アイスランドから見る風景:vol.1 いそぐ夏
夏休み、と聞いて頭に浮かぶのは、八月葉月だ。早朝のラジオ体操を終え、スタンプをもらって家に帰る頃には、日差しは強まり始め、方々から蝉の声が聞こえてくる。舗装されたアスファルトの空気が、太陽の熱にゆらゆらと踊るように動く。庭に撒いた水が、辺りの温度を下げるのもつかの間、地面の染みが吸い込まれるように短時間で消えていった。手から振り払った黄色と黒の模様の蜘蛛、甘いものに群がる蟻の群れ、黒と白のやぶ蚊のお腹が血を吸って大きく膨らむ様子。わたしの記憶の日本の夏は、熱気と強い日差し、そ