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輪島市久手川町の山地河川洪水災害

 2024年9月21日午後、輪島市久手川町の川沿いで、住家が流失した模様との報道がありました。

 洪水で家屋が流されるというケースは最近ではほとんど見られず、発生するとすれば破堤箇所付近や無堤区間の河道沿いなどで時折見られます。このケースは後者と見られ、住家が流されたと見られることから、かなり深刻な状況であると衝撃を受けました。

輪島市久手川町の被災箇所付近 地理院地図より

 報道の映像などから、被災現場は現場はおそらくこの付近からやや下流側と思われます。この付近は浸水想定区域とはなっていませんが、地形的には塚田川沿いの谷底平野(低地)であり、洪水の可能性が大いにあるところになります。私がよく言う「川の近くで川と同じくらいの高さの場所」です。

川と同じくらいの高さの場所

 河川沿いで洪水による家屋が流失した例としては令和2(2020)年7月豪雨の球磨川の例が挙げられますが、これは大河川の狭窄部付近での事例であり、今回のケースはかなり小規模な河川であることから、平成29(2017)年7月九州北部豪雨時の朝倉市内や、2011年台風12号による那智勝浦町の事例に近い状況かもしれません。古くからこうした形態の現象は、「山地河川洪水」とも呼ばれています。その恐ろしさ、むごたらしさをあらためて痛感しています。
 下記スライドは講演等でよく使っているものです。事例としてそれほど多いわけではないので下記スライドでは、平野部の破堤氾濫による被害と合わせて「あまり多くない」と書いているのですが、これが「たいしたことではない」というメッセージになってしまったのではないかと気持ちが動揺しているところです。あえて消さずに下記に挙げました。

山地河川洪水による被災例

 輪島市久手川町付近のドローン映像をNHKが報じました。以下の記事の下の方にあります。

 このドローン映像や、朝日新聞の現地写真も参考に、ストリートビューと住宅地図も合わせて、久手川町付近で洪水により流失したと見られる建物の位置を判読しました。戸建て住家の母屋と見られる建物のみを判読対象とし、車庫や倉庫・明らかな空き家等は含めていません。また、集合住宅も含めていません。限定的な情報によるものであり、厳格に正確なものではありません。

輪島市久手川町付近で流失したと見られる住家の分布


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