HAND2:ポカスタはルースアグレ環境なのか
どうもです。
前回の記事は下書きから編集するのに2時間くらいかかってました。メモ帳でやったら見出しつけるの難しいというのを知らなかったからです。
緊急事態宣言が東京に出たことにより、隣接する川崎は大混雑でございます。勘弁してくれ。
今回はプレイスタイルのお話です。
一般的なプレイスタイルというよりは、ポーカースタジアムにおける話をしようと思います。VIP帯と通常の全国対戦、バトルロイヤルやトーナメントで異なる部分は明記しますが、それ以外は共通事項として記載していきます。
・ルースアグレ環境という解釈は正しいのか
ポーカースタジアムの全国対戦は全プレイヤーのアンティ(参加料)がスモールブラインド(SB)と同額であるため、一般的なリングゲームやトーナメントと異なりポットが膨らみやすくなっています。アンティ=SBの6人卓だと、1周何もせずともSB9回分=ビッグブラインド(BB)4.5回分が持っていかれます。つまりはポットも最初から4.5BBになるわけです。そうなるとプリフロップ時点でも1回のレイズで3BB程度だと安く見えてしまい、複数人コールでポットが跳ね上がります。コール人数を絞った場合でもレイズ額が上がっているので、どうしてもポットは膨らむのです。
これまでこの前提の上、私の記事でもポーカースタジアムの環境を「ルースアグレッシブ環境」と表現していましたし、今でもそう表現されると思います。ですが、あくまでプレイスタイルをルース/タイト、パッシブ/アグレッシブの2要素で部類した場合にそこに属すだけであって、本質的には異なるものと考えられます。
全国対戦の場合、初期スタックは6000(30BB)です。ここからプリフロップでレイズ700(3.5BB)を入れた場合を考えると、仮にSBのみコールでポットが2200(11BB)になります。ここからハーフポットでコンティニューベットを入れてコールされたとして、ポットは4400(22BB)、手持ちスタックは4100(20.5BB)となり、この時点でポットが手持ちスタックを超えます。つまり、ターン以降のポットベット=オールインになります。
もし、自分のレイズにSBがさらにレイズで3倍の2000(10BB)を入れて、それをコールするとポットは4800(24BB)となり、手持ちスタックは3900(19.5BB)になるので、フロップからポットベット=オールインになってしまいます。
今の文中で太字になっている箇所が、アクティブプレイヤーのどちらかがベット/レイズしたタイミングであり、どちらのケースも3回目をポットベットにするとオールインになってしまいます。仮にターンがポットベットではないとしても、ベットすればポット>手持ちスタックの差が開くだけなので、コール進行すれば以降ほとんどのケースでオールインするしかなくなります。つまり、ベット額で駆け引きできるタイミングは3回しか存在しないのです。
「じゃあ最初のレイズを少額にすればいいのでは?」
となると、今度はプリフロップのコール人数が絞れなくなり、結局フロップ開始時点でのポット額が同じ程度になってしまいます。そうなれば後は同じですし、何ならどこかでレイズが入ってくればよりポットが膨れることになるため、オッズの面ですらフォールドが選択肢から消えやすくなります。
要するに、初期スタックではターンまでで勝負するかを決定しなければならない局面が多くなります。さらに、どちらかがボードを含め強力なハンドを握っている場合、オールインのタイミングも早くなります。アグレッシブだからオールインになるのではなく、スタック量的にそうせざるを得ないからオールインになるのです。
・オッズを考える必要性
仮にターンがポットベットではないとしても、ベットすればポット>手持ちスタックの差が開くだけなので、コール進行すれば以降ほとんどのケースでオールインするしかなくなります。
ポーカーにおける上記のような「もう投資しすぎていて降りるに降りられない状態」を示すものとして「コミット」というワードがたまに使われます。
と言いたいところですが、もう少ししっかりと説明をしているところから引用します。
「コミット」とは
「オールインされてもオッズコールしないといけないくらいのチップをポットに投入した状態」
のことであり、
「この金額を打ったらコミットするからオールイン」
というのは、
「数学的に相手にオールインされてもオッズコールなのだからオールインと同じだけのリスクを犯しているのと同じ。ならばメリットを最大化するためにオールインした方がいい」
ということなのです。
