり、ゲーム自体が無くなってしまうのでこちらも当たり前ですよね。

それらを加味した上で各ジャーナリストの報道を参考に当落の理由について自分の考えを述べていきます。仕方ない事ですが選ばれなかったというマイナスな事について話すのでマイナスな点を書くこともあります。端から見たら納得出来ない人もいると思いますが出来るだけ客観的に書くのでご了承ください。

ビジネス面から考えるパートナーシップ

まずチームについて書く前に前提としてビジネス、マーケットの話をします。例えば日本の試合を見る人は誰かというと殆どが日本人です。日本のチームしか参加しないオフライン大会ではこちらも観客の殆どは日本人でしょう。

これは日本だけに限らず特定の地域で行われる大会は殆どがその地域に興味を持っている人しか見ません。しかしビジネス面を考えると他の地域の人にも興味を持って欲しい。そう考えた時にビジネスは広く展開せざるを得ないわけです。

例えばPACIFIC(以下アジア)のインターナショナルリーグに参加するチームの殆どが日本のチームだった場合、選ばれなかった国や地域の人は興味を持つでしょうか。もちろん中には持つ人もいるでしょうが、多いとは言えません。つまりマーケットを考えた時にインターナショナルリーグは国や地域の数のバランスを考える必要があります。

VCT 2023 Challengersリーグの地域区分

アジアのチャレンジャーズリーグの数は10個あります。そしてインターナショナルリーグの枠も10個。つまりバランスを考えた時に国や地域のチームは1個ずつが妥当とも言えます。

ここでアジアのインターナショナルリーグに選ばれたチームのヴァロラント部門の参加地域を纏めると韓国が3チーム、日本が2チーム、フィリピンが2チーム、シンガポールが1チーム、タイが1チーム、インドが1チームです。

その国の市場規模や地域のコミュニティの大きさなどを加味して選ばれますが、日本からは2チームが参加になりました。バランスを考えるとこれでも非常に幸運だったと考えるべきです。本音を言えば自分も枠をもっと貰えても良いぐらいには日本では人気だと思っています。

しかしアジアや日本に限らず、その限られた枠の中でパートナーシップを選考するには先ほど話したチームとチームをあらゆる面で比較した上で複合的に考えるわけです。

では選ばれたチームはどこが比較的に良くて、選ばれなかったチームはどこが比較的に良くなかったのかについて考えていきます。次の項目に関してはかなり自分の私見が入っています。最初にも言った通り出来るだけ客観的に事実から考えていくので決してチームを悪く言う気持ちは全くありません。

日本におけるパートナーシップ選考

最初に言っておきますがパートナシップを選考するのはRiotであり、チームではありません。なので自分の好きなチームが選ばれなかったと言って選ばれたチームに文句を言うのはお門違いです。

日本からパートナーシップに当選したZETA DIVISONやDetonatioN Gamingについて考えていきましょう。とは言っても当たり前ですが条件を満たしているからこそパートナーに選ばれたので文句はないです。加えてZETAに関しては国際大会で三位という実績もプラス評価でしょう。

しかし多くの人が自分の好きなチームが選ばれなくてDNGが何故選ばれたのかというツイートが良く見られます。これに怒っている人は単純にDNGについて知らない、詳しくない事が大きいかと思います。

まず世界的に見て知名度で言えばDNGは日本でトップだと言えます。eSportsどころかスポーツを含めても競技人口がトップクラスに多いLoLで何度も日本を代表し、昨年は世界大会で過去最高のベスト16という結果を残しました。

また活動しているゲームタイトルの幅も広く、公式サイトを見る限りでは現在10タイトルにて活動しています。もちろん現在では活動していないゲームタイトルでも過去には活動していて結果を残しています。

多くの人がDNGはLoL部門があるからという意見を述べていますが、確かにそういう面はあるかもしれませんがRiotがLoLも展開しているからという訳ではなく、世界的に歴史と人気があるゲームにて長く活動し結果を残しているからこそ評価されるわけです。

DNGのオーナーである梅崎氏は公式発表後にチームの公式YouTubeチャンネルにてこう話しています。

恐らくDetoNation Gamingというチーム自体が10年間という運営の実績もありつつ、様々な色んなゲームタイトルでの実績であったりとか、これまでの積み上げてきた経験、そういった物が評価された物だと僕は信じております。

https://youtu.be/hIDsEvKaRMA

なので近年日本や世界で人気のあるFortniteやApex Legends、VALORANTについての知識だけでこのパートナーシップについて不平不満を言うのは少し早計であると思ってください。


