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210416_AkeruEいってきました

訪問日:2021年4月16日(金)
天気:晴れ
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 4月某日、学習コンテンツ開発部の新人小池と佐藤は、春風に誘われ話題の最新スポットAkeruEに行ってきました。

<AkeruE(アケルエ)って?>

みなさんは「AkeruE」、ご存知ですか?
「AkeruE」のコンセプトは”「ひらめき」をカタチにするミュージアム”。観る、つくる、伝える体験を通してクリエイティブな力を育む場として、東京都江東区有明にあるパナソニックセンター東京内に4月3日にオープンにされたばかりです。

 パナソニック株式会社(以下「パナソニック」という。)は、子どもたちの理科と数学(算数)への興味や関心の向上・好奇心の醸成を目的とした体験型ミュージアム「RiSuPia(リスーピア)」を、2020年までの約14年間運営してきました。累計来場者数はなんと約460万人!社会における理数力の向上・人材育成支援に貢献してきたことが窺えます。
 ますます予測不可能で、劇的に変化する時代の中では、社会のさまざまな課題を提起し、解決のためにポジティブに行動できる力が重要になってきています。そこでパナソニックは、「RiSuPia」のコンセプトをさらに発展させ、理数の魅力に、エンジニアリング、テクノロジー、アートの分野を融合(=まさにSTEAM!)した「AkeruE」をオープンするに至ったという訳です。
 ちなみに、この「AkeruE」という変わったお名前。反対から読むと「EurekA(エウレカ)」。ギリシャ語で「ひらめき力」という意味だそう。

<入場する前も見どころいっぱい!>
 

 前述のとおり、「AkeruE」はパナソニックセンター東京(以下「センター」という。)内にある施設です。センターの1階は、オリンピック・パラリンピックやSDGsに関する展示、2階と3階が「AkeruE」となっています。

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 センターのエントランスはこんな感じ。とても広々としていて開放的でした。画面左側にはSDGsに関する展示が、画面奥にはオリンピック・パラリンピック関連の展示が広がっています。
 「AkeruE」を目的にセンターに向かったはずなのに、1階の展示もとても面白くてなかなかたどり着きませんでした...。(笑)ちょろっと脇道にそれてしまいますが、とりわけ感動した展示をひとつだけ紹介させてください!

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「国旗のカードをタッチせよ」との指示に従ってみると…。

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 その国の情報が、前方の世界地図に映し出されます!興味深かったので全部の国を試してみようと思ったときに、今日の目的はここではないことを思い出しました。
 誘惑を振り切って2階に向かいます。

<ようやくAkeruEに入場します>
 

 2階でチケットを購入すると、「ひらめき手帖」という冊子とペンを受け取ります。

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 童心に返れるよう名前はひらがなで書いてみました(どういうこと?)。
冊子の中身はお見せできませんが、作品のスケッチを描けるスペースや不思議に思ったことや気づいたことを書くスペースなど、自由に書き留めることができるつくりになっています。

 2階フロアはGAIA(ガイア)、CHAOS(カオス)、TECHNITO(テクニート)の3つのセクションに分かれています。私たちが訪れたのは平日の午前中だったということもあり、かなり空いていましたし子どもは1人もいませんでした。

GAIA


 みなさんご存知、ガイア理論の「ガイア」ですね。
 …と、したり顔で書いてみましたが、ごめんなさい、私もよく分かっていません。検索エンジンで調べてみたところ、「地球と生物が相互に依存しあって環境を作り上げているとする、地球を”巨大な生命体”と捉える考え方」だそうです。
 分かりましたか?私にはさっぱりです。
 でも以下の画像をご覧いただければ少し分かる!...かも!

