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PANTA死す
僕が音楽を聞き出した70年代初頭、洋楽から日本のGS、そして深夜ラジオから流れて来る日本語のフォークにロック。
そのすべてが輝いていた。
『頭脳警察』
パーカッションと左利きのギターをかき鳴らし唄うボーカリスト。
カッコ良かった!
しかし、僕が痺れたのは彼らが唄う歌の歌詞だ。
あまりに過激で危険な匂いがした。
「コレがロックだ!」
田舎の坊主頭の厨二病患者の中学生は一発で『頭脳警察』に痺れたのだ。
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珍しかった。
同級生の家がレコード屋さんをしていて『頭脳警察』のレコードも置いていた。
ある日、僕が彼らのレコードを手に取り、ながめていたら店員のお兄さんが「そいつらのレコード、歌詞が過激過ぎて発売禁止なんだよ。」と話してくれた。
そして「俺の見せてやろうか?」と奥から持って来てくれたファースト&セカンドアルバム。
いや~ヤバい雰囲気がプンプンしてドキドキしたものだ。
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サードアルバム
『赤軍兵士の詩』『ふざけるんじゃねえよ』『銃をとれ』…
反骨精神、反政府、反権力
ロックのスピリットはコレだ!と思っていたが、そんなメッセージ性の強い歌が売れる訳もなく、また世の流れ、音楽はニューミュージックという耳ざわりのいい音楽へ変わりつつあった。
やがて『頭脳警察』は活動を休止し、パンタはソロ活動を始めた。
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特にこの4枚は傑作です。
『頭脳警察』時代は気づかなかったけど、パンタは幅広い音楽性を持つアーティストだ。
ソロアルバムを聞いて僕はパンタを見直した。
時代はパンク、ニューウェイブへ。パンタは名盤を次々に生み出したが、時流に乗る事は無かった。
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キャリアは巡り、パンタは再び盟友Toshiと『頭脳警察』という船に乗り込んだ。
船は古いが乗り心地は良かった。
そしてバンド活動と並行して俳優にも挑戦してパンタは楽しく老いてゆくのかと思っていた。
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一昨年くらいからパンタの健康がネットニュースに上がり出し、中には重病説まで囁かれだした。
二度の危篤状態を持ち前の反骨精神で脱出し、またぼちぼちとライブをやりたいと言ってた矢先、七夕の日に『PANTA死す』と事務所から発表された。
覚悟はしていたが、やっぱりさみしかった。
パンタさん、本当にお疲れ様でした。
頭脳警察というヤバくてカッコ良いバンドがいた事、忘れません。
安らかにお眠りください。
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Good Bye
1950-2023