では多くの方が気になっているCRはどうだったのかについて考えていきましょう。

まずCRのオーナーであるおじじ氏によるパートナーシップの落選を受けてのツイートを見てましょう。実際自分も3項目はクリアしていると思います。CRのファンは日本一と言ってもいいぐらいにはコミュニティも大きいですし、財政面でも組織面でも問題はないと思います。

しかし自分は元フォートナイト勢だったこともあってある程度は詳しいですが、CR自体はフォートナイトから始まったチームであり設立年は2018年と歴史は比較的に浅いと言えます。

また活動タイトルもeSportsの歴史としては浅い方であるタイトルが多い上にタイトル数が5タイトルと、選考されたチームの活動タイトル数と比べた時に少ないです。

以上の理由が自分が考えるCRが落選した理由なのではないかと思っています。もちろん他にも色んな理由は考えられますし、正直に言えばキリがありません。何度も言いますが私見なので正しくない可能性高いのでこの意見を引用する場合は自分で責任を持ってください。

ここまでの話をしたときにZETAも同じぐらいの評価だとは思いますが、そこで世界大会での結果がプラスの評価になり差がついたのではないかと思います。CRに限らず他にも日本で選ばれなかったチームは沢山ありますが今回は省略。というか当たり前ですが一般人なので知りません。

海外におけるパートナーシップ選考

ここからはアジアではなく他の地域で多くの人が気になっているチームついて考えていきます。ここからの話はジャーナリストによる報道をベースで話していきます。全部は無理なので気になっている人が多いであろうチームに絞って書きます。

まずはG2とTSMについて。この2チームは言ってしまえばCEOが不祥事を起こした事が原因と言われています。G2はCEOであるカルロス・ロドリゲス氏がアンドリュー・テイト氏という有名人ではありつつもミソジニスト、いわゆる女性蔑視な発言等で差別的な人と関係を持っていました。

またTSMのCEOであるアンディ・ディン氏は選手や従業員にパワハラをしていたと報道されRiotから処分が下されていました。

これらは一つ目の項目に書かれている「多様性なコミュニティーを称え」に反しているかと思います。なので重要視されている項目を満たせなかったことによる落選と考えられます。

OpTic Gamingについては考えられる理由がいくつかあります。一つ目は三つ目の項目にある「長期的視点を持ち、事業継続性を意識した経営をしている組織」が不安視されているからです。

公式発表がされ、OpTicの落選が確定して直ぐにメンバーのVictorとCrashiesはFAになったとツイートしています。これは契約が長期的ではなかったことを示していて、チームの将来が不安視されたという理由で選考から落ちたと言われています。

これを踏まえるとFnaticが以前に発表したBoasterとDerke両選手との長期の契約延長は「長期的視点を持ち、事業継続性を意識した経営をしている組織」を体現していると言えます。

二つ目は記事も無い上にややこしくていまいち自分も理解出来ていないんですが、調べた限りの話をします。まず話をする前にOpTicの歴史を知る必要があります。

OpTicは2019年にImmortals Gaming Clubに買収されました。その後NRGの共同CEOであるヘクター・ロドリゲス氏(以前OpTicを所有していた)はOpTicの所有権を買い戻しました。更に2021年にEnvy GamingがOpTicのブランドを買収して合併、そして2022年にEnvyではなく名前がOpTicになりました。

ここでOpTicがImmortals Gaming Clubに買収された理由なんですがOpTicは財政面の理由で売却したと言われています。その際フランチャイズ制のリーグを展開していたLoLで撤退したという過去があります。

で結局は今OpTicを所有しているのはヘクター氏とハストロ氏ということなんですが、ヘクター氏はNRGの共同CEOなので2つのチームに関わっていることになります。なのでそこが選考から落とされた理由なのか、度重なる買収と売却で事業継続性が無いと判断されたのか。

ツイッターではImmortals Gaming Clubがmibrを所有してるからOpTicは落ちたという意見が見られますが、先ほど述べた通りこのIGCは既にOpTicを所有していないのでたぶん違います。ちなみにIGCはヴァロラントでは2021年まではNAにImmortals、2022年からはBRでmibrとして活動しています。