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 これは「アクアポニックス」という作品。まず名前がかわいいですね。特に「アポニ」の部分、ラブリーすぎる語感です。
 このアクアポニックスでは、魚と植物を同じシステムで育てています。魚の排泄物など有機物を含む水を、写真右下にあるろ過装置の中にいる微生物が分解することで栄養を作り出し、それらを野菜や植物の生育に活用しています。水槽の中で泳いでいる川魚や金魚は、元気すぎて水槽から飛び出してしまうことまであるそう...!
 この展示を見た上で、ガイア理論の説明(「地球と生物が相互に依存しあって環境を作り上げているとする、地球を「巨大な生命体」と捉える考え方」)をもう一度読んでみると、少し理解が深まりませんか?
 抽象的で分かりにくい理論だって、作品を通して見れば理解できてしまう...!恐るべし「AkeruE」...!

CHAOS


 ここには、「ニュートンのゆりかご」と呼ばれる装置や、科学に関する本などが置かれており、自由に触ったり読んだりすることができます。

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 CHAOSという名のとおり、展示されているものに秩序は感じられません。ここからひらめきが生まれるのかしら...?
 どうでもいいですが「ひらめき」を漢字で書くと髭の生えたおじさんを彷彿とさせるのは私だけでしょうか?(閃)
 さて、ここで京大院卒である小池さんの博識っぷりを、本人に代わって佐藤が自慢してもいいですか?

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 私はこの本棚を見て、「博士の愛した数式」が2冊もあるな〜としか思いませんでしたが、さすが「科学と社会を繋ぐ」という夢を持って入社した小池さん。着目したのはファラデー著の「ろうそく物語」。
 この本は、クリスマス・レクチャーとして英国王立研究所で連続講演した内容を基に編集されています。クリスマス・レクチャーは、世界で初めて大衆向けに行った科学実験講義と言われているとのこと。
 この本が、サイエンスコミュニケーションの場であるAkeruEの本棚に置かれているのってすごく深い意味があるのでは...!と気付かせてもらいました!

TECHNITO

 ここでは、3Dプリンターやレーザーカッタ―など、データからさまざまなモノを作る機器が展示されています。プログラミングや電子工作などを組み合わせたものづくりができるプログラムも用意されています。
 残念ながら私たちが行ったときはプログラムを体験することはできませんでしたが、3Dプリンタを使った作品も展示されている工房のような空間でした。

<大人も大興奮!な展示に溢れる3階>

3階に移動し、いよいよAkeruEのメインフロアに入っていきます。
入口にも早速仕掛けが。

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 壁に鏡文字。反対側の壁に目をやると…

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 反対側の壁は鏡になっていて、文字が読めるようになっていました!

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 全体像はこんな感じです。すごく広いわけではないのですが、結局気付いたら2時間ほど夢中で過ごしていました。
 3FフロアはASTRO、PHOTON、COSMOSの三つのセクションに分かれており、それぞれ異なる体験を提供してくれます。


ASTRO


 まずはASTROから。このセクションは、科学技術を使ったアートが展示されています。
 合計7つの展示がありました(うち一つは調整中)が、今回は印象的だったものを二つご紹介します。


1. Coworo

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 最初からなんだか不思議な画像ですが、実際に見るとこの液体(?)は絶えず形を変えていました。動画でお見せできないのが悔しい…
 この展示はCoworoというのですが、名前の由来は古事記の一節で、海を「こをろこをろ」と掻き回すと海水が隆起し島が生まれたという記述からだそうです。
 この展示も、粘り気のある白い液体が下に設置されているモーターによって攪拌されることで表面が隆起し、様々な形を取っていました。この物理現象をワイゼンベルク効果というらしいです(へー)。