-木原直哉オフィシャルブログより引用
上記の通り、コミットの話をするには、「オッズ」というものを計算して理解しなければいけませんが、今回はそこら辺は割愛します。
ざっくりとしたオッズの考え方としては「勝率に対して現在のポットに対するベット額が得か得ではないか」を判断する必要がありますが、これが効果的であるのは「それが致命傷にならない場合」であって、「今、目の前のゲームに対する最適なアクションは何か」というのは別問題なのです。当然、ゲームセンターでエンジョイするレベルであれば、「今、このゲームに勝ちたい」という人の方が多数になると思います。理由は単純で、「投資したお金は戻ってこない」からです。
もう1つ考慮しないといけないのが、ポーカースタジアムの全国対戦は「勝ち抜け得」になるルール設定が複数存在することです。
①オーバースタック
②無料継続
③コイン獲得量増加(コインはハンドチェックに使用できるため)
これらを考えると、多少割に合わない状況でもコールして勝ち抜けを目指した方が得になると考える人もいます。そして、そういった動きをするプレイヤーがいる時点でハンド考察からのオッズ予測がぶれてしまいます。しかもそのブレは大抵オッズが良くなる方向にブレているため、尚のこと安易なオールイン/オールインコールが起きやすくなるのです。これが「この人相手だし持ってなくてもコールするだろうからオールイン」「この人のオールインはそこまで怖くないしコール」という所謂「人読み」にも繋がっています。
「でも全国対戦にいる人は、特定のプレイヤーを人読みできるほどプレイ回数積んでないのでは?」
と思う人もいるかと思いますが、「サブカード」で潜っているプレイヤーであれば見かけのランクと異なる情報量、実力を持っていますし、そもそも環境がルースであることはわかっているため、それを前提として人読みではなく「環境読み」で全体をルースとみなしてのプレイが可能と考えられます。こうなるとさらにルースタイプが環境に増えるので、必然的にボードと絡む確率も高くなり、アグレッシブもその度合いを増していきます。そうなると、尚のことオッズ計算による期待値は実態から離れてしまうのです。
・ルースを助長するのはお金なのか
続いてバトルロイヤルとトーナメントの話に移ります。これらは全国対戦とルールも異なり、どちらかというと日本のポーカースポットでは主流と言ってもいいルールです。ですが、アーケードゲームが故にルーススタイルがが加速する要因が見受けられます。
まずバトルロイヤルですが、対戦回数に制限がない中で勝利回数を稼ぐことを目的とするならば、開催時間がある以上はなるべく高速で1ゲームを終わらせた方がいいことになります。その場合、ルースアグレが非常に有効的なプレイになります。
まず初期状態から参加できた場合、CPUからの搾取が見込めます。その上で、レベル2までをなるべく早く終わらせる、CPUを飛ばしてしまうことができれば、プレイヤーの参加人数を絞ることもできます。仮にここで事故なりミスなりでCPU相手に負けてしまっても、そのまま次ゲームを始められます。上手く搾取できていれば、レベル3以降のブラインドでタイトプレイヤーにプレッシャーを掛けながら、ハンドを選ぶ隙を与えずに押し切ってしまうことで1位を目指すわけです。
一方でトーナメントの場合、リエントリー可能である点がルースアグレを助長します。自身のスタックだけで考えると、初期状態からならどんなハンドでもオールインして勝てばスタックが2倍に、負けてもリエントリーすればスタック変わらずなので、スタック上の期待値は必ずプラスになります。
また、リエントリー可能なレベル3のブラインドはチップ追加なしだと初期スタックでは約17BBしかないため、全国対戦における初期スタックの原理と同じで、オールインが正解の局面が増えます。
トーナメントは序盤にスタックを作れるかで、後半の強烈なブラインドに対して自分の望むプレイができるか決まるので、もともとタイトなプレイヤーであっても序盤だけルースにプレイして稼ぐ、ということが方針の1つとして考えられるのです。
ただし一般的には、トーナメント序盤はタイトに、後半はルースにというのがセオリーとされていますので、逆張りで稼ぐ動きであることは考慮しておく必要があります。
ということで、バトルロイヤルはモード全体の順位決定方法が、トーナメントはリエントリーシステムとブラインド幅が、それぞれルースアグレを助長する要素として考えられる、と見ています。
でもそれってバトルロイヤルの参加にしろトーナメントのリエントリーにしろお金かかるってこと無視してない?