どんな理由にせよこういった歴史や事実があることは覚えておいて損はないかもしれません。最初から憶測にすぎない話でしたがここに関しては更に分からない話になってしまいました。自分もOpTicをインターナショナルリーグで見たかったですが残念です。

FPXに関しては正直言って全く分かりません。母体が中国だから地域がどうとか言われてますけど個人的には違う気がしますね。G2はアメリカかEMEAどちらかで活動しようとしていたらしいですし。

母体が中国にあるからっていう点は確かにゲーム規制などに事欠かないのであり得ますが、LoLでは世界の1, 2位を争う地域でチーム自体もトップクラスなので綺麗に納得できない感じ。分かんね~。

まあつまり何が言いたいかというと当選と落選はおかしな理由で決まるわけではないということです。当たり前です。理解はしても納得は出来ない気持ちは分かりますが、怒りを誰かにぶつけるのはやめましょう。

フランチャイズとパートナーシップ、変わらない事

Riotはそういった言い方をしていませんが、インターナショナルリーグとチャレンジャーズリーグは言わばTier1とTier2と考えられます。前回の記事でどちらになるかで雲泥の差と書いたのは事実ではありましたが配慮が足りなかったかと思います。申し訳ないです。

VCTのパートナーシップ制は形式としてはOverwatchが似ていると思います。一般的なフランチャイズ制のリーグは国や地域でリーグ戦を行い世界大会を狙うという形式ですが、ヴァロラントやOWは国際的なリーグとしてチームが集結して戦う。(OW詳しくないので間違えていたら教えてください。)

ただ決定的に異なる点が一つあります。それは参入のしやすさです。フランチャイズ制の場合、いわゆるTier1に参入するためには権利やチームの買収などが必要で、Tier1とTier2には大きな壁があると言えます。パートナーシップ制は期間は限られますがTier2で勝ち抜くことが出来ればTier1に参入できるわけです。

確かにチャレンジャーズリーグで戦うことになるチームはそれこそ大会の名前にあるChampions Tour、チャンピオンへの旅路が険しい物なります。しかしそんな状況の中で栄光を掴むために挑戦するチームや選手は尊敬に値します。

試合を見る自分たちは応援する事しか出来ません。逆に言えば応援することがそんなチームへ唯一出来る事です。チームの喜怒哀楽はファンの喜怒哀楽でもあります。来年から形式が変わって受け入れ辛い、慣れない方もいるかもしれませんが好きなチームを応援出来ることは変わりません。

チャレンジャーズリーグはインターナショナルリーグと比較すると格としては事実上Tier2にはなりますが、それは競争力や試合の面白さまでがTier2になるわけではありません。ファンやコミュニティの力こそがチャレンジャーズリーグを面白くすることができます。

またチャレンジャーズリーグだけに限らず、インターナショナルリーグも当然ながら厳しい道のりです。各国の強豪が集まって試合を行う中で勝つことが大変であることは想像に難くありません。日本代表としてみんなで応援しましょう。

またリーグ制になることはデメリットもありますがメリットも当然あります。以前の記事で書きましたが、従来のVCTの日本におけるフォーマットではどうしても試合数が少なく、シーンが成長し辛いと感じました。

未だチャレンジャーズリーグに関しては詳細は発表されていませんが、リーグ制になることで以前の大会という特別感は確かに少し薄れるかもしれませんが、応援しているチームや選手を見る機会は格段に増えると考えられます。

昨日今日は何かに対しての否定的な意見がかなり見られました。応援しているチームや選手にとって何が良いのか落ち着いてコミュニティ全体で考えるべきだと思います。

最後になりますが前回の記事は大きな反響があって書いた身としては嬉しかった半面、説明不足や至らない点があったために良くない方向に話が進む要因になっていたと感じました。申し訳ないと思っています。

出来るだけ今回の記事も客観的で中立で事実をベースとして書いていますが、気になる点がありましたらTwitterでも何でも連絡して貰えたらと思います。今後もこういったシステムの解説や説明、普段は不定期ですが試合解説をしているので良かったらTwitterやnoteでフォローお願いします。

それではこの辺で失礼します。

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