この展示にかかわらず、このフロアの展示は全て、
アート作品

作品に使われている科学現象を体験的に説明するいくつかのサブ展示
が併せて設置されていました。

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Coworoでは、この展示に使われている「非ニュートン流体」(ホットケーキのタネのように、力をかけると手応えが変わる流体のこと)や液体の粘度についてのサブ展示がありました。
 この装置は、様々なもの(水、粘り気のある液体、ビーズ)が入った筒に同時に斜面を走らせ、どれが一番早く転がっていくかを実験できるものです。
 理系としてのプライドを賭けて、転がす前に仮説をたて、ビーズ→粘り→水の順で早く転がるという予想のもと走らせましたが…結果は真逆。
 筒の中のものがスムーズに動かないほど、筒の運動が妨げられ、遅くなるということでした。


 科学的な理屈はこの場には書かれておらず、キャプションに付いているQRコードを読み取ると解説ページにアクセスできる、という構造でした。
 深く知るためにこうしてプロセスを一つ踏むのも、子どもに調べ学習をさせる訓練になっているのかな、と思いました。

2. 突き出す、流れる
 素敵なタイトルですね。すでに興味をそそられるような。
 ですが展示も負けず劣らず興味深いものでした。

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 墨汁の中から巨大なウニが…ではありません。
 これは、磁性流体と呼ばれる黒色の液体が、上下に設置されている電磁石の磁力に反応して形を変えている姿だそうです。
 さらに、この磁性流体の形は会場の音の大きさによって変化します。実際に装置の近くで手を叩いてみたら、トゲの大きさや液体の盛り上がりが変わりました。
 マイクで会場の音を拾い、プログラムによって電磁石に流す電流の大きさを変化させているらしいです。

 この展示はやはり見た目のインパクトがすごい…
 テカリのある黒なのでダース・ベイダーのマスクみたいにかっこいいし、目の前でトゲトゲが連続的に変化する様は見ていて飽きませんでした。


 サブ展示の一つは、砂鉄を水の中で動かしてみる、というものでした。
 砂鉄入りの水で満たされた筒の中心に空洞があり、そこに棒磁石を差し込むと…?

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 磁力線の形に砂鉄が整列しているのが見て取れます。

 アート作品ほどのインパクトは流石にありませんでしたが、一連の展示を小さい時に見ていたら磁石の世界にのめり込んでいたかもな…と感じました。

 他の展示も全て感動的に面白く、科学に興味のない子ども(大人も!)に対しても十分魅力的に映るものだと感じました。
 興味が湧いた方はぜひAkeruEで実際に体験されることをお勧めします!!


PHOTON


 次はPHOTONです。ここはなんと映像制作のセクションです。

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 ブースの中には4つのスタジオがあり、それぞれ異なる効果を使った映像を制作することができます。

 スタジオには、iPadと制作ガイド、制作日と名前を記入するボード、そして被写体となるアイテムがいくつか用意されていました(写真は例によって撮り忘れました)。
 佐藤はズームアウト、小池はスローモーションを制作することに。

 ガイドがわかりやすく書かれていたのもあり、動画の書き出しまでスムーズに行うことができました。
スタッフの方曰く、子どもでもスラスラと完成まで進めることが多い、むしろ親御さんの方がタブレットの操作に手間取っている、らしいです。

 完成した動画はブース中央の壁にプロジェクターで映し出されます。
 新入社員二人のディレクションズ入社後二つ目となる映像作品です。機会があれば発表したいと思います(精進します)…。

 とはいえ、映像を様々な効果付き、BGM付きで編集しているのに、知識ほぼゼロから始めて10分未満で完成まで行ける、というのはとてもいい経験でした。体験した人たちにとっての「映像を作る」という行為のハードルや抵抗感を大きく下げるブースだと感じました。


COSMOS

 最後のセクションはCOSMOSです。

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 入った瞬間に、魅力的で独創的な創作物でいっぱいの空間であることがわかります。

 ここはいわゆる工作スペースなのですが、お題が設定されていて、今は「地球を豊かにする生き物」。
ざっくり見たところ、ゴミやプラスチックを食べてくれるような生き物を作っている子どもたちが多い印象でした。どれもユニークな造形で、見ていて飽きません。

 (「地球温暖化を止めるために世界中によびかけているペンギン」という作品が個人的にはすごく好きでした。止める能力を持っているわけではなく、呼びかけているのが最高だと思いませんか!?)

