最強のライジングファストボール:2021年シーズン最もホップした球を投げたのは誰だ
野球鑑賞の醍醐味のひとつにピッチャーが自慢の豪速球でバッターを空振り三振に奪うことがあります。変化球も良いですが、力対力の速球勝負は格別ですよね。
速球で空振りを奪うには球速も大事ですが、球がどれくらいホップするかも重要だと言われています。どれくらいホップしているかを表すホップ成分は無回転の球と比較した際に何センチ高い位置でホームベースに到達するかを表します。MLB平均43-44cmぐらい、50cmを超えると優秀と言われ超エリート級の投手だと55cmを超えてきます。
野球のボールの直径は約7.3~7.5cmなので平均の軌道(43-44cm)に合わせてバットを振るとホップ成分50cmだと約ボール一個分下を振ることになり、ホップ成分60cmだと2個分ボールの下を振ることになります。
藤川球児さんや上原浩治さんは55cm超えの球を投げていたと言われています。
最近テレビ番組の企画で1980年代に活躍された江川卓さんの速球をデータ分析専門の会社に依頼して分析したところ球速は158キロ、回転数は2700回転であったとの結果が出たようです。ホップ成分は55cm以上あったかもしれないですね。
そこで今回はメジャー2021年シーズン最もホップした投手、投球を見ていきます。
Pitch Movement Top10
メジャーファンでデータに関心がある方にはお馴染みのBaseball SavantのLeaderboardsにPitch Movementというのがあります。球種毎の縦と横変化量をランク付けしています。こちらが4シームでの縦変化量(ホップ成分)のトップ10です。
1位と2位の選手は全く知りませんでした(汗)。3位はメジャーリーグのお騒がせ者のトレバー・バウアー。4位にはタンパベイ・レイズのファイアライゼン投手。10位にはダルビッシュ投手が入っています。
こちらが1位のJharel Cotton投手。日本の方がハイライト動画を作ってくれています。にっきーろぺすさん、ありがとうございます。
まあここまではBaseball Savantを見れば誰でも分かるデータです。
空振りを奪った球に限定してみると
先のリストは全ての4シームの平均値ですが、ここではあえて2021年シーズンに4シームで空振りを取った球に限定した括りでデータ集計してみます。投手の実力を分析するには平均値を見る必要があるのは重々承知ですが、ここはあえて凄い球を投げて空振りを取ったケースを単純に楽しもうという目論見です。
Baseball SavantのSearch機能を使って、データ集計してみました。統計の結果はトータル数23,166。ホップ平均値42cm。55cm以上473,60cm以上59となります。やはり60cm以上のホップ成分の球はごく限られているようです。
JPファイアライゼン投手
2021年シーズンで最もホップした球で空振りを取ったのはレイズのJPファイアライゼン投手。ホップ成分はなんと67.5cm。球速92.7マイル、2707回転。
もう一つFeyereisen投手から。こちらはホップ成分65.4cm。球速93.3マイル、2639回転。
ファイアライゼン投手は60cm以上が9例、55cmー60cmが24例と55cm以上ホップした球で空振りを取ったケースが他の投手と比べて圧倒的に多かったです。レイズからは良いピッチャーがたくさん出てきますね。
それ以外の投手
60cm以上のホップ成分で空振りを取った球を他に多く投げたのはルーカス・ジオリトとディラン・シーズが5例、ジャイムス・カリンチャック、リッチ・ヒル、デマーカス・エバンスが4例となっています。
ジオリト、ホップ成分62.4cm、球速93.6マイル、2406回転。
シーズ, ホップ成分60.5cm、球速96.2マイル、回転数2688
カリンチャック, ホップ成分64.8cm、球速95.1マイル、2556回転
ヒル, ホップ成分61.8cm、球速88.7マイル、2439回転。ヒル投手は41歳で平均球速142kmの投手。長年活躍出来るのはこの球質のためですかね。日本だと山本昌さんが球速はないが回転数の高い球を投げると言われていました。
エバンス、ホップ成分61.4cm、球速93.5マイル、2578回転。この投手は他と比較して回転が最も垂直方向(Spin Axis)なのも特徴です。
その他の有力選手
それ以外で何人か見繕います。
まずは平均値トップ3のトレバー・バウアー。ホップ成分61.3cm、球速94.6マイル、回転数3043。粘着物質が疑われる回転数。
トリストン・マッケンジーは成長著しい24歳。身長196cmで体重74キロと超痩せ型体型であだ名はDr.Stick(ドクター枝)。まだいい時と悪い時の差が激しいですが、今後凄い投手になるかも。ホップ成分55cm以上が19例ありました。
ホップ成分57.5cm、球速94.9マイル、2385回転
高めの速球で勝負する代表格のゲリット・コール投手。一般的にホップ成分の大きい球はシュート成分が小さめですが、コール投手はシュート成分が大きい所謂シュートライズ系の速球を投げます。
ホップ成分59cm、シュート成分39cm、球速96.7マイル、2575回転
平均値トップ10のダルビッシュ投手。こちらはホップ成分60cm、球速95.1マイル、2505回転。貫禄を感じますね。
大谷投手の最高はホップ成分53.5cm、球速93.9マイル、2438回転のこの球
大谷さんからもう一つ。ホップ成分52.3cm、球速91.8マイル、2287回転
まとめ
今回の記事は単純にホップしている球を愛でることを目的としたお気楽記事です。
ただざっくりデータを見てみるとホップ成分の大きい球に100マイル以上の球がないことに気づきました。たしか以前藤川球児さんが少し球速を抑えた方が球がホップして空振りを取れると言っていたと記憶しています。球速が上がるとその分早くホームベースに到達するのでホップ成分は小さくなるということかもしれません。
最後まで読んで頂きありがとうございました。