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ベテランMRのなす技 【こちら覆面DI室 #002】

「お知らせがあるのですが...」

久々にやってきたベテランMRのAさん。いまは1月末なのに、発行日が11月中旬のお知らせ文書を持ってきた。なんと2ヶ月半遅れである。
ふつうなら文句の一つも言いたいところであるが....私はそのまま受け取ってしまった。
さすがにここまで遅れていると文句を言う気にもなれなかった。
というか、そのMRさんの、スーッと差し出す自然さに負けてしまったのかもしれない。
さすがである。これがベテランMRのなす技なのだろうか。

「ご無沙汰しております」

1ヶ月以上訪問間隔があいていたMRのBさん来室。
そういえば、最近見かけなかった顔だ。
結構、表情が暗い感じである。
聞くと営業所長さんのご親族が亡くなられたそうである。
なので、しばらくの間、営業所としてMR活動を自粛していたとのこと。

でもそれを病院に来て話したら、文句を言われたそうだ。
確かに私もそう思う。
営業所として喪に伏していた事については、何も言うことはない。
しかし、医療も患者も待ってはくれない。
その間に情報提供が行われなかった、ということはどう映っているのだろうか。
やっぱりMR活動=営業活動なのか、と思われても不思議ではない。
だから、自粛なんて言わないでおけば良かったのかもしれない。
もうちょっとベテランMRになれば、わかるのかもしれませんね。


「こちら覆面DI室」は休刊となった週刊approach誌に連載されていました。
そのコラムを少しだけ改編して掲載しています。

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