アメリカ野球データサイトによる日本人MLB選手の2020年成績予測 - 打者編
こんにちは。前回に引き続きアメリカ野球データサイト Fangraphs による日本人MLB選手の2020年成績予測を紹介します。
MLBの開幕はどうやら7月以降になりそうですが(7月4日の独立記念日に開幕?)、この数字は通常通りに開幕していた場合の数字になります。
日本人MLB選手 打者編
2020年MLBに在籍している日本人野手はエンジェルスの大谷翔平選手、レッズの秋山翔吾選手、レイズの筒香嘉智選手の3人です。
大谷翔平選手
2019 打率.286 打点 62 本塁打 18 盗塁 12 OBP.343 OPS.848 WAR 2.5
2020 打率.281 打点 81 本塁打 25 盗塁 12 OBP.348 OPS.870 WAR 2.3
2019年は打者に専念したシーズンでしたが9月13日に膝の手術を行いシーズン途中で終えることになりました。本塁打は6月を終えるまでに12本と2018年を超えるペースでしたが7月以降失速して特に8月は1本しか出ず最終的に18本でシーズン終了。シーズン後半は膝の痛みがあったのかもしれません。
2020年の予測は打率は少し下がっていますが打点と本塁打が増えOPSも上がっています。後述しますが日本人野手にはOPS.800というのは大きな壁なのですが大谷選手はそれを難なく超えてきて、2020年は更に上がると予測されているのは凄いことです。
秋山翔吾選手
2019 打率.303 打点 62 本塁打 20 盗塁 12 OBP.392 OPS.864 WAR 5.1
2020 打率.274 打点 50 本塁打 12 盗塁 7 OBP.341 OPS.771 WAR 1.3
2019年の数字がNPBでの成績で2020年がFangraphsによる予測になります。秋山選手としては打率を3割近く出塁率OBPを4割近く上げることを目標としていると思いますが、予測では打率はNPBの数字から1割減、出塁率も1.3割減となっています。他の選手でも打率はNPBの数字から1割差し引いたものを使うことが多いので、過去のデータから導き出した係数なのでしょう。
予測本塁打数は12で秋山選手も本塁打の数にはこだわっていないと思います。ここには出しませんでしたが2塁打は2019年NPBでは31本打っていますが予測は21本。秋山選手がOPSを上げるには2塁打を増やすことだと思うので、この数がキーになるのではと思います。
WAR1.3は決して悪くはありませんが、秋山選手にはもう少し期待したいですね。
筒香嘉智選手
2019 打率.272 打点 79 本塁打 29 盗塁 0 OBP.388 OPS.899 WAR 1.7
2020 打率.251 打点 65 本塁打 22 盗塁 1 OBP.341 OPS.810 WAR 1.8
筒香選手の成績予測は本塁打22本 打率251。一見低く思えますが、これくらいの成績を残せば十分成功と言えます。打率も大事ですがメジャーではOPSを重視するので800台に乗せることが重要です。
この予測で少し意外なのは昨年NPBで本塁打29であるのに予測が22本であったことです。筒香選手は2016年に44本、2018年に38本打っているので、この数字も考慮されているのかもしれません。どのようなアルゴリズムを使っているかは不明ですが非常に良く出来ていると感心します。
WARは1.8とこれも1年目の数字としては悪くありません。筒香選手の課題は守備になると思われ実際ディフェンスの貢献度は-7.1を付けられています。強打強肩のアレナド、チャップマン、マチャド、ブレッグマンなどの三塁手に対抗するのは難しいですが健闘してほしいです。
筒香選手にはジマン・チェ選手という同じチームにとても似たタイプの選手がいます。同じアジア人であり長打が売りで守備走塁は得意ではなく体型も似ています。そのチェ選手は昨年打率.261 本塁打19 打点63 OPS822という好成績でレギュラーの座を勝ち取りました。決してスター級の活躍ではないですが、逆に言えばこれくらいの成績を残せばレギュラーが取れるということです。筒香選手は打率は.250台でも構わないので長打率.400台後半で本塁打20本以上打てば期待に応えたと言えるでしょう。
打率3割 OPS800の壁
最後に過去の日本人野手が超えられなかった壁について書きます。いままで日本から多くのトッププレイヤーがメジャーに挑戦してきましたが、そこに大きく立ちはだかるのはOPS800の壁でした。それを超えたのはご存知の通りイチロー選手と松井秀喜選手の2人のみです。
OPS
日本では打率を重視するので3割にいくいかないが大きな興味の対象になります。ご存知の通り過去打率3割に達したのはイチロー選手と松井秀喜選手のみです。それに対しメジャーでは前述したようにOPSの方が重要視される傾向にあります。OPSは出塁率と長打率を足したものなので当然長打が多い方がOPSは上がります。
イチロー選手は10年連続で200本以上安打を打ち打率3割を超えましたがその半分の5シーズンでOPSが.800に達しませんでした。理由はイチロー選手は単打が多いため長打率が高くなく、打率は高いが四球が少ないので出塁率も打率からそこまで上増しがないからです。キャリア通算OPSは.757。
それに対し松井秀喜選手は長打率が高かったので打率が3割以下のシーズンでもOPS800台に達したシーズンが3回あります。最高はメジャー2年目で本塁打を31本打った2004年の.912。トータルで.800を超えたシーズンは計6回。キャリア通算.822。
他の日本人野手で一番高いOPSを記録したのは2009年の福留選手の.796。この年は打率.259 本塁打11と余り高くはなかったですが2塁打を38本、3塁打を5本打っているのがOPSを上げる要因となっています。翌年2010年は規定打席数の502を下回っていますがOPS.809を記録しています。他の日本人選手は一番良いシーズンでOPS.780台でした。やはりパワーに劣る日本人打者でOPS.800台は大きな壁であるようです。
そんな中今年の筒香選手の成績予測でOPSが.810とあるのは地味に凄いことですし、かなり期待されていると言えます。
そして2ウェイプレイヤーなので打席数は少ないですが1年目のOPSが.925、2年目が.848だった大谷選手はまさに規格外の選手だと言えます。
おわりに
最後におすすめのYouTubeチャンネルを紹介します。Fangraphsやその他様々なデータを駆使して今までと異なるアングルで選手や出来事を掘り下げてくれるFoolish Baseballが面白いです。見た目も野球系ギークそのもので、ひねくれたアメリカンジョークが良い味だしてます。過去には大谷選手とイチロー選手も取り上げられています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。STAY HOME STAY SAFE!