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製剤見本返して下さい 【こちら覆面DI室 #015】


「製剤見本を返して欲しいんですけど、、、」

そう言ったのは、輸液メーカーMRのGさん。
先日薬事委員会が終わり、ある輸液を採用することに決まりました。
以前、薬事委員会の申請資料はUSBメモリーに入れて、と書きましたが、
製剤見本の提出も必須となっています。
麻薬とか生物学的製剤などでなければ、注射薬でも必須です。

製剤見本をもらう目的ですが、
ひとつは形状を確かめるため。

「こんなに大きい錠剤だったのか」
「こんなにベトベトした軟膏だったのか」
「こんなに硬いシリンジだったのか」

こんな感想は実物を見て、触ってみないとわからないですよね。
薬の採用評価には、剤形も含んでいるわけです。

もうひとつの目的は、薬の写真を撮ること。
薬剤師は服薬指導に、写真付の「くすりの説明書」を使います。
なので、製剤写真が必要となります。

最近は製薬会社のホームページに製剤写真が掲載されているのですが、
背景や大きさが各社バラバラです。

施設内で共通の背景で写真を撮って、
剤型を確認したら、ポイッと廃棄。

で、採用になってからときどき言われるのが

「製剤見本返して下さい」

これが忘れた頃に言われるんですよ。
そんなこと最初に言ってくれよ。
薬が残っていたときでも、

「え、開けちゃったんですか?」

見本なのに開けちゃダメだったの?
まさか、再利用するつもりだった?

「こちら覆面DI室」は休刊となった週刊approach誌に連載されていました。そのコラムを少しだけ改編して掲載しています。

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