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アイスランド編~”アイスランドから見る風景”より

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アイスランドでの日常についてのコラムをまとめました。
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#旅コラム

アイスランドから見る風景:vol.6 ラビット・ホール

レイキャヴィーク市は、幾つかの住宅地区に区分されており、隣接する地区の間には住居のない自然エリアが設けられている。その区画整備は、新しく都市開発された市の裾野部分、つまり街の中心から離れた、これまでは住宅が建てられていなかった場所において、特に顕著である。もともと手つかずの自然があった場所を住宅地に変えるのだ。私有地のまま残された土地はあるにせよ、自然保護の立場を念頭に、市が都市開発をしていることは明らかである。 この自然エリアは、その地域に住む住民にとって、身近に自然と親

アイスランドから見る風景: vol.5 秋の到来と子羊のスープ

1年を通して雨が多いのはアイスランドの常だが、その中でも晩夏から秋にかけての強風を伴った冷たい雨は身に沁みる。この鬱々とした天気が通日続くと、木々はあっという間に葉を散らす。人の目を楽しませることもなく、色褪せた葉は風にさらわれ、雨に地べたへと打ちすえられる。それと同時に日照時間は日に日に短くなり、気温も10度を越える日が少なくなっていく。 数年前から、アイスランドでも”秋”と呼べる時期が長くなった。全体的に季節が1カ月ほど後ろにずれ込んでいる様子だ。年によっては、8月より