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アイスランド編~”アイスランドから見る風景”より

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アイスランドでの日常についてのコラムをまとめました。
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#アイスランドエッセイ

アイスランドから見る風景: コラムを始めるにあたって

いつだったか、すでに数年前のことだと思う。写真家、もしくはドキュメンタリー映画監督が、皇帝ペンギンの生きざまは凄まじい、繁殖生態の一部でも変えることができたら、どんなにか楽に生きられるだろうに、とコメントをした記事を読んだことがある。日頃から、動物に特別関心があったわけではない。それなのに、珍しく、その言葉がいつまでも頭に残った。”楽に生きられる”のに、それができないのが動物であるのに対し、それをしないのが人間だ、と思ったことも覚えている。 日本の大学を卒業した後、ドイツに

アイスランドから見る風景:vol.1 いそぐ夏

夏休み、と聞いて頭に浮かぶのは、八月葉月だ。早朝のラジオ体操を終え、スタンプをもらって家に帰る頃には、日差しは強まり始め、方々から蝉の声が聞こえてくる。舗装されたアスファルトの空気が、太陽の熱にゆらゆらと踊るように動く。庭に撒いた水が、辺りの温度を下げるのもつかの間、地面の染みが吸い込まれるように短時間で消えていった。手から振り払った黄色と黒の模様の蜘蛛、甘いものに群がる蟻の群れ、黒と白のやぶ蚊のお腹が血を吸って大きく膨らむ様子。わたしの記憶の日本の夏は、熱気と強い日差し、そ

アイスランドから見る風景:vol.2 夏の嫌われもの

アイスランドで庭を持つひとたちに、蛇蝎のごとく嫌われている植物が2種類ある。それはアイスランド語でルピナ (lúpina) と呼ばれるマメ科ルピナス属の多年草と、もう一つはスコウガールケルヴィトル (Skógarkerfill)・ セリ科シャク属の多年草だ。これらの野草が一本でも庭に生え次第、アイスランド人たちは、躊躇なく根こそぎ除去しようとするだろう。 わたしがアイスランドに移った1999年時には、外来種の両植物はすでにアイスランド全土にテリトリーを広げていた。シャクは1