 もちろん私たちも挑戦。

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 資材置き場のような場所から好きな材料を取ってきて、一人ずつに与えられる作業机で工作をするという形でした。
 10年以上ぶりの工作ということもあり、最初は何も思い付かずに頭を悩ませていましたが、一度作り始めると材料を組み合わせる楽しさで一気に作ってしまいました。

 完成したのがこちら。

佐藤作

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作品名:憂気球くん
特徴:人々の「不安な気持ち」を食べてくれる。それをエネルギーに飛ぶ。口癖は「大丈夫だよ。」。

小池作

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作品名:グッチさん
特徴:いろんなグチを「わかるよ」って顔でただ聞いてくれる犬のおじいちゃん。

僕らは優しさに飢えている。

 今回は結構楽しく作ることができましたが、子どもの頃には図工の時間で「自由に作っていいよ」と言われて困ってしまったのを覚えています。
 多分ここにくる子供の中にも、同じように困ってしまって結局作らない子はいるんだろうなあと思ったり。自由に作ることを楽しめるにはどんな条件が必要なんだろう?と感じ、個人的に少し考えてみたいところです。


<こんなこと思いました>
 

 と、AkeruEを満喫してきたわけですが、ここらでまとめに入ろうと思います。
 まずAkeruEで感じたのは、「科学って楽しそう」と思う大きなきっかけになるなということ。
AkeruEはとにかく展示が魅力的で、科学的な理屈を考えなくても面白い動きや形のものばかりでした。
 そして作品の魅力で引き込んだ後には、周りの展示が自然に科学的な興味を持てるように引き込んでくれます。その展示も決して押し付けがましくなく、QRコードの先の説明を読みに行くまで専門用語は出てきません。
 たとえ説明までたどり着かなかったとしても、「科学っぽい展示を見て面白かった」という記憶は残ります。これは科学とアートが融合したからこそ生まれる力なのかもしれません。

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 熱中する小池。

 二つ目に、この施設は自由な発想を許してくれる、ということ。
 先ほどの展示もそうですが、「この展示を見て科学的な仕組みを理解しろ」みたいな、いわゆる「正解」を提示していないことに気づきました。
 あくまで興味を持てそうな展示をそれとなく置いてあるだけで、それを見るかはその人次第。
 その後の工作スペースでも、「さっき学んだことを生かして」みたいな条件はありません。でも生かしたっていいんです。
 そして、完成したものをスタッフの人はとても褒めてくれます。
 授業ではなかなか得られない自己肯定感が得られるので、次来たときははどんなものを作ろうか、と創作意欲が湧く子どももいるのではないでしょうか。

 もちろん、「初めの一歩」を踏み出せない子どももいると思うので、その子をどうフォローしていくのか、という視点で、今度は子どもがいる状態のAkeruEも覗いてみたいです。
 「自由な発想」をあまり持ってこなかった私たちも最初は工作に尻込みしたので、そういう子どものことはやはり気になります。


ついでに、自分たちならAkeruEにこれを足す、という視点でいうと、科学技術に興味を持った子供についてフォローアップできるような仕組みを作るかな、と思いました。
おうちでできる実験、とか、日常生活ではこの技術はこんなところに使われているよ、みたいな、いわゆる「科学館」的なコンテンツも、押し付けない程度に存在してもいいかなと。
AkeruEのもつ「自由な発想を肯定する」仕組みは素晴らしいので、それを邪魔しない程度に、ちょっと調べてきた子供に見つかるくらいの深さに置いておくのがいいのかもしれません。


全体的には、今までの科学館にはない感じ方をさせてくれる面白い施設だなと感じました。
STEAM教育の参考にするつもりで行きましたが、時々ミッションを忘れるくらい楽しかったです。



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