と思った人がいるとおもいます。
正解です。
バトルロイヤルに連続参加するにも、トーナメントでリエントリー前提のプレイをするにも、ある程度の「お金」が必要になります。しかし逆を返せば、お金さえあれば上記の戦術を1つの選択肢として考えられることになります。そして以前ブロマガで書いた話ですが、ポーカースタジアムは一般的なライブポーカー(アミューズ)と比較して単価が低いため、「使えるお金がある」と判断できるラインが緩くなるのです。
そもそもの話、ポーカースタジアムからテキサスホールデムを知ったプレイヤーは、宣伝状況から元々ゲームセンターに通っていたタイプの人かと思いますし、そういった人は大型アーケードゲーなり音ゲーなり格ゲーなりクイズゲーなりで連コインを当然のようにしてたでしょうから、ポーカースタジアムでもそこまで抵抗なくつぎ込めるのではないでしょうか。実際、資金ベースの戦術を取る人は音ゲーや格ゲーをやっていた人が多い気がします。偏見ですが。
ただ、普段ゲームセンターに行かない人にとって1プレイ200円~500円というのは高い部類だとは思います。これは新規獲得のために超えないといけない課題ですが、今回その辺は割愛します。
・そこまでライブと差があるのか
VIPマッチの話をする前に閑話休題として、ライブポーカーにおけるルースプレイヤーの存在について、軽く考えてみます。
はっきり言うと、アミューズのライブポーカーはリングゲーム(全国対戦にあたる)もトーナメントも、ポーカースタジアムとそこまで差はないと思っています。リングゲームではプリフロップからAx程度で5,6BBのオープンレイズが飛んでくることはザラですし、トーナメントでも3BBくらいのレイズにブラインドブロックからブラフでバチコリ打ち合いしてるなんて光景が普通に見られます。
まぁ、ブラインドのブロックは昨今広いレンジでやるのが一般的になったというのもあるので、そこまで目くじら立てるようなものでは無いのかなとも思います。
しかしそれなら何故、ある程度プレイした時点でポーカースタジアムのプレイ傾向がルースだと思ってしまうのでしょうか。
主たる要因としては、ポーカースタジアムからテキサスホールデムを知ったプレイヤーは、ハマった場合に攻略法を見る感覚で、ネットや書籍の情報を得てしまうことにあると思います。これらの情報は、主にオンラインポーカーや海外のキャッシュゲームにおける話であり、お金の動かない「アミューズ」を想定していないのです。そして、これらの情報は初心者向けであるなら大抵の場合は「まずはハンドを絞ってタイトにプレイしてみよう」と始まるのです。これが全ての環境におけるスタンダードであると思ってしまうと、ポーカースタジアムの環境はルース環境に見えるわけです。
日本におけるライブポーカーの立ち位置はあくまでアミューズメントの範囲であり、そこにはガチ勢もいればエンジョイ勢もいるわけです。そして、エンジョイ勢のプレイングはいわゆる教本に縛られたものではありません。
とはいえトーナメントはガチ勢しかいないでしょ?
というのも間違いで、各大会の権利(所謂サテライト)に興味が無いプレイヤーも沢山います。友達に連れられてきたとか、単純にポーカーをしているのが好きとか、理由は様々ですが、皆自分の思いで参加しているわけです。
とはいえ、ポーカースタジアムのルールそのものはルースプレイを助長するようにできているので、ガチ勢視点ではアミューズ以上のルースに見えると思います。それ以上に癖が強いプレイングをする人が多いというのもありますが。
・VIPマッチの人口事情
全国対戦の延長線上にあるVIPマッチですが、ルース環境がどうとか以前の問題があります。単純に人口が少ないのです。特に、トーナメント受付時間中は多くても2卓程度しか立っていません。こうなると、プレイしている人同士で「人読み」が激しくなり、相手の傾向に合わせるプレイも増えます。先述したプレイングの癖も相まって、単純にルース/タイトで分析するのが非常に困難です。
とはいえ、傾向としてルースが多いのは変わりません。特に全国対戦の頃からリンプインの頻度が非常に高いので、フロップで絡むか絡まないかの運ゲーになるケースも多いです。その代わりプリフロップレイズに対してのフォールド率はまともになったような気もします。
現在のVIPマッチが過疎化しているのには、緊急事態宣言によるゲームセンターの休業も影響しているとは思いますが、それ以上にプラチナカップの存在が大きいような気がします。結局プラチナカップに出ようと思ったら、バトルロイヤルかトーナメントしか参加資格を得られないので、優先度が低くなっていると思われます。先程の記載とは逆になりますが、トーナメントをタイトに遊べば、(ルースプレイヤーとのドンパチにもよるが)500円で遊べる時間はトーナメントの方が長いというのもあるでしょう。(そりゃ2連勝×3なら全国やVIPのが長いでしょうけども)
以前、VIPマッチ環境は全国対戦のスタイルをそのまま持ち込む人が一定数いることでルースアグレに寄り、タイトプレイヤーはトーナメントへ移行してしまうことでルースアグレ環境でほぼ固まるのでは、という考察をしたことがありますが、そもそも人がいない環境をルースだのタイトだのアグレだのパッシブだので部類することにあまり意味はないのでは、と思う次第です。
今回は以上です。
あくまで環境レベルで見た場合の話なので、タイトプレイヤーがいないわけではないですし、ルースでもパッシブなプレイヤーだって存在します。そもそも最近そこまで触れてないので、また変わってきている部分もあるかもしれませんが。
ではこれにて。また近いうちに。
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